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ワールドプリズン 〜その監獄からは逃げられない〜  作者: HAKU
第三章 希望の花

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20話 未来の為

 前回のあらすじ

 泣いているキキを心配して、話を聞くコウ。

 なんと、キキの持つ人形、メリーが八元帥の1人ギャラクによって連れてかれたのだった

 コウは走る。目指すは機関の最東。ギャラクの研究所だ。

 コウは鋼鉄の扉を押し開く。


「ギャラク元帥!!」


 コウの叫びに、コウと同じ年齢程の、赤いツインテールの少女と青いロングヘアの少女が振り向く。


「なんだお前は?」


 赤いツインテールは、腰に携えた剣を1本取り、それをコウに向けた。

 そして、青いロングヘアは持っている、彼女の背丈ほどの長さを持つ、金属製の杖を地面に叩き付ける。


「ギャラク様に何か用ですか?」


 さらに2人は同時に言う。


「お前、名前と所属を言いやがれ!」

「貴方の身分を証明してください。」


 2人が同時に、発言した後、突然彼女達は互いを睨み始める。


「おめぇ、アタシの真似すんじゃねぇよ。」


「貴方の方こそ、私の台詞を奪わないでください。」


 突然始まった2人の喧嘩に、コウが驚いていると、部屋の奥にある鋼鉄の扉が開く。


「なんだお前ら?また喧嘩してるのか?」


 扉からは白い鎧に身を包んだ黒髪の男性。ギャラクが姿を現す。

 2人の少女は彼の元に駆け寄る。


「聞いてよギャラク様。このクソ(アマ)がアタシの真似してくるんだよ。」

「聞いてくださいギャラク様。この猪女が私の台詞を奪っていくんです。」


 少女達は互いを指さしつつ、同時にそう発言した。


「また、くだらん事で喧嘩しやがって。」


 目の前の男性が、ギャラクということが分かったコウは、彼に向かって言った。


「貴方が、ギャラク元帥ですか?」


 コウに気づいたギャラクは、胸の前で腕を組みながら質問する。


「うむ。そうだが。お前は誰だ?」


「俺は『金色の剣』所属の、コウ=シュージン少尉です!ギャラク元帥に話したい事があって参りました!」


 コウの言葉に、赤髪ツインテールが彼を睨む。


「はぁ!? アンタ如きがギャラク様に話をしようなんて100年早いのよ!」


 それを見て、青髪ロングが溜息をつく。


「これだから、ティシポネルは。最初からそんな対応では、ギャラク様のイメージも悪くなるでしょうに。

 コウ少尉。ギャラク様は貴方のような小物を相手する暇はないのです。大変申し訳ないのですが、さっさとお帰りください。」


 青髪ロングの言葉に、赤髪ツインテール。ティシポネルが彼女を睨む。


「アレクトロおめぇ!!アタシに文句言った割には同じようなこと言ってんじゃねぇか!!」

 

「お前ら。少し黙っていろ。」


 ギャラクの言葉にティシポネルと、青髪ロング。アラクトロが姿勢を正す。

 ティシポネルは「ん…。」と口を閉じる。


「了解しました。静かにします。」


 アラクトロの言葉に、ティシポネルは爆笑する。


「ぷはははは!! お前の口から『静かにする』って!! ははははは!!」


 アラクトロは、そんなティシポネルを睨みつける。

 すると彼女は、口にチャックをする仕草をする。


「すまなかったな。で、俺にどんな話があったんだ?」


 ギャラクの質問に、コウは答える。


「メリーを返してください!!」


「メリー?誰だそいつは?」


「え!?」


 ギャラクは本当に分からなそうに答える。


「おい!クソ野郎!! ギャラク様を困らせるんじゃねぇよ!!」


 ティシポネルがコウを睨む。


 アレクトロはティシポネルの足を杖で叩く。

 ティシポネルは、「ちっ。」と舌打ちをしつつ再び口を閉じる。


「キキの持っていた人形のことです!!」


 コウがそう言うと、ギャラクはなにかに気づいたかのように眉を上げる。


「キキ?その名は知らんが、今、人形の話が出るということは、あの囚人の人形か。まぁ、返すのは構わんが…。」


 ギャラクは奥の扉に入っていく。

 そして出てくると、その手には───


「中身を確認したのだが、綿と布しか見つからんかった。動くカラクリが全く分からんかった。」


 ────体が切り裂かれ、綿がはみ出しているメリーの姿があった。


「なっ!?」


 驚くコウを無視して、ティシポネルがギャラクに尋ねる。


「今はただの人形に見えるが。こいつが本当に動くのか?」


「前は動いていたのだがな。分解した途端動か無くなってしまった。元に戻そうとも思ったが、俺は裁縫は全く出来ん。」


「じゃあ、それはもうゴミか。」


 ティシポネルのその発言がトドメとなり、コウは怒声を上げる。


「ふざけるな!! キキの大切なメリーをこんなにして!! 申し訳ないと思わないのか!!」


 コウの言葉を聞いた、ティシポネルが再び剣を彼に向ける。さらに、背中に背負ったバックパックから4つのアームを伸ばし、そこからビームサーベルを出してコウに向ける。


「てめぇ!! ギャラク様に向かってなんて口の聞き方をするんだ!!」


 ティシポネルの発言の後、アレクトロは無言で、持ってる杖で地面を叩く。すると複数の小型の浮遊戦闘機が集まり、コウに銃を向ける。


「分かってんのか?てめぇみたいなカス1人ぐらい、アタシらですら1秒もかからないで殺せるんだぞ!! 」


「やめろ2人とも。コウ少尉よ。少し考えても見ろ。少女とはいえ、犯罪者1人の気持ちより、この世界の未来の方が大切だろう。今回は失敗に終わったが、この研究が成功すれば機関の戦闘力はとてつもなく上がるぞ。市民共にぬいぐるみとして、売り出し。いざと言う時に、戦力になってくれるのだから。」


 コウは、ギャラクの言葉にさらに怒りをつのらせる。


「キキだって、大切な…。」


 コウが、ギャラクに掴みかかろうと少し動いた瞬間。アレクトロの用意した戦闘機から弾が発射される。


「つっ…。」


 コウは撃たれた腕をおさえる。


「おい、てめぇ!! アタシごと撃つ気か!!」


 ティシポネルが、アレクトロに怒っているうちに、コウはその場から逃げ出す。

 研究所から出て、すぐの廊下で茶色の短髪の小さな少女とすれ違う。


「危ないな。」


 少女のその発言も耳に入らないぐらい、コウは悩んでいた。


 ──────────


 ガチャ、と研究所の扉が開く。


「おい!アレクトロ!! いい加減何か言いやがれゴラァ!!」


「五月蝿いぞ、ティシポネル。今度はどんなくだらん理由で喧嘩しとるんだ貴様らは。」


 茶髪の少女の言葉に、ティシポネルは彼女を睨みつける。


「黙れメガイラ!! このクソ(アマ)がアタシを撃ち殺そうとしたんだぞ。」


何故(なにゆえ)にそんな事をしたんじゃ、貴様は。」


 茶髪の少女。メガイラはアレクトロを見る。しかし、彼女は喋らない。


「何を黙っておるんだ?」


 頑なに口を開かないアレクトロに、ギャラクは溜息をつきながら、部屋に戻るついでに命令する。


「アレクトロ。もう喋っていいぞ。」


「了解しました。先程、コウ少尉と名乗る下等生物が、ギャラク様に無礼な発言をしました。その為、私は彼を始末しようとしましたが、その際近くにいた猪女にも当たりかけた。という訳です。」


 アレクトロの発言に、メガイラが先程廊下ですれ違った人物を思い出す。


「先程、泣いていた少年か。なるほど、貴様に撃たれて泣いておったわけか。」


 自分の顎に手を添えるメガイラに向かって、ティシポネルが言う。


「な?このクソ(アマ)やべぇだろ?」


 アレクトロがそれに反論する。


「いいえ。貴方の発言の方が暴論なだけです。元より前に出すぎなんですよ猪女。」


 メガイラが2人に向けて言う。


「貴様らの下らん喧嘩等、もうどうでもよいわ!!」


「おうコラァ!引きこもり!喧嘩なら買うぞ!? ついでに、クソ(アマ)おめぇもだ!!」


「狸女。貴方、私と戦いますか?猪女は私に勝てるはずも無いでしょう。」


「下らん。貴様ら程度、敵にもならんわ!!」


 3人の間にバチバチと、稲妻が走る。

 次回予告

 泣きながら帰るコウを、ヒルは心配する。しかし、メリーの死は変えられず、時が流れる。

 そして、街は祭りの時を向ける。


 次回 21話 希望の花

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