第5話 触っちゃいけないスイッチ、押しちゃいました。
ー巨人族の村 入口ー
マリア 「勇者殿 着いたぞ!」マリアに何度も殴られ、顔を腫らした三太郎。
ようやく辿り着いたのは「村」と呼ばれていたはずの場所。しかし、その光景に思わず絶句する。
目の前には、石で作られた巨大な家が立ち並ぶ まるで超高層マンションのように天を突いていた。
三太郎 「でっけー村だな。こりゃ高層ビル街だな」
マリアの仲介により、二人は巨人族の長の屋敷へ案内される。
ー巨人族の長の屋敷ー
屋敷といっても中は意外に質素だった。大広間の床には巨大なゴザが敷かれているだけで家具などは一切ない。
巨人の生活は大きさこそ桁外れだが、使うものは驚くほど素朴で実用的だった。
マリアと三太郎はそれぞれが5m四方の座布団の上に正座して長を待つ
目の前には樽ほどの大きさのヤカンが置かれ、その口から注がれたお茶が大きな丼鉢に注がれている。
奥の襖のような大扉がゴゴゴ……と開き、影が差し込む。
現れたのは、20m以上の大きさ 灰色の髭をたくわえ上半身裸の巨人族の長だった。
巨人族長「待たせたな」
マリア 「お久しぶりです。長」と言って頭を下げる。
三太郎達の前で座ると その振動に三太郎とマリアは一瞬宙に浮く
巨人族長「久しぶりだな」
マリア 「突然の訪問 申し訳ありません」
三太郎 (これまた でけーな この間のドラゴンよりもでけーぞ)
巨人族長「うむ!今日はどうしたのだ」
マリア 「本日は同盟国であるこちらの国に この度、新しく勇者に認定された者のお披露目に参りました」
巨人族長「うむ」
マリア 「また、いつもの通り贈り物は荷物が大きいため2、3日後に到着になります」
巨人族長「いつもすまぬな」
巨人族の長が、ふと三太郎を見て「……そうか お前が……」
マリア 「どうかされましたか?」
巨人族長「いや なんでもない」
少し間を置いて「ん!それより その顔はどうしたのだ」
マリア 「道中 魔物と一戦 激しい戦いを繰り広げて来たので」
三太郎 (あんただよ)
「この度勇者にされ いや、勇者になりました うらしま三太郎と言います」
マリア 「長 これが我が国の王から預かって参りました親書です」
小さい親書を器用に読む 巨人族の長
読み終えた 巨人族の長「王に伝えてくれ」
巨人族長「申し訳ないが、もう、そなたたちの国を守ってやることはできぬのじゃ」
三太郎 食い気味に「何故ですか?」
巨人族長「我々には昔のような力はない この村を守るので精一杯なのじゃ」
三太郎 「いやいやいや 昔のようだなんて まだまだお若いじゃないですか 諦めてはいけません」
巨人族長「……」
三太郎 「それじゃ 何か欲しいものとかありませんか?」
「王に言って何とかしますから そんなこと言わないでください」
巨人族長「そう言われてもなー 村の高齢化が進み 申し訳ない」
三太郎 「このままでは イースト・ドラゴンズ・バレー王国は、なくなってしまいますよ」
「その時、きっと後悔します。あーぁ あの時あんなこと言わなければ」
巨人族の長 考え込んで……
巨人族長「そうだな!」
巨人族の長がお茶を一飲みし 大きな丼鉢をおく その振動に 三太郎とマリアは一瞬宙に浮く
巨人族長「代わりと言っては何だが……」 「我が村にあるダンジョンに行ってみるが良い」
「我々の大きさでは入れなかったので放置していたが」
「どうやら高度な文明だった 前文明の跡が残っていると言う」
「たぶん お前を待っていたのだ」
三太郎 「なんかよくわかりませんが、高度な文明には興味ありますし 場所を教えてください」
巨人族長「では、案内しよう」
三太郎 「マリアさんはここにいて下さい 自分ちょっと行ってきます」
マリア 「いや 勇者殿に もしものことがあっては困る 一緒に行こう」
三太郎 「ダンジョンは危険です。お願いだからマリアさんはココにいて下さい!」
「キレイなマリアさんに危ない目に合わせたら男が廃ります」
(消えられなくなるからダメなの!)
マリア (この間は、私を残して逃げたのでは……)不信感
(しかし、この男はBランク冒険者ダンジョンは慣れたもの)
(一方、私はダンジョンには入ったことがない 足を引っ張る可能性も)
(この男に借りを作ると 何を要求されるか……)
「わかった!勇者殿がそこまで言うなら ここで待たせていただきます」
三太郎は巨人族の長の肩に乗りダンジョンに向かう。
三太郎 「では、行ってきます」とマリアに手を振る。
ー巨人族の村 ダンジョンー
マンション(巨人族の家)とマンション(巨人族の家)の間に小さい穴=ダンジョン
巨人族の長に肩から降ろされ
三太郎 「ありがとうございます では、行ってきます」
巨人族長「気をつけて行け」
三太郎がダンジョンの中に入る。
足を踏み入れた先は、岩肌むき出しの洞窟のようでありながら、床や壁には何やら機械らしきもののスクラップがそこらじゅうにある。
他のダンジョンと違い かすかに金属が酸化した匂いが充満する。
何百年というよりも何千年・何万年もたったもののようで、長い時の流れの中で砂と同化しつつある。
次の瞬間 突然 目の前が崩れだすと 大きなモノ(巨人族の指)が下に下がり 上に上がる。
太陽光が中に入り 出来た穴から大きな目が中を覗く
巨人族長「どうだ 何かあったか?」
三太郎 「びっくりさせないで下さい」
巨人族長「うははは すまんすまん」
三太郎 「まだ 何も見つかりません」
巨人族長「昔から、興味があったのでな 何かあったら言ってくれ」
三太郎 「わかりました」
ダンジョンから少し離れたところで様子を伺う四人の影 ボーンヘッドの三人である。
アサジエ「どうします あそこに巨人族がいたんじゃ ダンジョンに入っていけませんよ」
「このままじゃ また三太郎にお宝……」
アクジョ(小声)「シー!ショウワもいるんだよ」
「こういう時 頼りになるのが ショウワ お前だ!」
「お前があの巨人族を引きつけてる間に私達がダンジョンに入る」
ショウワ「よくわかりませんが あの巨人族を引きつければよいのですね」と言って二人と離れる。
ショウワが巨人族の長のケツに向かって思いっきり石を投げると ポコン!
巨人族長「ん!」
アクジョ「バカ 早いよ!」
巨人族の長が振り向くと 目の前に ダンジョンに入ろうとしてた二人と目があう。
巨人族長「何だお前達?」
ボーンヘッドの二人が揃って逃げていく。
アクジョは自分が逃げるため アサジエの足を引っ掛け逃げる。
アサジエは転び「置いてかないでーーー!」と叫びながらハイハイして逃げる。
巨人族長おもしろがって、アサジエのおしりを パチン! と指ではじくと
アサジエが飛んでいく「あれーーーーーーーーー」
ショウワ「みなさん どうしたんですかー サポートしなくて良いんですか?」と言って追いかける。
巨人族の長が開けた穴から太陽光が入り
どこからともなく ピ・ピピピ・ピピピピピピピッピ パッ・パッ・パーン と音がなり
スクラップの中からロボットが登場
ピピピと言うと 壁に向かって映像を投射
白衣を着た男がこちらに向かって語りかける。
映像 「この映像を見ているものよ 我々の文明は核戦争により滅びた」
「科学者としてココに記録として映像を残す」
「この映像を最後まで見て興味があれば 最後の質問に答えて欲しい」
青空の下、賑わう都市。立ち並ぶ高層ビル。
しかし突然、空が白く光り、街が白い光に飲み込まれると 巨大なキノコ雲が出来 文明は一瞬で消し飛んだ。
そして映像は続く、廃墟となった都市の瓦礫の間で、人々が咳き込み、血を吐き、肌にはただれた傷。
病気で苦しみながら次々倒れていく人々 壁への投射が終わり
ロボットのディスプレイに
「最後にあなたに質問です。」
「このような兵器に興味ありますか? 神にも悪魔にもなれます」と表示
三太郎 (あの映像は核爆弾だ!そんなものを蘇らせてしまって良いのか?)
(いや、今は魔王が復活するかも知れない緊急事態)
(抑止として使えば 人類を守ることが出来るはず)
(大学を卒業して10年 理工学部での勉学がようやく活かせる)
胸の奥がざわつく。怖い。でも止まらない。
三太郎 「なるほど こいつを蘇らせられるのは たぶんこの世界ではオレだけ」
「ダメだダメだ……でも、ワクワクが止まらない」
そして震える指で「YES」を押してしまう。
ロボットのディスプレイに
「あなたに託す。小型ロボに全ての情報が蓄積されています」
「多少の科学の知識があれば理解できるよう最適化されています」
「小型ロボに指示を出せば、材料の調合・構築の手順を補助します」
「最後に 我々の過ちを繰り返さぬよう 正しく使用されることを望みます」
「また 小型ロボ自身にも自爆機能があります」
「この技術は未来永劫必要ないと判断したら責任を持って爆発させ処分してください」
するとロボットが崩れ出し 煙の中から 小型ロボが登場
三太郎は 魔法の世界で 大量破壊兵器という科学兵器を手に入れた。
タッタタ・タッタター(レベルアップ音が三太郎の心に鳴った)
ー巨人族の長の家 1時間後ー
三太郎 「先に帰らないで下さい」
(巨人族の足で数分だったのに えらく時間がかかった)
巨人族長「あそこで待ってるの飽きたのでな」
「それより 何か役に立ちそうなものはあったか?」
三太郎は小型ロボを見せる。
巨人族の長 指と指で小型ロボを挟み 見る
「ずいぶん硬い しかも小さいのに、ズッシリと重い これは昆虫か何かか?」
小型ロボがピピピと音を立てると電流が走り
巨人の長は ドーン と尻もちをついてしまう。
三太郎もマリアも3mぐらい上空に吹っ飛び「ぎゃー」と叫ぶ
巨人族長「ワハハハハハハハハハ」
「ワシに尻もちをつかすとは 面白いモノを見つけたな」
三太郎 「これ本当にもらって行って良いのですか?」
巨人族長「お前が見つけて来たものだ 我々には必要ない」
「お前達にしてやれるのはこのぐらいだ 持って帰るが良い」
三太郎は小型ロボを長から返してもらう。
「ありがたく頂いていきます」
マリア 「勇者殿 その丸っこくて愛嬌ある可愛らしいものは 何なのだ」
三太郎 「大量破壊兵器」と つぶやく
マリア 「兵器???そんな可愛らしいものが兵器なのか?」
お読みいただきありがとうございます。
次回も三太郎は全力で逃げます。
第6話は、4/5 20:00 公開予定です。よろしくお願いします。




