中学編プロローグ〜家族のこと〜
私の名前は『桃園はな』。ごく普通の中学生。
けれど私には、みんなと違う点が一つだけある。
私には、ママが居ない。
小さい頃おばあちゃんに聞いたけど「死んだんだよ」と言われたので、それっきり聞いていない。
小学2年生の時、生まれ故郷の広島に行った日。
お父さんに「お母さんのお墓はどこにあるの?」と聞いたら「どこだろうね」とはぐらかされた。
だから、私は母を知らないのだ。
お父さんは、私が小学一年生の時に広島から、福岡に帰ってきた。
だから今は、おばあちゃん、おじいちゃん、おじさん、おばさん、優香ちゃん、美波ちゃん。そして、美波ちゃんの2歳下の妹『春乃』ちゃんが一緒に暮らしている。
私は、家族が大好きだ。けれど、家族に嫌われているような気がする。
私が話すとおばあちゃんににらまれたり、お父さんから「揚げ足を取るな」と怒られる。
親戚が来るとそれがひどくなるため私は、家ではほとんど話をせずに生活していた。
最近は、いとこたちともほとんど話していない。
いとこたちは、話しかけてくれるが「あの子たちは、あなたをバカにしているんだよ」と、祖母に教えられていた。
だから、私はいとこたちが嫌いだった。
いとこと、おじさん、おばさんは家族じゃない。
私の家族は、おじいちゃん、おばあちゃん、お父さんだけ。そう思っていたし、それが家族の共通認識だった




