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ワールドプリズン 〜その監獄からは逃げられない〜  作者: HAKU
第二章 ティティーの館

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第13話 死を招き入れる疑念

『それじゃあ、始めるわ。『D』。』


 気が付くと、コウはウィジャ盤のある部屋に戻っていた。


「(あれ?なんでここに?俺は、鍵を探してて、それで…)」


 彼のその後の記憶は、定かではなかった。ただ最後に、鋭い痛みと、桃色の髪が見えていた気がした。


「(それで、ここに戻ってきたということは、俺はまた、死んでしまったのか。)」


「おい!なに、ぼーっとしてんだよ!」


 コウは、シャ―ロッテの言葉で我に返る。


「人の話聞いてんのか?時間ないし、三人で手分けして、別の部屋を探そうって言ってんだ。」


 その言葉に、コウは、声を荒げる。


「駄目だ!!」


 シャ―ロッテも負けじと、声を荒げる。


「なんでよ⁉」


「お前、玄関の鍵とか見つけて、1人で逃げる気だろ?」


 コウの発言に、腹を立てたシャ―ロッテが、コウの胸ぐらを掴む。


「はぁ⁉ 何言ってんだよ!この状況で、そんなことするほど、オレは終わっちゃいねぇ!」


「信用できるか!!」


「やめなさい!!」


 2人の言い争いは、ココルの言葉によって、止められる。


「今は、ここにいる全員で、協力しないといけない状況なんだ。言い争いなんてしてる時間はない。」


 ココルの言葉に、腕を組みながら頷くズバク。


「そうだ!今は、言い争ってる場合じゃない。だが、トレジャーハンターの俺達を信用できない気持ちも分かる。」


 ズバクが、シャ―ロッテの方を向いて言う。


「どうだろう、シャ―ロッテ。最初の1時間は3人で同じ場所を探索するってのは?」


「ちっ、ズバクがそういうなら仕方ねぇ。おい!クソ男、それでいいな?」


 シャ―ロッテが、コウを睨みつける。


「ああ、頼む。」


 コウも、シャ―ロッテを睨みつけた。


 ——————————


 3人で、1つの部屋を探索する。

 食卓であろう、大きなテーブルが置いてある部屋、そこから3人は廊下に出る。

 その廊下には、体の一部が機械化した、大男の遺体が倒れていた。

 首の下のカーペットは、黒く汚れており、首を斬られて死んでしまったのだろう。


「これも、ティティーってやつの仕業か?えげつないことをしてくれる。」


 コウが、異臭に対して鼻を押さえる。

 ズバクも、より怖い顔になる。

 だが、シャ―ロッテだけは、何の反応もしなかった。


「この服… どこかで…」


 シャ―ロッテが、そう呟いたかと思えば、遺体にゆっくりと近寄る。

 彼女は、遺体の横でしゃがみ込み、そっと、遺体の体に触れる。突如———


「うう…」


 シャーロッテが、頭を抱えだした。


「シャーロッテ!大丈夫か!?」


 ズバクが、シャーロッテの元に駆け寄り、背中に手を置く。


「くっ…」


 すると、ズバクも頭を抱え始める。


「おい、2人ともどうし…」


 コウも、2人の元へ駆け寄ろうとした、その時―――


「わぁぁぁぁぁぁ!!」


 シャーロッテが、突然発狂して、廊下の先へと走り出した。


「待て!シャーロッテ!!」


 ズバクが、彼女を追いかける。


「な、なんだ?」


 コウは、不思議に思いながら遺体に触る。

 遺体の胸部には、妙な膨らみがあり、服のポケットを確認する。すると、ポケットから小さな鍵が出てくる。


「よし、鍵だ。早く、2人を呼び戻さないと。」


 しかし、2人の姿は、どこを探しても見つからず、コウは、一度ココルの元に戻った。


 ――――――――――


 ウィジャ盤には既に、『T』の文字が示され、コウは焦りながら、鍵をココルに見せる。


「ココル大尉!鍵が、鍵が見つかりました。」


「コウ!」


 ココルは、笑顔を見せた。しかしその顔は、直ぐに消え、不思議そうな顔をする。


「コウ、彼らはどうした?」


 コウは、膝に手を置き、息を整えながら言う。


「途中ではぐれてしまいまして、一度こっちに戻ってないかと思い…」


「そうか…」


「とりあえず、ティティー!鍵を見つけたぞ!! ココル大尉を解放しろ!!」


 コウが、ウィジャ盤に向かって、鍵を見せつける。

 しかし、ウィジャ盤は恐怖の文字を示した。


『残念だけれど、その鍵は書庫の鍵であって、外に出る為の鍵じゃないわね。』


「なんだと!?」


『早く、新しい鍵を探してらっしゃい。』


「くそっ!!」


 コウが、鍵を地面にたたきつけ、ドアの外に走り出す。

 しかし、その足は―――


「待ちなさい。」


 ココルの声によって、止められた。


「何を言ってるんです。ココル大尉!急がないと!!」


 コウが、振り向くとそこには、『H』を示すココルの姿があった。


「急いでも、もう遅いわ。せっかくだから、直ぐに鍵を見つけられたら、その場で解放してあげようと思ってたのだけれど、残念だわ。」


 ココルは、ウィジャ盤から手を離し、ゆっくりとコウに近づく。


「館で働く、4人の男女。

 1人が、ぶらぶら遊んで、3人になった。

 館で働く、3人の男女。

 1人が、忘れ物をして、2人になった。

 館で働く、2人の男女。

 1人が、運命を託し、1人になった。

 館で働く、最後の1人。」


「ココル大尉?何を言って…」


 コウが、困惑していると、ココルは、ゆっくりと自分の腰に携えてる剣に、手を伸ばす。


「仲間に殺され、館には誰もいなくなった。」


 コウの意識は、そこで途切れてしまった。

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