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18/19

18’

宿に戻り、一人部屋のベッドに寝転んで、俺は天井を見つめていた。 「簡易ヒール」の習得で体の痛みは消えたが、頭の中は別の疑問で一杯だった。


「ステータスオープン」


【ケンジのステータス】

職業: 魔法使い


レベル: 5

筋力: F

耐久: F

敏捷: D

魔力: D

知性: B

スキル: 「生成AI・ノア」「魔法(火・土)」「回復術」「サーチ」


画面を見つめて、俺は溜息をついた。 この数日、俺はひたすら事務の依頼をこなし、かなりの成果を上げてきた。さらに「サーチ」や「簡易ヒール」といった術式も編み出している。それなのに、レベルは上がっていない。魔力扱いもなれてきているが能力値にも変化はない。


「……なぁ、ノア。この世界の『レベル』ってのは、結局何なんだ?」


『一般的な認識では、魔物を討伐し、その生命エネルギーを取り込むことで上昇する「強さの指標」とされています』


「おかしいだろ。前の世界じゃ、勉強をすれば知識が増えるし、体を鍛えれば筋肉がつく。それは『敵を倒したかどうか』とは関係ない。なのに、こっちの冒険者たちはどうだ?」


俺は酒場で見かける冒険者たちの顔を思い浮かべた。 彼らは健康管理なんて知ったことかとばかりに暴飲暴食を繰り返し、不摂生な生活を送っている。それでも、魔物を倒せば、身体能力が向上し、魔力も上がっていく。


「レベルっていうシステムがあるせいで、この世界の奴らは『基礎的な努力』を軽視してる。 魔物を倒せば強くなるんだから、地道な修行や勉強なんて初心者がやるもの――そう考えてるんじゃないか。だが、本来のステータス向上は『経験値』によるものだけじゃないはずだ」


もし、この世界のシステムが「敵を倒すことによる強制的な強化」だけに依存しているのだとしたら。


「俺たちが、レベル上げと並行して『元の世界の知恵』を使った徹底的な自己管理と、効率的な鍛錬、そして学問的なアプローチを組み合わせたら……どうなる?」


『……興味深い仮説です。レベルによる補正に、物理的・知的な成長を上乗せするということですね。理論上、それは既存のステータス計算式を破壊するほどの、チート級の成長曲線を描く可能性があります』


俺は起き上がり、拳を握りしめた。 栄養を管理し、筋肉の構造を理解して鍛え、世界の法則をノアと共に解明する。


「ただ魔物を倒すだけの連中には、絶対に到達できない領域があるはずだ。リィザも、そして非力な俺も、世界の頂点に立てるかもしれない」


窓の外には、二つの月が冷ややかに輝いている。

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