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はなちゃんの日記  作者: ももねいちご


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4/13

保育園編

涙の別れから2年。はなは、3歳になった。


その頃から、はなに対して(この子は普通の子とは少し違うかもしれない)と、考えるようになっていた。


1歳上のいとこ(優香)の3歳の頃とも、私の子供たちとも、明らかに行動が違いすぎたのだ。



例えばはなは、放っておくとおなじDVDばかりを繰り返し見ていた。


それもセリフを暗記するほどだ。


(セリフもストーリーも覚えたものを、何度も見て、なにが楽しいのだろうか?)



他にも、買い物に連れていけば、いつの間にか居なくなり探さなければいけない。


しかし、見つけた時に叱っても、最初は泣いて謝るけど、それをまた繰り返す。


これを私は、()()()()()と呼んでいた。



それでも、普通の3歳児検診の項目は、全てクリアしている。


お話も大好きみたいで、返事なども普通にできる。


しかしながら、これにも問題があって彼女は、一度話し出すと止まらなくなるのだ。来月から幼稚園にはいるのに不安でたまらなかった。




そして、4月。はなは、幼稚園へ入学した。


年少組は、最初の方はお試し期間で、お昼までなので毎日11時にお迎えに行っている。



「はな〜。迎えに来たよ」


話しかけるが、こちらを向いてくれない。


はなは、積み木に夢中になっていた。いつもそうだ。


積み木が大好きで、何時間でもやり続ける。何度話しかけても、こちらを向いてくれないし取り上げれば怒って、癇癪(かんしゃく)を起す。


しかし、連れて帰らないわけにはいかないので、毎日が戦争(たたかい)だった。



「はなちゃんのおばあちゃん、少しいいですか?」


担任の先生にそう言われ別室へと案内される。


はなは、積み木に夢中になっているうちは大人しいため、とりあえず副担任の先生に預けて、私は担任の話に耳を傾ける。



「はなちゃんのここまでの様子を見て、単刀直入(たんとうちょくにゅう)に言います。はなちゃんには、発達障害があるかもしれません」


「え? はなが?」


何か他の子とは違うとは、うすうす思っていた。しかしそれが発達障害だということは、考えたこともなかった。


(おどろ)く私を無視するように、先生は淡々(たんたん)と発達障害の説明をする。



ADHD(注意欠陥(ちゅういけつじょ)多動性障害(たどうせいしょうがい)

・話しだしたら止まらない

・ふらっとどこかへ行ってしまう

・片付けが苦手

・保育園では、手遊びが多いらしく落ち着きがないようだ


ASD(自閉(じへい)スペクトラム症/アスペルガー)

・ひとりごとがひどい

・気に入ったフレーズは何回も言う

・初めての物や場所を()()()()()()

・気に入ったおもちゃを何時間も遊び続けて、話しかけても聞こえていないように見える時がある



確かに、はなの()()()()()と一致するが、それでも私は信じられなかった。


(はなが、障害者なんて……)


「この子のは、性格です。私が治してみせます」


「確かにまだ3歳なので、性格の可能性もありますが、1度調べてみることも……」


「この子が障害者なわけがありません。うちには、()()()()1人もいないんで!」


私は、どうしてもはなの障害のことを受け入れられなかった。だから、この日からはなの行動で、思ったことがあれば(きび)しくしつけるようになった。そうしていくうちに、徐々にに治る(ふつうになる)と思っていた。



「もう!泣くなら外に行きなさい」


そう言って、外に出したこともあった。


はなは、一度泣くとヒステリーを起こしたように1時間は泣き続けた。


これは、赤ちゃんの頃からあまり変わっていない。


でも落ち着くとすぐに謝ってきた。そんな素直な子だった。




2008年4月。はなは、小学生になった。


小学生の頃のはなは、優しい性格で元気もよく本が大好きだった。


お友達もたくさんいて、障害児かもしれないといわれたのが、ウソのようにちゃんと成長してくれた。



小学校3年生の頃には、片付けが苦手、話し出すとずっと話し続ける。言っちゃいけないことをいってしまうなど()()は多いが、少しづつ()()()()に近づいてきたと思う。


中学へ行ってもきっとお友達と仲良く過ごせる。


(由紀子)は、そう信じていた。




ここまでは、(はな)が発達障害を診断された後に、祖母を問い詰めた際に聞いた話である。



(はな)は、正直小学生の頃をあまり覚えていないが、いくつか覚えていることがあるので、この日記に書き記そうと思う。

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