第4話 勇者ですが、戦う気はありません、あしからず!
ー巨人族の村に向かう道中 夕暮れー
夕暮れの光が、森の木々を赤く照らしていた。土の道は、ところどころ小石や草が顔を出している。
マリアを前 三太郎を後ろに乗せた一頭の大トリが歩を進める。
三太郎は、森で可愛らしいウサギが魔物に食べられそうになっているところを目撃する。
三太郎 (見殺しは後味悪いしな……あのぐらいならオレでも……)
(うん! マリアに少し良いところを見せるか……)
三太郎、大トリから飛び降りるとバサッと魔物を退治
三太郎は、食べられそうになっていたウサギに「もう大丈夫だぞ」と手を伸ばしたところで
ガキッ! 鬼ウサギに手を噛まれる三太郎
三太郎 「……」
バキバキと鬼ウサギの歯が欠けていく
逃げ出す鬼ウサギ 三太郎は、手を出したまま固まる。
マリアが大トリを引いてやってくる。「勇者殿 大丈夫ですか?」
三太郎 「ハハハ……つい条件反射で動いちゃった」
マリア 「わかります!わかります! 鬼ウサギ、特に可愛いですもんね」
「鬼ウサギは弱いふりをして 獲物を誘き寄せ 喰いつく危険なヤツです」
「普通のウサギと判別つかないから、私もよくやってしまいます」
「さすがに噛まれる前に八つ裂きにしますけど」
三太郎 (超すごいんだけど……)
マリア 「しかし、すごい装備ですね 普通、鬼ウサギに噛まれたら腕無くなりますよ」
三太郎 「ハハハ……」
(笑えないんだけど……)
小さな村に近づいたところ 大トリに乗るマリアと三太郎
マリア 「そろそろ途中の村が見えるはずだ」
「ギャーーーーー」と、少女が逃げてくる。後には数匹のゴブリンが追いかけてくる。
三太郎 「ゴブリンを頼む! おれは少女を安全な場所へ!」と大トリから飛び降りる。
マリア呆気にとられていると、三太郎は少女を連れて逃げていってしまう。
残されたマリアは、ゴブリンに囲まれる。
三太郎は少女と草むらに隠れる。
マリアは大トリから降りる。ゴブリン達が飛びかかる。
バサ!バサ!バサッと 瞬殺 次の瞬間には5匹のゴブリンのクビと胴が別れている。
マリアは、三太郎と少女のところにやってきて「勇者殿 終わったゾ」
少女よりも安全な場所にいる三太郎。
マリア少し呆れる。(この人、本当に勇者なのか?)
少女 「おじちゃん 守ってくれてありがとう」
三太郎と少女は手を繋ぎながら 村に
マリアは大トリを引き 三太郎と少女の後を歩く
(鬼ウサギの件もそうだが、勇者に相応しいかは疑わしいが、心根は悪くない……か)
ー名もなき小さな村ー
村は木造の家々が十数軒ほど並ぶだけの、ごく小さな集落だった。
土の道が家々の間を通り抜ける。井戸と小さな畑が点在。
少女の家は、藁葺き屋根の簡素な小屋。
少女の母は三太郎とマリアに深く頭を下げる。
「本当にありがとうございました」
三太郎 「いやいや 当然のことをしただけですよ」
三太郎を睨むマリア(この男は……)
少女の父「何も出来ませんが、今日は、もう遅いので泊まっていってください」
少女 「おじちゃん 泊まっていって」
三太郎 「どうするマリアちゃん 泊まっていく」
マリア (ちゃん……)
マリアは顔を真っ赤にして三太郎を殴る。三太郎KO
マリア 「では、一晩泊まらせていただきます」
ー少女の家 真夜中ー
通されたのは家の奥にある小部屋だった。
静まり返った村に、虫の声だけが響く。小さな窓からは月明かりが差し込む。
普段は物置として使われているのか、使い古された農具、壊れかけた木箱などが積まれている。
三太郎とマリアが少し離れて寝ている。
ムクと起きる三太郎
三太郎 「フフフ 今夜の食事アルコールを進めて正解 よく寝ている」
マリアの寝顔を見て
三太郎 「やっぱり、マリアはキレイだな〜」
ゴソゴソとゴキブリが……
三太郎 「なんだ ゴキブリか気持ち悪いな」
三太郎の後に仁王立ちするマリア 目つきがヤバい
三太郎 「ごめんなさい まだ何もしていません」
マリア 「ゴ・キ・ブ・リ」と言うと、剣を持って暴れ出す。
三太郎 「ひー」三太郎の方にゴキブリが飛んでくる。
三太郎の目の前2cmで剣が止まり 真っ二つに切れるゴキブリ
三太郎ふにゃふにゃと腰がぬける。
マリア ゴキブリを切ると、またスヤスヤと眠り出す。
手の震えが止まらない三太郎
ー少女の家 翌朝ー
まだ冷たい空気の残る食卓につくと、炉の火で温められた簡素な朝食が並んでいた。
木の皿に盛られたのは、黒パンと薄いチーズの切れ端、それに野菜を煮込んだスープ。
少女の母がニヤリとして近づいてきて
少女の母 小声で「昨晩は激しかったですね」と言われ
三太郎 「……」
(それゴキブリ退治でマリアが暴れてただけなんです)
少女 「お姉ちゃん、夜何かあったの」
マリア 「???」なんの事かわからない。
ー名もなき小さな村 出入り口ー
町民に見送られ 出発する。
少女 「おじちゃん また来てね」
少女の母「お幸せに」
町民もクスクス笑っている
三太郎 「……」
(街の噂になってる。違うんです。ただのゴキブリ退治なんです)
マリア 「みなさんも、お幸せに暮らして下さい」
三太郎は肩を落として振り向かず。
マリアは大トリを引きながら、後ろを向いて手を振って別れる。
少し村から離れたところ 大トリに乗って移動する二人
三太郎 「朝から何も喋らないけど オレ何かしました」
(ヤバい マリアの匂いを嗅いでいたのバレたか?)
雑木林を抜け、少し開いたところに出たところで
マリアは辺りを見回し
マリア 「この広さがあれば十分だろう」
三太郎を大トリからおろし 自分も降りると 大トリを木に縛る。
マリア振り向くと「勇者殿 一度手合わせしてくれぬか」
三太郎 「突然 どうしたのですか マリアさん」
(できるかよ あんなゴブリンを瞬殺した女と)
マリア 「勇者殿の実力を疑うわけではないが ご無礼を承知でお願いしたい」
三太郎 「……」
(どう返事すれば この人やめてくれるの……)
マリア 「では、こちらから いかせてもらう」と言って切り掛かってくる。
三太郎 一目散に逃げる。
追いかけるマリア「逃げるな!戦え!」
三太郎は、崖に追い詰められる。
マリア 「もう逃げられないぞ さぁ正々堂々戦え」
マリアが一歩踏み出したところで 崖が崩れ
三太郎、マリアが崖から落ちる。
三太郎は、とっさに右手で崖の端を掴み 左手で落ちて行くマリアの右手を掴む
三太郎 「絶対 この手を離さないぞ」と叫ぶ
(うっ重い! ダメだ!!)
マリアは足がついている。
マリア 「勇者殿 離してくれるか…… 大丈夫だ! 足が着いている」
「それより 指が一本無いようだな」
三太郎 「……」
マリア 「スマン!」
マリアと三太郎 崖の上に上がり
マリア 「一応 礼を言うぞ 勇者殿」
三太郎 「マリアちゃんと手を繋いじゃった」
マリアは三太郎を殴る。三太郎またもKO
マリア 「私は騎士だ! ちゃん!とか恥ずかしくてたまらん」
「とにかく二度とその呼び方はするな!」
(強さは結局わからなかったが……やはり冒険者)
(指が一本無かったり、袖から見えた大きな火傷の跡 命を張るところはあるようだ!)
ボーンヘッドの三人が三太郎を追いかけて登場
車を引くショウワは元気だが 乗っている二人は乗り物酔いでヘロヘロ
アサジエ「ウプッ、アクジョ様、そろそろ休みましょうよ」
アクジョ「一緒にいるのは王国騎士団の女だ! 今がガマンのしどころだよ!」
「わたしにはわかる、お宝の匂いがプンプンするよ」
アサジエ「すいません その匂い、たぶん私が吐いたモノの匂いです」
お読みいただきありがとうございます。
次回も三太郎は全力で逃げます。
第5話は、4/4 20:00 公開予定です。よろしくお願いします。




