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村を出て数時間。整備された街道を歩きながら、俺たちは目指す街について話していた。
「……見えてきたな。あそこが、この辺りで一番大きな街、『鋼鉄の街ベルトラン』だ」
リィザが指差した先には、頑強な石壁に囲まれた街が広がっていた。中規模ながらも、鉱石の交易と魔物の多い森への拠点として、多くの冒険者が集まる場所らしい。
「……なあ、ケンジ。お前にこれからのことを任せる以上、私の手の内を見せておこうと思う。隠し事は性に合わないからな」
リィザは歩きながら、少し照れくさそうに自分のことを話し始めた。
「私はもともと、北の方にある地方領主の騎士団にいたんだ。だが、貴族同士の足の引っ張り合いに嫌気がさしてな。上官の横暴に反論したら、そのまま追い出された。それからは、この剣一本で食いつないでる。……私の力は、大体こんなところだ」
彼女はこの世界で一般的に使われる指標を、言葉にして教えてくれた。
【リィザのステータス(自己申告)】
年齢: 22歳
職業: 騎士
レベル: 12
筋力: B
耐久: B
敏捷: C
魔力: B
知性: D
スキル: 「剣術」「身体強化」
「レベル12か……。それにしても、リィザは魔力の量(ランクB)は凄いんだな。」
(知性はDなのか……。魔力以外は典型的な戦士タイプって感じだな)
「まあ、今までは使い道がなかったがな。お前のおかげで「身体強化」のスキルが増えたよ。……ところで、ケンジはいくつなんだ? 記憶がないと言っても、自分の歳くらいは見当がつくだろう?」
「……俺か? 鏡を見た感じ、たぶん18歳くらいだと思う」
俺がそう答えると、リィザは意外そうに目を丸くして俺の顔を覗き込んだ。
「18!? 私より四つも下なのか? ……嘘だろう、もっとこう、落ち着き払っているから、てっきり年上かと思っていたよ。妙に大人びているというか、世慣れているというか……」
(……まあ、中身は『おっさん』だからな。精神年齢はリィザより一回り以上上だ)
心の中で苦笑しつつ、俺は脳内のノアに現状の確認を求めた。
(ノア、俺の今の状態も整理しておいてくれ。レベルアップしたんだろ?)
『了解しました。個体ランク上昇に伴う再集計結果を表示します。』
【ケンジのステータス】
推定年齢: 18歳
職業: 未設定(事務員)
レベル: 5
筋力: F
耐久: F
敏捷: D (UP)
魔力: D (UP)
知性: B
スキル: 「生成AI・ノア」「魔法(火・土)」
(レベル5か。……敏捷が少し上がったみたいだな。魔法が正式に『スキル』として定着してるな。)
「……ええと、感覚的だけど、レベル5くらいにはなった気がする。魔法も前よりはうまく扱えそうだ」
リィザは感心したように頷き、俺の肩を叩いた。
「さあ、着くぞ。まずはギルドへ行って、今回の依頼の報告だ。それとお前の冒険者登録もしないとな」
俺たちはベルトランの巨大な正門をくぐった。 石畳を叩く馬車の音、露天商の威勢のいい声。そして、漂ってくる得体の知れない熱気が心地よい。




