ビビりも悪い事ではない!?
ビビりも悪いことではない!?
魔族は、立ち去ったが、俺は、寝付けずにいた。
「くそぉ。寝れねぇ。秋葉の奴死にやがって、俺どうすれば良いんだよ。この先」と苛立ちが凄かった。
すると、霊になった秋葉が目の前に現れた。
「脅かすなよ。秋葉、成仏してねぇのか?」と俺は秋葉に怒鳴った。
秋葉は、消えていった。
「あんにゃろう。何がしたかったんだ?さっぱりわかんねぇよ。秋葉の奴」とその日、一睡も出来なかった。
俺は、いつも通りに寺子屋に行ったが、秋葉の座ってる所に花が置いてあった。
「くそ」と俺は花を投げ飛ばそうとしたが、秋葉の言葉が逐一よぎり、深く深呼吸するようになっていた。
「おい、雫ちゃんよ」と毅が絡んできたが、俺は、無視した。
「なんだよ?先生が怖くて怖気付いたか?」と毅は、煽ってきたが、怒る気力は、俺にはなかった。
「わからない奴は、何やっても理解しないな」と俺は、諦めの境地に至った。
それに対して痺れ切らしたのか、毅の拳が飛んできたが、俺は、少し避けて足を引っ掛けて転ばすだけにした。
寺子屋が終わり、帰りの道中に山本が喧嘩を仕掛けて来たが、俺は、気分ではなかった。
「怖気付いたか?雫」と毅と同様の煽りをして来たが、俺は山本に尋ねた。
「そう見えるか?」
すると、山本は、首を傾げて周りを見渡し秋葉がいない事を確認した。
「珍しい。一人か?」と山本は、俺に聞き返した。
「相棒は、死んだよ。俺は、一人だ。二人じゃなきゃ喧嘩も満足に出来ねーヘタレになっちまったよ」と山本に俺は弱音を吐いた。
「友人亡くして、凹んでるのにわりぃ事したな」と山本は、俺を気遣ってくれた。
俺は、少しばかり嬉しいかった。
「山本は、ゴロツキだけど。あったけぇな」と俺はそう口にした。
「いつも、張り切って向かって来ない奴前にしてあったけぇもクソあるかよ。馬鹿タレが」と山本は、俺に優しくしてくれた。
「山本って世話好きなんだな。慕われるのもわかるぜ」と俺は山本に言った。
「相手がお前だからだ。喧嘩相手をほっとけないそれだけだ。他に意味はない」と山本は、俺を酒場に連れて行き水を飲ませてくれた。
俺は、思わず涙を流した。
「馬鹿野郎、無理しやがって」と山本は、胸を貸してくれた。
「こいつは、でかくなるな。色々、背負い込んでそうでよ」と俺は、しばらく山本の側に居た。
山本は、嫌そうな顔せずに側に居てくれた。
俺には、山本が大きく見えた。
それから数年経ち、俺は、19歳になった。
山本は、相変わらずゴロツキしてるが、俺の前では、カッコつけていたが、俺を元気づけるのには充分だった。