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ワールドプリズン 〜その監獄からは逃げられない〜  作者: HAKU
第三章 希望の花

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19話 勝手な元帥達

 前回のあらすじ

 館から脱出できたコウ達。彼らの元にヒルが現れ、シャーロッテとズバクを機関に連れていったのだった。

 コウとココルが、都市『チウデッド』の『世界統一機関』に帰ってきた。

 建物の入口から見える中庭で、機関の兵士と戦っているオレンジ髪の少女が、兵士をアッパーで倒す。

 そして彼女が額の汗を拭うタイミングで、彼女が、コウとココルに気がつく。


「お!ココちん!」


 オレンジ髪の少女が、2人に駆け寄る。

 彼女の勢いがすごく、ぶつかりそうになったココルは驚いたように目を開く。


「おっと。クレッシェ元帥。ぶつかったら危ないじゃないか。」


 ココルに注意され、オレンジ髪の少女。クレッシェは後頭部に手を当てて「えへへ… ごめんごめん。」と笑って謝る。

 そして彼女は、コウを見る。


「おお!君がバグちーが言ってた、期待の新人君だね!」


 クレッシェは、コウを色んな方向からまじまじと見る。


「凄いねぇ。初日から、殺人犯を捕まえたんでしょ?戦闘には自信あり?バグちーの話だと、死地を何度も超えてきた目って聞くけど、どのぐらい命の危険を抜けてきたの?」


 次々と質問をする彼女に、コウは圧倒される。

 そんなコウを気にせす、クレッシェはコウを指さして、自身の腰にもう片方の手を当てる。


「そうだ!アタイと模擬戦しようよ!君の実力知りたいなぁ。」


「は、はぁ。」


 コウは困りながらココルを見る。

 ココルは、「いいんじゃないか?」と簡単に答える。


「ふっふ〜ん♪模擬戦♪模擬戦♪」


 コウは、小さくジャンプしながら歌うクレッシェの誘いを断れなかった。


 ──────────


「んじゃあ、一本勝負!どっちかが倒れたら終了ね!」


「分かりました。」


 コウが、ウキウキしているクレッシェのルール説明に了解する。

 それを聞いたクレッシェは、地面に右腕に付いている十字形の武器を当て、左手を膝に置く。


「そうだ!言い忘れてたけど、真剣勝負でよろしくね!」


 そう言ったクレッシェの武器が、オレンジ色の小さな光を集める。


「『嫉妬の拳(リヴァイアサン)』!!」


 クレッシェの武器が、オレンジ色に光り、十字の間から鎖を出す。

 鎖は、彼女の拳を縛り上げる。


「それじゃあ!行くよぉ!!」


 クレッシェが地面を蹴ると、一瞬でコウの目の前に移動する。


「なっ!」


 コウは、急いで剣で守ろうとする。

 しかし───


「(間に合わない!!)」


 クレッシェの右ストレートが、コウの剣をすり抜け、彼の腹に当たる。


「うぐっ!!」


 クレッシェの拳を貰ったコウは、勢いよく飛ばされる。


「おお!大丈夫か?コウ。」


 ココルが、コウの元へ行き、顔を覗き込む。


「いってて。何とか無事です。」


 体を起こし、クレッシェを見る、コウ。

 クレッシェはと言うと…


「あ、うん。そうか。そうなのね。真剣勝負だって言ってたのに。アタイがガキだからって手加減ですか。そ〜ですか。」


 クレッシェは溜息をつき、地面を蹴っていた。


「え?」


 困惑するコウに、クレッシェは背を向ける。


「なんかもう、嫌になっちゃった。じゃあねぇ。お強いお強い、コウ=シュージン少尉。」


 クレッシェは機関の中へと帰っていった。


「な、なんだったんだ?」


 コウが困惑していると、ココルが片手を自身の腰に置き言った。


「クレッシェ元帥は、手加減するやつが嫌いだからねぇ。」


 コウはそれに、「(本気でやってたんだけどなぁ。)」と思った。

 ──────────

 コウは、機関の中に戻ると、キキのいる牢屋へと向かう。

 キキの牢屋が近づいてくると、イルオの声が聞こえてきた。


「キキちゃん…、ちゃんとご飯食べて…。」


 イルオの姿が見えてくると、彼女は牢屋の中に、食事を入れていた。

 コウが、イルオの元へ近寄る。


「キキが、どうかしたんですか?」


 イルオは、声をかけてきたコウの方を向く。


「ああ、コウさん。実はキキさんが…。」


 イルオが、キキの方を向く。

 コウもまた、それにつられるように目線を向ける。

 キキは牢屋の隅で小さく丸まっていた。

 小刻みに体が動くので、彼女が泣いているのが分かる。


「昼間からこの調子で、食事すら、まともに取ろうとしないんです。」


 イルオの言葉を聞き、コウは牢屋の柵を掴んで叫ぶ。


「キキ!どうしたんだ!」


 その声を聴いたキキは、顔をあげ、コウを見る。

 涙でくしょぐしょになった顔を、コウに近付け、キキは話す。


「メリーが…。白い鎧を着た…、黒髪の人に持ってかれた…。嫌だって…、言ったのに…。「我々の未来の為だ。」って言って…。」


 そこまで聞いて、イルオがつぶやく。


「ギャラクさんか…。」


「ギャラクって、八元帥の一人、『機構の戦士・ギャラク』!?」


 コウの言葉に、イルオが頷く。


「あの人は「世界の未来の為」と言って、なかなかひどい研究も行う人です。もしかすると、あの人形の解体もありうる。」


 顎に手を置き、悩むイルオの両肩を掴むコウ。


「ギャラク元帥は今どこに!?」


「分かりません。ですが、この建物の最東。巨大な鋼鉄の部屋が、彼の研究所です。もしかしたら、今はそこに…。」


 慌てて答えるイルオに、コウは感謝をして走り出す。

 目的地は、ギャラクの研究所。


「(まってろ、キキ。今、メリーを取り返すから。)」


 コウはそう心の中で、思った。


 コウを見送った、イルオはそっとつぶやく。


「私より、今の友達の方が悩みを話せるのか…。悲しいな。でも、応援はする。どうせ、無駄かもしれないけど、一度(・・)は頑張れ!コウ!!」

 次回予告

 メリーを返すよう、ギャラクへ抗議するコウ。しかし、ギャラクは一筋縄ではいかなかった。


 次回 20話 未来の為

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