時間は刻々と過ぎていく
時間は刻々と過ぎていく
「俺を行かせろ。山本」と俺は、戦いを焦っていた。
「そこまでして、死を選ぶのか?」と山本は、怒鳴りながら、俺と刀で対峙した。
「あいつらを見殺しにする気か?山本、いい奴らだったんだぞ?」と俺は、怒り任せに直刀を振り回した。
「太刀筋が、怒りのあまり、直線的だな。それで救えれると本気で思っているのか?自惚れるなよ。雫」と山本は、俺の直刀を弾き飛ばした。
床に、直刀が刺さり俺は、無防備になった。
そんな俺の喉元に山本の刃が突き立てられた。
「勝負ありだな。雫」と山本の呼吸は、荒かった。
「なんで、負けるわけには・・・・・いかないのに・・・負けたんだ。俺は」とどうしようもなく涙を流した。
「勝負の世界は、非常だ。戦争となれば尚更、腕の一本持ってかれても、文句は言えない世界だ。そうやって悔しくて涙流しても、許される世界でもない。みんなを笑顔にとは無縁の世界だ。お前だってそれが理解してるから苦しんだろ?雫」と山本は、刀を引き、鞘に納めた。
山本は、俺を抱きしめた。
「俺は、お前を死なせたくない。副団長として、一人の人間として」と山本の行動には偽りはなかった。
しかし、俺は、色んな感情がごちゃ混ぜになり思わず山本に
「あいつらをどうする気だ?死んだら永遠にお別れなんだぞ?秋葉だって生きたくても生きられないんだ。そんな未来を辿らせるつもりか?」と疑問を投げかけた。
すると、山本は「無事を祈るのも、一つの生き方だ。俺ならそうする。帰る場所を用意するのも、俺らの仕事だ」と俺の疑問に答えた。
「帰ってくる場所?」と俺は、理解出来なかった。
「帰る場所なかったら、俺らのありがたみも知らずに生きていく羽目になるのは、仇討ちに行った奴らの方だ。待つ側も、しんどいものわかるぞ?雫、俺は・・・直接、力になったところであいつらは、当たり前と思うだろう。当たり前は、当たり前ではないのにも関わらずにだ。俺は、それが一番許せないんだぜ?雫」と山本は、俺に気持ちをぶつけてきた。
「みんなが平和に生きる世界を作るって一番の理想論なのかもしれないな。山本・・・・・わかったよ。連中を追わない。俺も待つよ」と山本に俺は、言った。
「生きて帰ってくるのを待つ。俺らは巻き込まれた被害者だ。加害者になったら意味がない。今までの信用を失う事になる」と山本は、俺に語った。
「そうだな。俺、頭どうにかしてた。待つ人も確かに大事だな。忘れてたぜ」と俺は、直刀を手に取り鞘に納め、皆の帰りを待つ事にした。




