第6話 神父さんが「楽しいことを考えましょう」と言うので、爆弾を作ることにしました。
皆既日食の最中に復活の儀式を行うことで、魔王は蘇るとされていた。
そしてついに、数百年ぶりの皆既日食の日がやって来た。
ー魔王城ー
山の頂上や断崖絶壁の上に聳え立つ魔王城
周囲の森は枯れ果て、城のある上空のみ なぜか常に黒雲が渦巻く。
あたり一帯には、重苦しい沈黙と冷気が漂っていた。
ー魔王城 謁見の間ー
巨大な石造りの広間。高い天井は闇に溶け、壁一面に無数の魔族の紋章や古代文字が刻まれている。
黒い燭台が等間隔に並び、紫色の炎が不気味な光を放ち、影をゆらゆらと伸ばしている。
中央には魔王が眠る巨大な黒曜石の棺が置かれている。
儀式のための準備の指揮をする 魔王四天王のリーダー、ドラズラX
ドラズラ「ついにこの日が来た! 前回のような失敗は許さんぞ!」
「魔王様復活の儀式 準備を急げ!」
「今日を逃せば また数百年、魔王様の復活はない」
バタバタと慌ただしく動く 部下達
ドラズラ「お前 それはこっちだ!……違う、それは逆だ!まったく段取りが悪い!」
「えーい 何をやっている! それはこっちだ!」
部下 「大変です!」
ドラズラ「なんだ!」
部下 「魔王様の体がありません!」
ドラズラ「なにー!!」棺の中を覗くと空っぽ
「全員 探せー!」
部下 「いました 魔王様が庭でラジオ体操してます!」
ドラズラ「はぁ!?そんなバカな!」
ドラズラXが庭に出ると魔王がラジオ体操をしている。
魔王 「1・2・3・4 1・2・3・4」
ドラズラ「魔王様 何をしてるんですか?」
魔王 「おお 久しぶりだなドラズラX」
「早く起きてしまって、退屈だから体を動かしていた」
「本当は3日前に起きていたんだが」
「お前達に悪いんで、じっと待っていたのだが……流石に限界で……」
ドラズラX 泣く
「とにかく 魔王様、よかった。ほんとによかった」
ー冒険者ギルド 1F 依頼紹介・結果報告の受付前ー
依頼の結果報告のために受付の前に数人の冒険者が並び
現在 報告の判定 報酬の受け取りを待つ冒険者が 何名かベンチに座って待っている。
冒険者A「またAランクの魔物の退治ですか!?すごすぎます!」
エース 「この程度、当たり前じゃないか 僕は千年に一人の天才だぞ」(キラッと笑顔)
ギルマス「おいエース、あまり無理すんなよ。顔色が死人だぞ!」
エース 「僕は疲れたことなんてないですよ ギルマス」汗をたらし、明らかに疲れが見える。
冒険者B「それにしても、最近 魔物の勢いが増してるよな なんか怖いよな」
冒険者A「ケガ人続出だし そんな中でエースさんは流石だよ」
冒険者B「やっぱりエースさんの方が勇者に相応しいよ」
ー魔王城 謁見の間ー
魔王が棺の中に入ろうとしている。
魔王 「もう、やらなくても良くない?」
ドラズラ「ダメです。儀式は儀式です どんだけお金が掛かってると思ってるんですか」
「急いで下さい まもなく皆既日食が始まります」こうして、魔王城では復活の儀式が始まった。
ー王宮前広場ー
チキン自称伯爵がいつものように人を集めインチキ予言を披露
チキン 「今日もやるザンショ」
「世紀の大予言者 チキン伯爵が 新しい予言をするザンショ」
「ついにこの日が来たザンショ 大魔王が復活するザンショ」
ガヤA 「おい!今日の予言は笑えないぞ!」
チキン 「あの遠くの煙こそ その証……」
太陽が欠け始め 皆既日食が始まる。
チキン 「は?」
一番びっくりする チキン自称伯爵
チキン 「ホントに復活しちゃいそうザンショ」
子ども 「うわぁーん!魔王が復活するの!?」
子供が泣き始める。
チキン 「大丈夫ザンショ 私の予言なんて当たらないザンショ」
ー王国へ戻る道中 街道から外れた小高い丘ー
三太郎とマリアは巨人族の村からイースト・ドラゴンズ・バレー王国へ戻る途中
街道から外れた小高い丘の上。見晴らしの良い岩場で、皆既日食の間 休憩していた。
マリア 「どうやら 皆既日食が終わったようです。急ぎましょう」
三太郎 「うん 急ごう」と言って サッと大トリに乗る。
マリア 「え!勇者様 大トリに乗れるんですか?」
三太郎 「大丈夫 うん任せて」どや顔
マリア 「本当に大丈夫ですか?」不安だが仕方ないので 後に乗る。
三太郎 マリアの胸が背中に フニッ と当たってデレデレ
顔を真っ赤にしたマリア ハンマーパンチで三太郎を大トリから叩き落とす。
マリア 「走ってついて来て下さい」大トリを颯爽と走らせる。
三太郎 「マリアちゃ……マリアさま 待ってー」と走って追いかける。
マリア 後の荷物として乗せてる小型ロボに目をやる。
(このピーピー君を手に入れてから、急に笑ったり黙り込んだり……少し様子がおかしかったが、大丈夫そうだな)
マリアは大トリを止めて「ほら 置いて行きませんから、急いでください」
三太郎 追いついて「ハァハァハァ……ヒドイよ」
マリア 「当然の罰です。さぁ後に乗って下さい」三太郎を大トリに乗せてあげる。
ー王国の東門 昼過ぎー
三太郎とマリアは、イースト・ドラゴンズ・バレー王国へ戻った。
三太郎を大トリからおろし
マリア 「勇者殿 まだ何か悩んでいるなら 教会に行ってフラワー神父に相談してみろ」
「ダラク教は正直どうかと思うが……あの方は実に素晴らしい方だ」
「短い旅だったが楽しかったぞ! 王様に報告があるので、これで失礼する」と言って去っていく
東門から教会に向かう道 商店街を歩く三太郎 人々とすれ違う。
ひとりになった三太郎 スイカのように小型ロボを持つ
独り言をブツブツ呟く
三太郎 「俺はダンジョンで何度か魔王軍の魔族にあっているが、魔族の力は魔物どころの騒ぎじゃないコトを充分理解している」
「当然 話なんか出来るような相手ではない。非道・残虐を絵に描いたような存在だ」
「しかし ホントに大量破壊兵器など作ってしまって良いのか」
「多少の知識がある人間……あのロボットは、なんかオレのコトを待っていたようだ」
ー教会ー
教会の前には、女神ダラクの銅像が建てられている。
三太郎はこの教会の前をよく通るが、この女神像を見るたび、心の中で必ずこう思う。
三太郎 (……こんなにスタイル良くないよな)女神に対してあまり良い思いのない三太郎。
あの女神を信仰するダラク教の教会に入るのは、この日が初めてであった。
教会の中は、ひんやりとした静けさに包まれていた。
高い天井にはアーチ状の梁が渡り、壁一面には色鮮やかなステンドグラスがはめ込まれている。
祭壇の中央には「聖なる花の紋章」 (キリスト教の十字架のようなもの ダラク教では2輪の花がクロスしお互いを支え合う「人」という時に似てる感じ)を刻んだ石板が置かれている。
フラワー神父が三太郎を見つけ近寄ってくる。
神父 「どうしましたか?」
三太郎 「神父様 もし敵が強すぎて 普通に戦ったら負けるのがわかってる時、どうすれば良いと思いますか?」
神父 「勝ち負けではありません」
「良いですか、例え勝てようが、暴力を選んではならない。武器を持てば、必ず争いは増えます」
「武器は、敵を倒す道具ではなく、憎しみを増やす種なのです」
三太郎 (理想だよな……)
神父 「理想論 頭がお花畑と、笑う人がいるかもしれません」
三太郎 (やば、本心を見抜かれた!)
神父 「現に私の頭の上にはお花が咲いています ハハハハハ」と頭を指差す。
「女神ダラク様は戦争など、疲れることは大嫌いです」
三太郎 (……あのダ女神なら、そうだよな……)
神父 「武器など持たず 陽だまりでゴロゴロしてる方が幸せではないですか?」
「みんなの幸せは、私の望みであり神様の望みです」
「楽しいことを考えましょう」
三太郎 「……」
「そうですね。神父様、ありがとうございます」
神父 「来た時よりスッキリした良い顔されています」
「私もお役に立てたようでよかったです」
三太郎は教会を後にする。
教会の周りで遊んでる子供の笑い声が聞こえる。
ー冒険者ギルドへ向かう道 夕方ー
子供達が遊んでいる。
三太郎 「一応 冒険者ギルドによって、ギルマスに報告してから帰るか」
(教会に来た時にも、この子達は遊んでいたのに、来た時は気が付かなかった)
(正しく使えばこの子達も守れる。やはり大量破壊兵器は抑止のために必要だ)
しばらく歩いてから、ふと思い出したように呟く。
三太郎 「楽しいことか……さすが神父さん、いいこと言うな」
「……」
「これで気兼ねなく爆弾が作れる!」
お読みいただきありがとうございます。
次回は三太郎はワクワクで爆弾を作ります。
第7話は、4/6 20:00 公開予定です。よろしくお願いします。




