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0.6. リーブラックポート

「エミル・・・だよね?

私のことよく分かったね。

久しぶりだね。そっちこそ何してるの?」


エミルは、ややぽってりした頬をぽりぽりかきながら

そして、やや気まずそうに口を開いた。


「フィヨナから君のことは聞いてたから、写真も見せてもらってたしね。」


「俺、その、小羽屋を出てからここに勤めててさ。

あっちにも帰りずらいし・・・

勤め先のエール工房の親方に

物資の運搬護衛依頼を出して来いって言われてて

この有様でしょ?

冒険者ギルドは無理そうだね。」


少々しょぼくれてこう言った。

そしてさらにゴニョゴニョと小さい声で続ける


「その、小羽屋のこと本当にごめんね。

俺も気にはなってんたんだ・・・」


「いや、お婆ちゃんから聞いたけど

給料もあんまりあげられてなかったみたいだし

むしろ悪かったと思ってるよ。

結局のところ、こんなことになってるんだから

エミルは良かったよ。」


「そんな嫌味言わないでよ・・・」

エミルは少々悲しげな顔になった。


「いや、本当にそう思うよ。」


ユーリは嫌味を言うつもりは毛頭なかった。

実際に、100%心の底からそう思っている。

しかし今は、そんなことを話している場合では無い。


「私もお婆ちゃんに会わなきゃ・・・

なんとか現地まで行けないかな。」


エミルは残念そうに口を開いた。


「リトル・ウイング入村規制だもんね

あ、1つ手前の集落、リーブラックポートなら行けるよ。

今もそこに行こうとしてるんだから。

リトル・ウイング村の人も

避難ならリーブラックポートに行くはずだから

行けば何かわかるかも・・・」


そこまで聞いて、ユーリは

一つ思いついたことがあった。


縋る思いでエミルにお願いした。


「私がやれば良くない?

お願い!エミル!私が無償で護衛する!

護衛って、防御魔法かけまくればいいんだよね?

別に私その先で戦うわけじゃないから

魔力温存とか必要ないし!

足りなければ、魔力回復ポーションとか

護符とかもたくさんあるし!!」


防御魔法の類は、魔法学校では必須ファクターであった。


在学中実習で運送馬車の護衛をしたことはあったし

更には、魔法道具店にでバイトをしていたこともあり

曰くつきの品を迷宮(ダンジョン)から取ってくる

というミッションも

数回はこなしたことがあった。


しかも、幸いユーリは魔法学校で

隠密魔法に関するセミナーに参加したことがあり

多少はその心得もあった。

あのセミナーがここで役に立つなんて・・・!


魔力回復ポーションや護符については

元バイト先の大手魔法道具店で

セール品を買い漁ったものだった。


ユーリは当時の自分に少し感謝した。


エミルは驚いた顔をする。

「ええー!?そうか、君、王都の魔法学校卒だったね。

・・・まあ、親方が良いって言えばね。

おいでよ。」


エミルは、エール工房に案内をしてくれ

親方に一通り話をつけてくれた。

エール工房の親方は厳つい顔をした中年男性であった。


最初はほぼ冒険未経験者のユーリを怪しんでいたが

都で売っている一級品の護符を見て

目玉を飛び出させていたので

数枚はプレゼントすることにした。


「ユーリちゃん、リーブラックポートまで頼んだよ!」


最初とは打って変わってニコニコの親方になった。


こうして、ユーリはまず

リーブラックポートを目指すことになったのである。

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