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はなちゃんの日記  作者: ももねいちご


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12/13

中学生編②

その日は、2時間『美術』の授業が続けてある特別日だった。私は、美術部ということもあり、この日をとても楽しみにしていた。


1回目の美術と2回目の美術の間に15分間の休みがあり、事件はその時に起きた。



トイレから戻ると、私の絵の具セットがない。


(どこにいったんだろう)


と、考えながらあたりを見渡した。すると、後ろの席の子が、絵の具セットを2個持っていて、そのうちの一つが私のものと似ていたので、話しかける。


「ねぇねぇ、絵の具セット無いんだけど知らない?」


「え? 知らないよ」


そう言いながら、周りの子達とクスクスと笑っている。


(絶対何か知っているな)


そんなことを考えながら、絵の具セットをよく見ると染み(よごれ)の感じも、私のものと酷似(いっち)していた。


私のものなら絵の具ひとつひとつに名前が書いてあるはずだ。確認しようと思い、彼女たちに再度話しかける。


「ねぇ。その絵の具セットのさ。中身見せてくれない?」


「は? なんで?」


私の提案に応じてくれるはずもない。私は、絵の具セットには名前を書いていたことを告げた。それでも、相手は見せてくれようとしない。


だから衝動的に「見ればわかる」と、言いながら、強引に絵具セットに手を伸ばしてして中を見る。


結果として私の絵の具セットだった。


「やっぱり私のじゃん」


私が怒り出すと、その隣にいた女子のうちの1人が、急に私の筆箱を取り、隣の子に投げる。周りの子達で、キャッチ筆箱を始める。私は、それを追いかけていくしかなかった。


「待ってよー!」


そういいながら廊下を走っていた時、山下先生と遭遇(そうぐう)した。


「何をしているの」


先生が、怒りながらそう聞くと彼女たちは、遊んでただけです。と言って、私に筆箱を渡して逃げる。


「だいじょうぶ?」


「はい。大丈夫です」


「何があったのかは分からないけど。廊下は、走ったらダメよ」


「すみません……」


私は、”これ以上面倒になるのが嫌”で、先生にニコリと微笑みその場を立ち去る。


美術室へ戻ると今度は、美術の教科書が無くなっていた。


(またかよ。あと少しで休み時間終わるのに……)


しばらくして、美術室の水道の上に置いてあるのを発見した。


(うわぁ……)


としか思わなかったが、やっぱりショックだった。泣きそうになりながら教科書を拾いあげる。幸いにも、水を出されたわけじゃないため濡れていたのは、教科書の後ろの方だけだった。


しかしながら乾かそうにも、すぐにチャイムがなり、美術の『橋本 雄一(はしもと ゆういち)』先生に教科書を拾いあげている瞬間を、見られてしまった。


橋本先生は、わたしの教科書を乾かしてくれクラスの担当の先生に言っておくということで、授業を開始した。だからその場では、犯人は分からなかった。



後日、あのAくんが”教科書をダメにした犯人”だということが分かったが、それまでの間。毎日担任の佐保先生が家庭訪問をしたり、犯人探しを熱心に頑張ってくれていた。


しかし、そのことで佐保先生に今までのいじめのこともバレてしまった。おばあちゃんが、家庭訪問のときにしゃべってしまったのである。


(言わないでって言ってたのに……)


気まづかったのと思春期もあり、先生から注目されているのが、イヤでイヤでたまらない。その事件以来私は、佐保先生が”完全に嫌い”になってしまった。


小学4年生頃から始まった人間不信も、この頃から酷くなったと思う。私は、クラスの人とコミュニケーションを取ることを、完全に恐れてしまった。


2年生で担任が変わっても佐保先生からは、「桃園ならできる!」「桃園頑張れ」「先生と一緒に練習しよう」と、何度も声をかけてもらった。


でも、当時思春期の私から見たら彼は、”《干渉的(かんしょうてき)》な人”にしか思えなくてウザかった。



今となっては、ほんとうに申し訳ない気持ちでいっぱいである。

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