ツインテール姐さん、運命の一本背負い
美月がその日も祖父の家でおやつをむさぼっていた時、清一は古いテレビの電源を入れた。
映ったのは、昭和の空気がむき出しになった任侠映画。
錆びた看板、湿った路地、極端に低いカメラアングル。
何もかもが美月の脳天をガツンと殴った。
ツインテールがピタリと止まる。
画面の中の男たちは危なっかしいのに、不思議と眩しい。
筋を通すために立ち向かう姿が、幼い美月の心に一直線に突き刺さった。
「じいちゃん……これ、めっちゃカッコええやん…!」
清一がニヤリと笑う。
「そらそうや。筋通してなんぼや。
美月、お前は“分かる”子やと思っとったわ」
その言葉に、美月の中でカチリと何かが噛み合う。
正義とか義理とか、よく分からないのに胸が熱くなった。
そしてその夜。
帰宅直後、美月は玄関で靴を揃えるやいなや叫んだ。
「ウチ今日から、義理と人情で生きるで!!」
父・真人は思い切りむせ、母・春菜は味噌汁の椀を落としそうになった。
家中が軽く騒然となる中、美月だけは一人、静かに闘志を燃やしていた。
10数年後――
真紅の戦隊ヒロイン“赤嶺美月”が生まれる最初の一歩になる。
幼い彼女はまだ知らない。
東大阪のツインテール姐さんとして始まった日々が、
未来のヒロイン誕生につながる大河物語になることを。
ただ一つだけ確かだった。
あの日、昭和任侠映画の輝きが、美月の運命をひっくり返した。




