「江舞③」
未琴は、私の体をひょいと持ち上げてベッドに連れて行くことが多かった。なんとも思わない顔でいるけど心の奥底では気持ちが溢れている。
流れるようなキスにまだ慣れない。未琴の肌の熱が合わさり湿度を感じる。
「、、、好き」
「俺も」
未琴が続ける好き、には、「この時間が」という意味が含まれてると思う。私も女の子にかける言葉がそうだから。
いつだって行為が未琴に似る。
なんも色気のない下着を特別褒めてくれるとか、そういうのを求めていなくて、それはお互いわかっていた。黒の布面積少なめのショーツに指をかけてそのままおろす。
この日は、と言うより最近の未琴はおかしかった。妙に甘い、というか本当に私を好きでいるような、勘違いしてしまう。
淡白、じゃなくてそう、ただひたすらに、あぁなんていうの。違うことを考えてるわけじゃなくて、上の空になんてなるわけなかったけど、未琴はそこまでは見抜けていなかったようだった。
細すぎる私の腰を持ってそのまま、後ろから。それはあまりにもあったかくて声が大きくなる、恥ずかしくて消えたくなる。
未琴の顔が見えないからあんまりすきじゃないんだけどな、
「いい眺め」
「未琴、もっと、、、」
どうしてこう、好きな人の必死な感じが好きになるんだろう。
まだ時間に溶けたい、空間に溶けたい。
もっと独り占めしたい。
すべてが終わっても冷たくない未琴に、まだ甘さを感じる。
こういう時に、私が欲しいものを女の子たちは絶対に出せないとつくづく思う。女の子たちが欲しいと言ったものは簡単に与えることはできた。
「明日何してるの?」
未琴が私の予定を聞いてきた。何をするのか、気になっているということだ。
ドキッとしたのを察されたくなくて、まだ下着は着ないままで、ベッドに深く潜った。
「青藍ちゃんとお出かけの予定だけど、」
「ふーん」
「なんで?」
「違う男と会うのかと思ったから」
会わないよ、
「だから、未琴以外の男と、、、」
布団の中で二酸化炭素が溜まり、言葉が詰まったというわけではない。手のひらで転がされてることにハッとしたのだ。
「俺以外の男と何?」
「だまれよ、もう、、、」
無駄口を叩けば叩くほど、未琴を煽ることと同じになっていた。素直じゃないごまかしは効かない。




