第1章 幸せの青い鳥
[菜未]と言う女性の生きた道を書き表す予定だが執筆途中なので話がどう展開して行くのか執筆している当人にもまだ分からない。少し前、我が国の少子化対策に奮闘する総理大臣森山克子の事を書いたが、これから始まるドラマは苦労しながら健気に子育てに頑張る一人の女性の話だ。複雑な世の中で次第に希薄になってきた家族の温もりについて書いて見たいと思っている。
鷺沼菜未はメーテルリンクのチルチルとミチルの話を幼い頃に母親の昌代に何度も聞かされたからか最近時々自分の四人の子供たちによく聞かせる。
「人は誰でも自分たちより少し幸せそうな人を見ると、自分もそんなふうになりたいと思うわよね。でもね、留美ちゃん、晴菜ちゃん、司良ちゃん、健司ちゃんたちが幸せそうな人だなぁと思っている人たちでも本当は寂しかったり人には言えない病気を持っていたりして幸せじゃないこともあるのよ。あたしたちのお家は狭くてこうして八人一緒にすごく窮屈にしているけど、これって不幸せなことじゃないよ。第一、みんながいると寂しくないでしょ? もしもよ誰かが病気になったらみんなで病院に連れて行ってあげて看病してあげられるでしょ。だからお家が狭いことって決して不幸せなことじゃないのよ」
そんな話をしている内に末の健司はいつの間にかすやすやと眠っていた。
「ママのお話はおしまい。さぁ寝ましょうね」
菜未は子供たちを寝かし付けるとそっと寝室を出た。夫の留司はまだ役所から帰って来ない。最近仕事が忙しいらしく残業が多くなった。
「あら、菜未さんまだ起きていたの? 最近留司のやつ帰りが遅いわねぇ」
「多分今夜も残業だと思います。お義母さん、あたしそろそろお勤めに出たいと思っているんですけど、いいかしら」
「いいわよ。お金を稼ぐってことは大切ですけど、あたしはね、菜未さんにはご自分のやりたいお仕事に就いて欲しいのよ。子供たちは大分大きくなったから大丈夫あたしに任せて下さいな」
母の昌代は、自分の他に妹の菜桜、弟の翔太がいて子供が三人だったが、母の実家から千代おばあちゃんに来てもらって同居、あたしたちの子供の頃はおばあちゃんが面倒を見てくれたからそれで母は最近までお勤めをしていた。その千代おばあちゃんは昨年突然倒れて敢えなく他界してしまったと話してくれた。この話は以前にも聞いた気がするけど、お年のせいで以前話してくれたことを忘れたのかも知れない。
玄関のドアーが開くと、
「遅くなったな」
と言って留司が帰ってきた。
「母さん、オヤジはもう寝たのか?」
「今日は珍しく早く寝たわね。何か話しでもあるの?」
「ん。今日人事異動があつてさぁ、僕は来月から課長代理になるみたいだよ」
「菜未さん、聞いた? あなた来月から管理職夫人だわね」
菜未はちょっと嬉しかった。やはり夫が昇進してくれるのは妻としても嬉しい。
「旦那様、おめでとうございます」
菜未はちょっと舌を出しておどけた。
「おいおい、からかわないでくれよ。まだ代理が付いてるんだからさ。所でお隣の家、何か話を聞いてないか? その件でオヤジと相談したくてさ。明日オヤジに僕がそんなことを言ってたと伝えておいてよ」




