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第7話 貪食の怪物

「やっべぇ、遅刻だ!」


 コウは昨晩、疲れはしたもののその疲れより、昨晩起きた世界の繰り返しについて、考えていて夜更かしをしてしまった。


 今後、同じことが起こるのか、原因はなんなのか。

 一晩中考えていたが結局、答えは見つからなかった。

 コウが、廊下を走り、曲がり角を曲がろうとした。

 すると、コウは、誰かとぶつかり、しりもちをつく。


 ぶつかった人物は、赤茶髪を腰まで伸ばした、黒い服を身に着けた女性だ。

 頭の両端だけをツインテールにして残りはそのまま伸ばしたその姿は、触角と羽をもつ昆虫のように、思える。

 彼女は赤黒い目で、コウの方を見ながら立っていた。


「すみません、急いでて失礼します。」


 コウは、頭を押さえて立ち上がり、再び廊下を走ろうとする。

 だが、それは赤茶髪の女性の言葉、によって止められる。


「ほう?妾にぶつかって謝罪のみとは、汝…良い度胸をしておるのぉ?」


 赤茶髪の女性の発言に、周りにいた機関の兵士達が、ざわざわし始める。


「おい、あいつ、昨日入って来たばかりの新人だろ?誰か助けてやれよ…」


「無茶言うな、相手は『貪食の怪物』だぞ…関わったら、取って食われちまう…」


 その話を聞き、赤茶髪の女性は、「なんじゃ度胸が良いのではなくただの無知か。」と言い、ずいっとコウに近ずく。

 体の大きさは、断然コウの方が大きいが、威圧感のあるオーラを放つ彼女に、ごくりと唾をのむコウ。


「ほう?今頃怯えるか。だがなんじゃろうな、汝の目には、それほど死の恐怖が感じられんの?」


 コウの目を、睨むように目を細める彼女。

 それに、コウが圧倒されていると、コウの後ろから、ココルが現れた。


「ん?コウ、こんなとこにいたのか。もう朝礼が、始まってしまうぞ?

 む?バグジアス元帥ではないか、ウチの新人がなにかやらかしたか?」


 腰に手をあて、赤茶髪の女性を、見下ろすココル

 その光景に、周りがより騒がしくなる。


「なんじゃ?アヒル女の部下じゃったのか。なら、礼儀も、妾への恐怖も、ないわけだ。」


「お待ちください!!」


 騒ぎを聞きつけてかヒルが、コウ達の元に走ってきて、赤茶髪の女性に、勢いよく土下座をする。


「この馬鹿どもが、なにかしでかしたのなら、私が謝ります。

 なので、なのでどうか、彼らの命だけは…」


「な、なんじゃ、ゆで卵…。別に妾は、こやつらを食おうとか、そんなことは思ってないぞ?

 ただ、妾を前にして、『すみません』の一言で済ます、この小僧の度胸を褒めただけじゃし。」


 赤茶髪の女性の、その答えに三人は「は?」と答える。


「なんじゃ?

 妾は、最初っから言っておったろ?『良い度胸』じゃと。」


 ぽかんとしている女性に、コウは「絶対意味違う!!」と、盛大にツッコミを入れる。


「そ、それでは、新人君が無礼を働いたのを、怒っていたわけではないと?」


 ヒルが、立ち上がりそう聞くと、女性は、ぽかんとした表情を崩さずに答える。


「元より、妾は人間なんぞにぶつかられても、痛くもかゆくもないぞ。

 ぶつかったことだって、こやつが、しりもちをついたから、気付いたぐらいじゃ。

 それなのに、汝らが勝手に、頭を地面に擦り、妾に餌をよこすだけじゃないか。

 まぁ餌は喜んでもらうが、謝罪なんぞいらんわい!!」


 最後の言葉を言うと、初めて笑顔になる彼女。

 その笑顔は、今までの、威圧感のある雰囲気とはまるで違い、無邪気に笑う子供のようだった。

 ヒルは、汗を拭き、腕につけた時計を見て、慌てる。


「おっと、もうこんな時間じゃないですか!!」


 その発言に残りの三人も慌てる。


「やっべ朝礼に遅刻する。」「あ、朝礼忘れてた!」「あ!妾会議に行く途中じゃった。」


 三人が、同時にそう発言し、それぞれが、それぞれ行く場所に向かって走り出す。


 しかし、途中で、赤茶髪の女性は、コウ達の方を見て、大きく手を振る。


「あ!それじゃあ、またのぉ、アヒル女に、ゆで卵に、勇者の卵君。」

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