第1話 金色の剣
コウは昔の自分、今の自分が生まれたきっかけを思い出していた。彼は子供の頃殺人鬼に襲われ、それを世界統一機関に助けられた。
その後彼は世界統一機関で働くためにお金を貯め、専門の学校に行き無事合格。今日は彼の初めての世界統一機関への出勤である。
彼は早速見かけた自分の所属した部の上司に挨拶した。
「本日から『金色の剣』所属になりました。コウ=シュージンです。」
コウに話しかけられたピンク髪の女性は振り向く。
「ああ、君が新人くんか。ココは『金色の剣』ココル=ロココだ。あれ?君以前どこかで…」
「ええ、子供の時路地裏で『腸の発掘家』に襲われた時に助けていただいた者です。」
「ああ、あの子か…もう6年だったか。改めて未だに『腸の発掘家』を捕まえられてないのが情けないな。」
「ほーんと、『腸の発掘家』はこの世界に存在するんですか?『漆黒の翼』をもって6年以上姿を拝めなかった相手は他にいませんよ。」
2人が話していると突然ココルの後ろ白いシルクハットに黒い制服を着た、目の細い蛇なような男が話に入ってきた。
「この人が今日、貴方の所に所属した新人君ですか?ココル大尉。」
ココルは顔だけ男の方を見て答える。
「ああ、その通りだ。ヒル少佐。」
「少佐!?ココル大尉より上の階級の方!?」
驚くコウに向かって男はシルクハットを取り丁寧にお辞儀する。
「どうも、『世界統一機関』の情報管理部隊『純白の羽根』及び、諜報部隊『漆黒の翼』の隊長を努めさせて頂いる、ヒルと申します。
階級は先程お知りになった通り少佐です。」
「2つの部隊の隊長!?凄い!!」
「いえいえ、大したことありませんよ。どちらも情報を扱うという点では変わりませんからねぇ。それとココル大尉…」
ヒルはココルの方に向き直る。
「貴方!上司相手には敬語で話しなさいといつも言っているでしょう。相手が私だから良いものの相手を間違えれば減給になりますよ!!」
「最低限の衣食住が手に入ればココは別に…」
「貴方ねぇ…」
「お2人は仲が良いんですか?」
2人のやり取りにコウは質問する。
「ん?仲が良いというか昔からヒル少佐には良くしてもらってるからな。話しやすい。」
「そうですねぇ、腐れ縁ですかね?お仕事を探してる彼女にここを紹介して以来何かと縁がありましてね。」
「そうなんですね。」
「ん?ココ仕事探してた時な…」
ココルがなにか言おうとするのをヒルが止める。
「貴方、ひとが貴方の辛い過去を隠してるんですから。」
「ああ、そういう事か。ココは別に気にしないのに。」
「えっと?どうしたんですか?」
ひそひそと話す2人にコウが話しかける。
「ヒル少佐のおせっかいって話だ。」
「全く…
おっと、思ったより長居してしまいました。それではココル大尉、新人君、失礼します。」
ヒルは腕時計を見て早歩きでどこかへ行ってしまった。
「さて、とりあえずココが機関内を案内するよ。ついてきてくれ。」
ココルはコウに案内をし始めた。