それでも、俺たちにやることはある
それでも、俺らのやることはある
幕府を倒そうする連中や幕府を守ろうとする連中が、自警団太刀風を抱き込もうとしていた。
しかし、俺らは、あくまでも、治安を守る立場な為、頑なに断っていた。
「またかよ。何件目だよ?力貸せだのなんだの」と俺は、どっちの立場にも怒りを覚えていた。
「確かにやかましいな。俺らは、困りごとを解決する為の集団だってのにな」と山本は、俺の話に強く頷いた。
「人間は、勝手な生き物だ。民衆が一番の被害者だってことを知らずに生きている」と二宮も頷いてくれた。
「上が腐敗してるのも、わからなくはないが、誰が上に立とうが、結局は腐敗するのは、明白なのにご苦労なことだよな」
「確かにちげーねーや」
「団長、うちらは、加担しねーぜ」と団員達も気持ちは一緒だった。
俺からしたらありがたかった。
「かと言って、俺らが上に立つのも違うしな」と団員の一人である鮫島高槻が悩んだ。
「確かに鮫島の言う通りだ。上とか下とか、そんな時代ではない筈だ。みんながいないと俺が成り立たない様に離れる奴は離れるし、ついてくる人間はついてくるわけだしね。俺は一度も自分が偉いと思った事一度もない。民衆や農家の皆んながよくしてくれるから今日まで生きて来れてるわけだし」と俺は皆の前で語った。
「それだけ分かればそれでいいよ。そういう団長がみんなが好きだからよ」と山本は、俺に言ってくれた。
「そうだぜ、団長。俺らは、あんたの力だぜ」
「農家の人達も言ってたぜ。俺らがいて助かるってよ」
「雑務も悪くはねーな」
「ちとだるいけどな」
「ちげーねーや」と団員達は、笑った。
「全く、こういう馬鹿がいてくれないと団長失格とはな不思議なもんだな」と俺は、呟いた。
「俺らがいるから農産物にも被害でないし治安守れるってもんよ」
「ちげーねー」と団員の笑顔が絶えなかった。
「さてと、また妖退治でもするか」
「おー」
「俺らのおはこよ」
「任せろってんだ」と団員達はやる気に満ちた。
「山本、依頼取ってきてくれないか?団員達がせっかくやる気なんだ」と俺は山本にお願いし、山本は、引き受けてくれた。
「俺は、頼りないかもしれない。だけど、みんながいるから戦える。討伐に行く支度をしろ」と俺は、全員に指示を出した。
山本は、見廻組に絡ませてた。
「おい、太刀風の山本だな。面貸せ」と随分な物言いだった。
山本は、それに対して怒りを覚えてたが、我慢した。
「俺らの組に入れ、お前の腕が欲しい」と勧誘だった。
山本は、深呼吸してから、断った
すると、それが気に入らないらしく山本に見廻組の連中は刀を向けた。




