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ひあそび  作者: 葵果音
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「江舞②」

未琴とは高校で、将来の夢が同じ、部活が同じという理由だけで仲良くなった。仲良い友達である期間はまあまあの長さあったけど、高校卒業間近の部活の集まりの日に関係性が変わった。

 その当時の私は前髪を上げて、ショートで、メイクなんて今みたいに濃くなくて、というかしてなくていかにも運動部という感じだった。実際に、バスケ部に所属していて高校時代は楽しかったはずなんだ。

「未琴、好きな子とかいないの?」

いつものように、同じバスケ部で帰り道も同じな二人で、話しながら帰る。

「えー、俺、今は彼女とかいらないし。そういう江舞はどうなんだよ」

「うーん、別に何もないかな。もうなんか、江舞は一生恋愛しなさそう」

と言って、駅までの道、そこら辺の石を蹴りながら歩く。

「江舞、モテないわけじゃないでしょ」

「それは未琴もな? 江舞は、男よりも女の子からモテる」

「確かにな」

そういやこいつ、こんな濁していますが、やることはやっている。「彼女」はいないと聞いている。女の情報網舐めんなよ。まあ、顔がいいもんな。

「もうすぐ卒業だな」

「そーだな」

すると、ポツポツと雨が降り始めた。

 そうだ、これが良くなかったんだ。

「うわ、雨」

「あーだる、」

二人であわてて近くのコンビニに入った。

「江舞、これから乗り換えだろ?俺の家で雨宿りしてから帰りな」

確かに、私の最寄りからは自転車だし、傘だと自転車漕げないしそっちの方が都合が良かった。

「おう、まじごめんけど、お邪魔するわ」

そのまま追いかけっことか言って、走って未琴の家まで直行。

 シャツも髪も濡れたままでぐっしゃぐしゃだった。玄関について未琴はすぐ、

「あ、待ってて、タオルとってくる」

せっかく綺麗に上げた前髪も崩れてしまった。雨、めんどくさい。大っ嫌い。

「ふーん、意外と優しいんじゃん」

未琴からもらったタオルでとりあえず全身を拭いていた。

「意外と、は余計な?」

顔を上げてると、ちょっとの沈黙が流れた。

「ん? なに?」

「いや、江舞、なんか可愛い」

「は? だるいって、そういうの」

未琴って顔いいけど、中身カスだもんね。私と同じだよね。だから仲良い。

「寒いから、未琴の部屋入るよもう」

未琴を押し除けて、一人でそそくさと部屋に向かった。スマホの暗い画面に反射して映る私。まぁ確かに前髪あると可愛い感じ、するのかな。

何も考えてなかった。だけど寒くて、寒いと寂しい感じするんだね。女に生まれてきたことを後悔する瞬間だった。私、寂しいなんて思ったこと一回もないのに。

「江舞、そういや寒くないてか、服着替える?」

ぼーっとしてたら気配を消して、部屋に入ってきた。

「あ、未琴の使ってないスウェットとかあれば着ていい? クソ寒いわ」

「あーいいよ」

「見てもつまんねえんだから覗くなよ」

「わかってるって」

適当言って借りた。きてみたら、なんか落ち着いて安心感すら感じちゃった。気が滅入ってるよ私。未琴の方が体がデカいんだな。当たり前だけど。着替えて、もう一度部屋に戻った。

「ただいま〜、なんか自分みたいなキャラが萌え袖とかきしょいわ」

「そんなことないだろ」

「江舞は女の子じゃん、普通に可愛いし」

「、、、うるせえな、うそつけ」

「嘘じゃないって」

と言って、軽く、ほんと軽く頭を撫でられた時、気が緩んで女の顔をしたのが悪かった。

「なんだよ、」

「なんでもないよ」

「ちょ、みこと、」

雰囲気で、とかその場で、とかなんか初めてわかっちゃった気がする。そのまま初めてをどんどん喪失して行った。悪い気はしなかった。なんだろ、こういうのを処女ドブっていうのかな。なら私、これでよかったのかも。

 その日は、そのまま終わったら、帰った。雨はすっかり止んでいた。友達ではなくなったこと、なぜか悲しくなかった。大事な男友達と一線超えちゃった、どうしようとも思わない。そもそもちゃんと下心なしで、友達だったっけ?

 でも確かにここからこの関係は始まった。

「かわいい」とか「会いたい」とかこの日からたくさん言われるようになった。ずっと信じてなかったし、他の女の影なんて腐るほどあったけど、だってその時間だけは未琴に愛されてるんだもん。こんなの初めてだったんだ。高校を卒業して考えるようになってから、好きになってしまったという事実に気づいた。


 あの日、卒業間近のクラスの雰囲気は青春コメディみたいな雰囲気だったのに、あんなことがあったのにも関わらず学校ではいつも通りの未琴を見てなんとも言えない気持ち。女になった気持ちがした。



「おーい、江舞、考え事?」

「あ、あぁ、なんでもない。」

終わった途端私、ぼーっとしてたんだ。何してるんだろ、男でもないのに。

「新しい男でもできたー?」

ベットの上で上裸の男は、目線はスマホに落としながら言ってきた。

「いや男じゃない、男はもう勘弁」

「未琴と違って下心だけで女の子達と向き合ってないからね、江舞は」

「まぁ、江舞のファンクラブとかあるしな。それは勝てないわ」

私にも未琴にも夜会う人は決まって、何人かいる。知ってるよ。てか、正直女の子を抱くのも私が未琴に愛想つかしてからなんだよね。

「最近、女子高生の子に声かけたんだよね」

「えーいいな、ナンパかよ」

「いやなんか人助けとして声かけたの。青藍ちゃんっていう、××女子の」

「え、頭いいとこじゃん」

「すごいよね、可愛いし頭もいいし」

「江舞のお気に入りの女の子なんだ、でも流石に高校生に手出すなよ」

「そんなんじゃないって。まだ日も浅いし。てか未琴の方こそさ、江舞の女の子だから、手出さないでね」

第三者からみたらカスみたいな会話。だけど、だから、お似合いだよ私たち。これ以上未琴の周りに女増やしたくないからこんなこと言ってる。私が本命には間違ってもなれなそう。

「俺、もうそろそろ授業だから行くわ」

「は? おまえ、こんなギリギリまでいつも女と寝てんのかよ」

「今日来たのは江舞だろ?」

と言ってまだベットの中にいる私の頭を撫でてから、

「ばいばい」

と言って出て行った。その笑顔もちょっとの仕草も可愛いなとか思ってる。最後までベットの上で見送る。つべこべ言ってたけど、まあ確かに、夜から会って、一限二限ない日は朝までグダることは多い。変な体制で寝たから腰が痛い。重すぎる身体を起こして散乱した服を着て、洗面台へ向かう。一人暮らしの未琴の家は知り尽くしてしまった。髪をまとめて歯磨きをしていると、洗面台の棚に私が使わないクリームタイプのクレンジングを見つけた。こいつ、化粧薄い女を家に入れたな?あと、このバカみたいに高そうな化粧水のサンプル。舐めてるだろ。呆れるわ。私みたいに化粧濃い女はオイルタイプじゃないと落としづらいんだよ。

こんなこと男が知るはずないもん。


 どこの女のものかわからない化粧水のサンプルをちょっと使いながら思ったことがあった。一週間ぐらい青藍ちゃんに会っていない。まぁ、トイレで会うぐらいだもん。明日からまた授業だから、会えるのかな。普通に考えたらちょっと話しただけで連絡先交換してってだいぶすごい関係性。

 スマホが鳴った。あ、麻結ちゃんからだ。麻結ちゃんはリスみたいな子で小柄でボブ。そこそこ慣れてそうだけど、あんまり質のいい人とは寝たことないらしいから、なんとなく可愛い。とりあえず江舞の中でこの子とは続いている。

「今夜はごめん、またあえるときいう」

会いたい時に、こっちから誘うから。そのあとにおんなじような関係の理梨先輩からも連絡が来たけど同じように返した。ちなみに、未琴からの誘いは断ったことがない。断れない。断りたくない。かと言って今日は予定がない。しばらく考えて、いい案を思いついた。今日は平日。よし、青藍ちゃんのこと、迎えに行こ。理由はないけど、なんとなく暇だから。フッ軽だから思いついたら即行動。バイクで高校まで迎えに行くなんて、流石に、非日常すぎるかな。

江舞推しです。

ちなみに麻結ちゃんはボブであざとい感じの雰囲気で、理梨先輩は茶髪ロングの前髪斜めお姉さんって感じです。江舞ちゃん、女遊び相変わらずえぐいです。

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