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60. 作戦会議

オーガのザラストル率いる

停戦合意調印使節団受け入れに際し

その警備にあたる人材が決まった。


ユーリが最後の1人に

モメラスを推薦した時

サムエルは、極めて納得がいかないと言う

ものすごく嫌な顔をした。


しかしながら、諸々の事情を考慮して今回の件は

ごく少数の者にしか知らされていない

極秘事項であるため

身内で固めるのが良いと考えていたのだろう。

その嫌な顔を一旦引っ込め


実力だけ知りたいからと

公平を期すために

クラウド様と、イーシュトライン侯爵側近の方に

モメラスと、ザイカを

面接会してもらうことにした。


結果的に彼らは、2人とも適正と判断した。


特にモメラスは

「彼、人間だったらイーシュトライン役場に

すぐ引っ張って行くんだけど。

精霊召喚士、他族種枠作ってみようかなー。」


などど、クラウド様を唸らせた。


サムエルはエミルの件もあって

ユーリの人選を、男性に関する人選は特に

信用していないらしい。


これを機にそろそろ考え方を

アップデートして欲しいものだと

ユーリは考えていた。


ザラストル御一行様チェックイン

一週間と少々前

小羽屋で警備のための全体会議が開かれた。


クラウド様

・・・相変わらずお元気そうだ。

本日は珍しく真面目な顔をしている。


イーシュトライン侯爵の側近

ユーリも会うのは今回3回目

名前を

レジナルド・スロックモートン=ペンハリゴン

と言うらしい。

何度聞いても覚えられないし

どこを取って呼ぶべきかもよくわからない。

クラウド様は愛称のレジィとか呼んでいるから

何と呼んで良いかもわからない。

ユーリは名前をいつも呼べないでいた。

こちらは、いつも真面目な方なのだが

本日は更にその真面目っぷりが増している様に見える。


モーリス・ボーモント, リトルウィング村村長

・・・極秘とはいえ、一応知らせねばなるまい。

モーリス村長は少々不安そうな顔をされている。


そして、サムエル、ザイカ、モメラス

ハチ, ユーリ・・・


小羽屋の食堂は宿泊のお客様の往来があるし

控え室にはもちろん入り切らないので

空室になっている客室を使って行われた。


元々2人定員の部屋であり

全くもって会議向きの部屋では無いので

ベッドを中心に話さざるを得なかった。

そして参加者は皆

思い思いの場所に立っているしか無い状態であった。


念の為ユーリはそこにも防音魔法を施した。

ユーリはここに小羽屋の見取り図を広げた。


挿絵(By みてみん)


「考えたのですが

一応のことを考えて、使節団の皆様は

1階をご利用にならない方がいいと思うのです。

この最上階の10番の部屋に2名様、9番のお部屋に2名様

2階の7番に1名様

その周りを我々で固めるのはいかがでしょうか?」


一階は、地上と繋がっている。

それだけで、安全性が下がる上に

万が一の脱走の懸念も一気に上がる。


サムエルが口をだす。

「5人中3人が高官だって聞いたぜ。

相部屋は、まずいよ。」


「一応3階の2室は4名様定員ですし・・・」

2人でも十分利用できるのでは?

と思ったのだが

これは庶民の感覚なのであるらしい。


サムエルは話にもならないとでも言う様に

ユーリの話を無視した。


クラウドがそこに口添えをした。

「俺はユーリの

1階をなるべく使うべきじゃないって

言う意見には賛成だな。

そのうちの2人は下っ端なんだな?」


「・・・多分な。」

とサムエルは言う。


イーシュトライン侯爵側近が

今回の使節団名簿を持っていたので

それを広げてみせた。


ザラストル: オーガ、魔法使い

パゲーノ: ザラストル様側近、オーガ、魔法使い

ノスタトス: ザラストル様側近、オーガ、魔法使い

シュンテン: 多種族連盟加入オーガ種族の長、魔法使い

タミー: シュンテン側近書記官、オーガ、魔法使い



「魔法使いしかいませんな・・・」

リトルウィング村長は

皆が思っていることを言ってくれた。


そもそも、オーガは大概

強力な魔力を持っているので

魔法使いで無い者など, いないはずだ。

ここに書かれている事は

かなりざっくりした情報でしかなかった。


ユーリも考える。

「えっと、性別はわかりますか?

どのみち、男女を同じ部屋にするのは

いかがかと思いますので。」


ここには部屋割りに最も肝心な性別が書いていない。


誰も何も言わない。

何分オーガの名前など馴染みも無いので判断もできない。

性別わからない以上

全員別室にせざるを得ない。

1階もふんだんに使わねばならない。


「この, シュンテン様は

僕も会ったことがある。女性だよ。」

サムエルは言う。


言われれば、ユーリにも覚えがあった。


新聞で名を見たことがある。

オーガも多種族連盟に加入するべきだと

長きに渡って主張していた。

北方にあるオーガ種族の女性であったと記憶している。


「名前的には、シュンテン様以外は男性です。」


おずおずと、口を割ったのはモメラスであった。

皆が注目したのでモメラスは一瞬ビクッとしたが

それでも負けじと主張する。


「オーガの文化と、トロルの文化は似ているので。

名付けの法則はわかります。」


「確かか?」

クラウドがモメラスに聞き返す。


「はい。」

モメラスも強い意志で返事をした。


「その場合、タミー様、パゲーノ様を

相部屋にしていただいて

ノスタトス様、ザラストル様、シュンテン様を

個室に、ご案内すると言うことで。」

ユーリも主張してみる。


「1階には誰が泊まりますか?」

リトルウィング村長が聞く。


一番気になるところはそこだ。

この計画だと、一階に誰か1人は泊まることになる。


「ザラストルにしましょう。」

サムエルは言う。


おそらく、その場の皆はほとんどが

シュンテンを思い浮かべたと思う。


「ザラストルが脱走すると言うことは無いよ

彼の性格的に。

それよりは、シュンテン女史の安全と

メンツを確保するべきだ。

・・・後、シュンテン女史と側近は同じ階の方が良い。」


サムエルがこう発言した。


皆が、一瞬

諸々を思考した。


ユーリもそのメリット、デメリットについて考える。

おそらく、村の人らの安全を思うなら一階はシュンテン様であろう。


しかしだ、上座、下座、的なことを考えるなら

相部屋、諸々を考慮しても

シュンテン様、女性を、末席の一階にするのは

些かよく無い。


話は戻るが、そもそも今回は

このオーガの皆様が何かを起こす事は考えにくい。

ザラストル様が一階にいようと

脱走して村人達を襲う可能性は低いと言える。


オーガの皆様に安全に過ごしてもらうことが

宿屋としての一番の勤めであると

ユーリは把握していた。


その時

それらの問題全てにコミットする案を

ユーリは思いついた。


「あの、私、一時的に時空遮絶結界を発動させます。

詳細がわからないので

私の恩師であるマリーン先生にもご協力いただきたいのですが

いかがですか?」


皆が・・・え?となった。


「マリーン先生とは、あのカミーユ・マリーン教授のことか?」

イーシュトライン侯爵側近が真っ先に食いついた。

やはりあのおじいちゃん先生は

魔法陣研究者として高名であるのだ。


「はい、私の魔法学校時代のゼミナールの先生です。

この間も魔法陣について

ご助言いただきまして・・・」


「ここに施されている対魔除の大結界は

マリーン教授助言のもと行われていたのか・・・

それならば納得だ。」

イーシュトライン侯爵側近はうんうん、と

勝手に納得していた。


マリーン先生に助言してもらったのは

朝食お粥の保温に使う

簡易釜戸の魔法陣の件なのだが。

・・・まあ、良い。


ユーリは何やらフスっと

笑いが込み上げてきた。


「サムエル様、申し訳ありませんが

この件、また、マリーン先生に

お手紙を届けていただけませんでしょうか。

もう時間がありませんので、転移の巻物でもなんでも使って

来てもらう必要があります。」


ユーリはサムエルにお願いした。

サムエルはその前に何か言おうとしていたが

ユーリはそれを無視した。

先ほどの仕返しであった。


「・・・伝えるよ。」

サムエルはムッとして答えた。


これで、外部のやりとりが一歳できなくなる結界が張れる。

問題も何点かある。


「空気の流れが心配だから、モメラス、お願いだけど

精霊召喚を、特にシルフ(風の精霊)の流れを

定期的に気にして欲しいです。」


「わかった。」

モメラスは頷く。


「ハチは、この結界の外を警戒してください。」


「了解。」

渋い声が窓辺から聞こえた。

グーンと伸びをしている。


「そう言えば以前モメラスは

オーガはお酒が好きとかなんとか言ってたけど・・・」

ユーリは思い出した。サムエルに聞かねば。


「あ、あれは、ユーリ、冗談だよ・・・?」

モメラスは慌てて言う。


「でも、せっかくですし、おもてなしと言うか

ちょっとした酒宴は開いた方が良いと思うのです。」

ユーリは考える。


その場にいる一同を見やると

リトルウィング村長、イーシュトライン侯爵側近は

うんうん、そうだな。

と、納得している様であった。


その場の何人かは、何やら気が進まない

よく分からない不穏な顔をしているのを

ユーリは認めた。


やがて

サムエルが口を開いた。


「ユーリが、一滴も酒を飲まないならね!

僕も、それには賛成だよ!」


指名されてしまった。

モメラスもうんうん、と深刻そうに頷いている。

ハチは、他所を向いてユーリと目を合わせない。


その他のメンバーは、そんなに?と

訳が分かっていない様子であった。


もちろん、そんなことはユーリだって承知であった。

飲める訳が無い。


その準備は全てユーリがやるのだから。


ここに大体の作戦は決まった様に思えた。

もちろん、ヒーロにも作戦は聞いててねと言っていたので

この場にいなくとも聞いてくれているはずである。

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