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第4章 着工前

「お見積もりができました。土地はご希望より五坪ほど広くなりますが、丁度八十五坪の良い物件が見付かりましたので、建物と合わせて五千八百万円になりますがこれでどうでしょう? わたしはお買い得間違いないと思いますが」

 不動産会社の担当営業マンは胸を張って説明した。

「他に消費税ですとかそちらの手数料もありますでしょ? どれ位必要ですの?」

「先ず私どもに頂戴する仲介手数料ですが、概算で二百万円です。」

「そんなにかかるんですか」

「はい。どちらの不動産会社でも大体同じだと思います。世間では大手不動産は高く、中小の所は安いなんて噂がありますが、調べて頂ければ分かりますが、そんなことはありません」

 営業マンは嫌な顔をせず言い切った。それで萠も太郎も納得した。萠の頭の中ではパチパチとソロバンを弾いていた。

「税金は上がった消費税で計算するとどれ位になりますか?」

 今度は太郎が質問した。

「税金は計算が複雑です。課税時の評価額や色々な減免措置がありますから、この書類に書いてある通りですが、後でごゆっくり読んで下さい。計算結果を言いますと、消費税、不動産取得税、登録免許税、印紙税などを合わせて概算で四百四十万円になります。ですから最初にお答えしました仲介手数料と合わせて六百四十万円を別途にご用意なさって下さい」

 萠は話を聞きながらうっすらとかいた額の汗をハンカチで拭った。

「税金って随分高いのね」

「そうなんです。それで消費税が8%に上がる前に駆け込みで契約された方々が多かったんですよ」

 営業マンは済まなそうな顔をした。


 夜、太郎は萠と相談した。

「萠の実家から千八百もらえるって間違いはないのか?」

「あら、もう母からもらって来たわよ」

 萠は銀行振り出しの小切手を見せた。太郎は自分の方は僅か三百万なので言い出し辛かったが、

「僕の方は家が貧乏だから三百で精一杯だって」

「仕方ないわよ。お義父(とう)さま、お義母(かあ)さまにご無理はお願いできないですもの」

 萠のこう言う優しい心遣いが太郎は気に入っていた。太郎は萠の頭に角が出て来なかったので安堵した。

「すると合わせて二千百万になるね。不足分は四千三百六十万円かぁ」

 結婚後五年間二人で一所懸命貯めた積み立て預金が一千万を少し越えていた。萠はそれを足して、

「建てた後で家具を買ったり色々費用が必要だから、銀行からローンで四千万借りられないかしら?」

「僕も四千万は必要だと考えていたよ。明日銀行に行って聞いて見るよ」


 翌日太郎は銀行の融資窓口を訪ねた。四十前後の女性の行員が応対してくれた。

「四千万円もお借り出来ますか?」

「新築住宅をご購入されます時、頭金はどれくらいご用意なさいますの?」

「二千万円です」

「すると自己資金は三割以上ですわね。それでしたら大丈夫です」

「本当ですか?」

「はい。最近は四千万円程度の方は多いです。住宅価格が高いですから、皆様ご苦労なさっているようですよ。あなたの場合は安定した大企業にお勤めでいらっしゃいますから会社の方にもご相談なさったらいかがですか?」

「仮に三十五年で四千万をお借りするとして、月々の返済額はどれくらいになりますか?」

 行員は賞与の返済額をゼロにするなど色々な条件を入力してからパソコンの画面を見て、

「月々のご返済額は十四万三千円程度になります。変動金利をご指定の場合ですが、十一年目から固定金利になさる事も可能です。その場合には月々十六万円程度になります。金利は世の中の経済情勢によって変わりますからあくまで想定ですが。それと保証会社にお支払いいただく保証料など諸費用が九十六万円程度になりますが、これは別途にお支払い頂く必要がございます。ところで芝山様は今生命保険に入っておられますよね」

「はい。三千万円ですが」

「もし仮にですよ自動車事故など不慮の災難に遭われまして半身不随などになられて毎月のローンの返済が不可能になられた時はどうなさいますか?」

「実際にその時にならないと……困りますね」

「借り手のご本人様に万一のことがございました時に、ご本人様に代わってローンの残高を返済してくれる保険があります。この保険は一般の生命保険と違って、ご本人様に何かがあっても家が他人の手に渡らないようにするのです。保険料はそれ程高くはありませんから是非ローンを借りられる時に同時に加入されるとよろしいかと思います」

 太郎は今住んでいる横浜のマンションの家賃が月々十二万円だからこの程度だと今まで通り楽に暮らして行けると思った。それに自分に万一のことがあっても家土地は萠に残してやりたいので銀行で勧められた保険には必ず加入しようと思った。


 翌日会社の労務部に問い合わせた結果、ローンの利子の1%を十年間会社が補助してくれることも分かりますます元気が出た。

 二日後、太郎は不動産会社の見積もりを持って銀行を訪ね住宅ローンの融資手続きをした。

「もしもし、戸田さんですか? 先日お世話になった芝山です。あの物件の購入の件、お見積もりの条件で進めて下さい。直ぐに契約を致します」

「おめでとうございます。では明日、土曜日でも構いませんので営業所にお出で下さい」

 翌日不動産会社との契約は直ぐにまとまった。

「建物の着工は銀行さんの了解を取って直ぐに進めさせて頂きます」

 銀行は不動産会社の系列なので話がスムーズに行くと言っていた

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