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ひあそび  作者: 葵果音
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 第十八章 「弱火」


 江舞ちゃんが最近落ち込んでいることに気づいていた。学校や進路のことでうまくいかないんだろうな。前に話してたことを覚えている。

 江舞ちゃんは人脈が広いのに、人には相談をしない。相談をしない主義の江舞ちゃんと、いろんな人から意見をもらって自分の意思に自信をつける私とではやっぱり全然違うと思う。江舞ちゃんが辛い時は、きっとそっとしておいて欲しいとき。一人で考えてると、自然と自己嫌悪の落とし穴に落ちていることがあるから気をつけてってどうにかして伝えたい。自室に籠ってあまり顔を出さない江舞ちゃんに、一応声をかけてみる。

「江舞ちゃん、大丈夫?」

「、、、うん」

「話せそうなとき話してね」

「あぁ」

「ありがとうね」

「ごめん、今すごくネガティブ」

顔も合わせてくれないな。悲しい気もするけど、自分の悲しいは相手にはぶつけたくないのだ。

「気にしないでね、江舞ちゃん一つだけ、、、」

「ん、?」

「ネガティブって言い換えると、それだけその物事に慎重になってるってことだから、ね?」

そういうと、顔を一度だけ上げてくれた。

「ありがと」

無理してる笑顔を見るとやっぱり心が抉られそうになるけど、彼女からの精一杯の優しさだから、ありがとう。

 江舞ちゃんに届いて欲しいのは、まず、私は江舞ちゃんが大好きってこと。落ち込むってことは慎重になるってことだから、それだけ江舞ちゃんの人生の中で動いてるってことだから、大丈夫。私は美容師のことは何一つわからないから偉そうなこと言えないし、江舞ちゃんの気持ち手に取るようにわかるわけじゃないけど、江舞ちゃんだもん、どんな過去も乗り越えてきた江舞ちゃんなら大丈夫なの。

 そして二つ目、江舞ちゃんが強がりなのも、気持ちの混乱に私が大事だからこそ巻き込みたくないのも全部わかってるから、ゆっくりでいいってこと。私になんて言って声をかけていいのかもわからなかったら、いつもみたいにおはようだけでもいいの。

 三つ目、相手の気持ちと未来は変えられないけど、自分の気持ちと未来だけは変えられるから、私がどれだけ頑張っても江舞ちゃんの気持ちは江舞ちゃんが動かすものだから何もできないのが悔しいってこと。でもまた立ち上がれる理由に私が必ずなるから、江舞ちゃんは江舞ちゃんらしくいて欲しい。江舞ちゃんが選んだ答えが正解だよ、大丈夫。

私はこの三つに気づいたのは江舞ちゃんがいたからで、江舞ちゃんは私にとって、ヒーローでも、親友でもあるから。江舞ちゃんもそれにささやかにでも気づいて欲しいな。

私は砂になって風になってでも江舞ちゃんのことを待ってる、どうしよう、本気で好きすぎて困る。

私が悩んでもしょうがないのはわかった上、リビングで頭を抱えてしまった。


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