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「新規登録ですね。私は受付のフィオと申します。こちらの『真実の水晶』に両手を置いてください。あなたの現在の能力がこちらに転写されます」


受付の奥から現れた、落ち着いた雰囲気の女性——フィオは、「新規登録窓口」という札の置かれたカウンターへ俺を案内した。


俺は少し緊張しながら、透明な水晶に手を添えた。ひんやりとした感覚とともに、水晶の中に淡い光が渦巻き、フィオの手元の紙に文字が浮かび上がる。


「ええと……拝見しますね」


彼女は浮き出た数値を読み上げた。


「……ケンジ様、ですね。ステータスは……そうですね。知性は『B』と平均より高いですが、筋力、耐久は『F』。敏捷と魔力も『D』……。正直に申し上げますと、前線で直接戦うにはかなり厳しい数値です」


周囲で聞き耳を立てていた冒険者たちから「なんだ、やっぱりただの付き人か」「知性Bだけじゃ、戦場では飯は食えないな」と失笑が漏れる。だが、リィザだけは納得がいかない様子で、俺と水晶を交互に見ていた。


「では、次に『職業』を選択してください。測定結果から算出されたあなたの適性は『学者』『書記官』、あるいは……『魔法使い』ですが、いかがされますか?」


「魔法使いでお願いします」


「承知いたしました。では、最後に冒険者ランクについて説明しますね」


フィオは一枚の鉄板を取り出し、俺の名前と職業を刻み込みながら説明を始めた。


「冒険者ランクは一番下の『アイアン』から始まり、最高位の『白金プラチナ』までの10段階に分かれています。ランクはステータスの高さではなく、あくまで『依頼の達成実績』で決まります。頑張ってくださいね、ケンジ様」


彼女は丁寧な営業スマイルを向けて、出来立ての鉄のプレートを差し出した。


「ありがとうございます。……リィザ、そろそろ行こうか」


俺はプレートを受け取ると、促すようにリィザに声をかけた。あまり長居をして、これ以上自分の素性や、先日の戦いでの変則的な魔法について探られたくなかったからだ。


ギルドの建物を後にし、外の空気を吸ってようやく一息つく。リィザは俺のヨレたビジネススーツを上から下まで眺めると、ポンと手を叩いた。


「お前の服、もうボロボロだな。まずは装備でも買いに行こう! 魔法使いなんだし杖の一本でも持ってないと冒険者として恰好がつかないからな」


「……いや、そうしたいのは山々なんだけどさ。俺、金を持っていないんだ。」


俺の正直な告白に、リィザは呆れたように笑って俺の肩を軽く叩いた。


「なんだ、そんなことを気にしてたのか? 忘れたのか、さっきのザグ・ロードの報酬があるだろ。お前がいなきゃ今ごろ私は死んでたんだ、報酬は山分けさ。心配するな、今のケンジには装備を整えるくらいの金は十分にあるぞ」


「山分け……いいのか?」


「当たり前だろ、相棒なんだからな。さあ、そうと決まれば行くぞ。」


リィザに背中を押される形で、俺たちは市場へと繰り出した。

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