保育園編
涙の別れから2年。はなは、3歳になった。
その頃から、はなに対して(この子は普通の子とは少し違うかもしれない)と、考えるようになっていた。
1歳上のいとこの3歳の頃とも、私の子供たちとも、明らかに行動が違いすぎたのだ。
例えばはなは、放っておくとおなじDVDばかりを繰り返し見ていた。
それもセリフを暗記するほどだ。
(セリフもストーリーも覚えたものを、何度も見て、なにが楽しいのだろうか?)
他にも、買い物に連れていけば、いつの間にか居なくなり探さなければいけない。
しかし、見つけた時に叱っても、最初は泣いて謝るけど、それをまた繰り返す。
これを私は、不思議行動と呼んでいた。
それでも、普通の3歳児検診の項目は、全てクリアしている。
お話も大好きみたいで、返事なども普通にできる。
しかしながら、これにも問題があって彼女は、一度話し出すと止まらなくなるのだ。来月から幼稚園にはいるのに不安でたまらなかった。
そして、4月。はなは、幼稚園へ入学した。
年少組は、最初の方はお試し期間で、お昼までなので毎日11時にお迎えに行っている。
「はな〜。迎えに来たよ」
話しかけるが、こちらを向いてくれない。
はなは、積み木に夢中になっていた。いつもそうだ。
積み木が大好きで、何時間でもやり続ける。何度話しかけても、こちらを向いてくれないし取り上げれば怒って、癇癪を起す。
しかし、連れて帰らないわけにはいかないので、毎日が戦争だった。
「はなちゃんのおばあちゃん、少しいいですか?」
担任の先生にそう言われ別室へと案内される。
はなは、積み木に夢中になっているうちは大人しいため、とりあえず副担任の先生に預けて、私は担任の話に耳を傾ける。
「はなちゃんのここまでの様子を見て、単刀直入に言います。はなちゃんには、発達障害があるかもしれません」
「え? はなが?」
何か他の子とは違うとは、うすうす思っていた。しかしそれが発達障害だということは、考えたこともなかった。
驚く私を無視するように、先生は淡々と発達障害の説明をする。
ADHD(注意欠陥・多動性障害)
・話しだしたら止まらない
・ふらっとどこかへ行ってしまう
・片付けが苦手
・保育園では、手遊びが多いらしく落ち着きがないようだ
ASD(自閉スペクトラム症/アスペルガー)
・ひとりごとがひどい
・気に入ったフレーズは何回も言う
・初めての物や場所を極端に怖がる
・気に入ったおもちゃを何時間も遊び続けて、話しかけても聞こえていないように見える時がある
確かに、はなの不思議行動と一致するが、それでも私は信じられなかった。
(はなが、障害者なんて……)
「この子のは、性格です。私が治してみせます」
「確かにまだ3歳なので、性格の可能性もありますが、1度調べてみることも……」
「この子が障害者なわけがありません。うちには、そんな子1人もいないんで!」
私は、どうしてもはなの障害のことを受け入れられなかった。だから、この日からはなの行動で、思ったことがあれば厳しくしつけるようになった。そうしていくうちに、徐々にに治ると思っていた。
「もう!泣くなら外に行きなさい」
そう言って、外に出したこともあった。
はなは、一度泣くとヒステリーを起こしたように1時間は泣き続けた。
これは、赤ちゃんの頃からあまり変わっていない。
でも落ち着くとすぐに謝ってきた。そんな素直な子だった。
2008年4月。はなは、小学生になった。
小学生の頃のはなは、優しい性格で元気もよく本が大好きだった。
お友達もたくさんいて、障害児かもしれないといわれたのが、ウソのようにちゃんと成長してくれた。
小学校3年生の頃には、片付けが苦手、話し出すとずっと話し続ける。言っちゃいけないことをいってしまうなど課題は多いが、少しづつ普通の子に近づいてきたと思う。
中学へ行ってもきっとお友達と仲良く過ごせる。
私は、そう信じていた。
ここまでは、私が発達障害を診断された後に、祖母を問い詰めた際に聞いた話である。
私は、正直小学生の頃をあまり覚えていないが、いくつか覚えていることがあるので、この日記に書き記そうと思う。




