第十九章 「火加減」
両耳たぶに何の変哲もない銀色ピアスを開けているが、ちょうど飽きてきた。江舞ちゃんは私よりも多く空いていて揺れるタイプのピアスをつけている事が多い。最近は眉にも開けだして、より一層チャラくなった。休日の昼下がり、江舞ちゃんの帰りを待ちながら可愛いピアスを通販で探していた。江舞ちゃんとは趣味が違いすぎるかな、お揃いとかも憧れるな。次にピアスを開けるとしたら江舞ちゃんに開けてほしい。塞がない限り江舞ちゃんが開けた穴は半永久的に残る。身体についてるお守りみたいで、傷だとしても何だか愛しい。
「ただいま!」
玄関でバタバタ音がしたので帰ってきたことはすぐにわかった。ここ最近はずっと元気がないただいまを聞いていたけど、今日のただいまは違った。
「お帰りなさい、今日もお疲れ様」
ソファに張り付いていた体は江舞ちゃんの元へ直行。いつもそうだ。最近はできなかったお疲れ様のハグができたので江舞ちゃんも回復してるのかも。
「はあ、生き返る、、、」
「江舞ちゃんにこにこだね」
「悩んでたこと、うまくいきそう」
「それは良かった、、、!」
「心配させてごめんね、お詫びに、」
江舞ちゃんの手に収まるぐらいの小さな白い箱の中身を見ると、
「え、これピアス?」
「そうだけど」
「江舞ちゃんらしくない、プレゼントとか」
「はいはい、江舞はプレゼントとか柄じゃない人間ですよー」
「あ、拗ねないで、ありがとうね」
少しばかり背の高い江舞ちゃんの頭をぽんぽんとする。嫌がるので少しだけ。
「ちょうど可愛いピアス探してて、」
「え、そうなの」
「だから嬉しい、江舞ちゃんは何でもわかっちゃうね」
「そう、お見通しだよ」
得意げに笑う。その笑顔をずっと見たかった。
「あとさ、来月から忙しくなるから今しか夜飲みに行けなくて」
「うんうん」
「来週から飲み行くの増える、ごめん」
両手を合わせて、ごめんごめんというふうに軽く言っていた。
「わかった、飲み過ぎちゃダメだからね」
江舞ちゃんとずっと幸せな日々が続きますように。そして、江舞ちゃんが居やすい空間が私の前でありますように。明日も隣で歌わせてね。




