15話 償いきれない罪
※注意
本エピソードは、かなり気分を害するような表現が含まれる文章があります。ホラーものサスペンスものの遺体の表現が苦手な方は本エピソードを読まずに飛ばすことを推奨します。また、本エピソードは、自殺を推奨及び美化するものではないことを、ご理解ください。
前回のあらすじ
再び蘇ったコウ。時間を確認して、再び遺体に触るシャーロッテと合流する。
シャーロッテに触れると見えた光景は、幼きシャーロッテと、その父の別れと悲惨な末路だった。
「わぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
光景が終わると同時に、発狂し何処かへ行く。
コウも、シャーロッテを追いかけようとして、思い出す。
「(おっと、一応鍵も回収しておかないとな。)」
コウは、遺体から書庫の鍵を手にしてからシャ―ロッテを追いかける。
しかし、シャ―ロッテの姿はなかなか見つからず、コウは、初めて来た廊下に出る。
そこで、持ち手の赤い弓が落ちていることに気づく。
「これは… 確かシャ―ロッテが背負っていた弓…」
コウが弓の近くの扉を開ける。
「うっ… 臭い。」
そこには、吐しゃ物が入ったトイレと、カーテンの閉められた風呂場があった。
風呂場のカーテンからは、何かの影が揺れていた。
「何かいるのか…」
コウが、カーテンをどかす。そこで見た光景は―――
「うわぁぁぁぁぁぁぁ!!」
目を開き、口はよだれや胃液で汚れたシャ―ロッテが、首をくくって死んでいる姿だった。
首には引っ掻き傷が無数にあり、とても苦しんだことが分かる。
コウの脳内に、前回ココルから聞いた歌を思い出す。
『館で働く、4人の男女。
1人が、ぶらぶら遊んで、3人になった。』
そう、コウが今まで勘違いしていたシャーロッテの逃亡の真実は、愛する父の死という真実に耐えかねて首をくくったものだった。
コウは後悔した。シャーロッテは、1人だけ逃げ出そうとしていた訳では無かった。それにもかかわらず彼は前回、彼女を裏切り者と決めつけてしまっていた。
その、『疑い』という名の罪を償うことは出来なかったのだ。
――――――――――
「大丈夫か!あんちゃん!?」
コウの声を聞いてか、ズバクが風呂場に入ってくる。
「おい、どうした?なっ…」
ズバクが、風呂場で首を吊っているシャーロッテを見て顔をしかめる。
「おい!シャーロッテ!! 起きろ!起きてくれ!!」
ズバクが、シャーロッテを下ろし肩を揺らす。
しかし、彼の嘆きはシャーロッテには届かず、彼女の頭が揺れるだけだった。
ズバクは目に涙を浮かべながら、シャーロッテをお姫様抱っこで抱える。
「あんちゃん、すまねぇ。ちょっと、シャーロッテをウィジャ盤の部屋の廊下に寝かせてくる。脱出したら弔いたいが、ここに戻ってくる時間をかけないようにな。」
コウは立ち上がりズバクの目を見る。
「俺も付き合わせてくれ。」
――――――――――
コウ達は、ウィジャ盤のある部屋の廊下にシャーロッテを寝かせ、ついでに部屋に入る。
部屋には、目に涙を浮かべたココルがいた。
「おかえりなさい。む?シャーロッテはどうした?」
「あいつは…」
言葉を詰めるズバクの代わりに、コウが回答をする。
「シャーロッテは、首を吊って… 死んでしまいました。」
「そ、そんな… 」
ココルが、手で口を抑える。
「『あまりの恐怖に死を選ぶなんて、愚かな女ね。』」
コウは、ティティーのその言葉に声を荒らげた。
「ふざけるな!! お前があいつの父を殺さなければ!!」
「『あいつが、私の宝物を触ろうとするからだ!!』」
コウの言葉に返すように、ウィジャ盤の上のココルの手が激しく動く。
そして少し間を置いて、改めてウィジャ盤が言葉を示す。
「『お前達、急いだ方がいいわよ。この時間を持って『A』が示されるわ。』」
ティティーによって、再び思い出す死へのカウントダウン。
コウとズバクは、再び鍵を探しに出かけた。
次回予告
シャーロッテの死を、後悔する間もなく、鍵を捜し求めるコウ。
遺体から手に入れた鍵を使い、書庫にある赤い本を見つける。その本にはティティーの過去が綴られているのであった。
次回 16話 ティティーの日記
是非お楽しみください。




