第十七章 「炬火」
———一年後———
「ねえ、青藍の卒アル見つけたぁ!」
「えぇ、そんなんしまっておいてよ」
「思い出した、卒業式、死ぬほど泣いてたよね?」
「江舞ちゃんが来てくれたからねー」
そんな会話を部屋をまたいでしていた。春から一年も経ってないのに、卒業式の記憶は遥か昔のことのように感じる。
江舞ちゃんの部屋に行って、辺りを見渡す。
服がそのままでぐちゃっとなってるベットの上、いつきたかわからない服と、江舞ちゃんが好んで食べる辛めのポテトチップスのゴミ、、、
もう、この女は何回言えばわかってくれるの!!
「あ、次は卒業文集見つけた」
「もう〜! 江舞ちゃん、何回言えばわかるの! 朝から何してるの!」
「あ、なんか怒ってる? 何かしちゃったっけなぁ」
あくびしながらよれよれのダル着で言われても、喧嘩を売ってるようにしか見えない。卒業アルバムとか文集とかいろいろ重ねて出すからまた散らかるし。
「江舞ちゃん、このお洋服はなんですかね」
「あー、それは、、、」
「そこ、置かないでね?」
すかさず指を差し、予防線を張る。
「はい、、、」
江舞ちゃんはようやく動き出して、渋々片付けている。あぁもう、初めて江舞ちゃんと出会った時の私に言いたいよ。あなたは約二年後にその人の山積みの洋服を片付けてますよって。江舞ちゃんのわがままも、ぐだぐだなとこもずっと聞いていたいなと思ってしまうのが本音だけど。嫌よ嫌よも好きのうちと言うように、私もいやいや言いながら江舞ちゃんの周りは必ず片す。私の大好きの大きさであなたはギリギリ助かっています。
高校を卒業してから、江舞ちゃんのお家で半同棲のような状態をしてから、2LDKのおうちに同棲している。江舞ちゃんが見つけてくれたおしゃれな物件で、彼女はお部屋探しの才能があると思う。今日も今日とて朝から私は怒っているが、江舞ちゃんの身の回りのお世話はやっぱり率先して、やる。
お互いに大学や専門学校がある日は、空いた時間に掃除洗濯などをしている。江舞ちゃんは自炊以外ならある程度はこなしてくれるのでまだ助かっている。ただ片付けが本当に苦手なのでその辺に服が置いてあることがほとんどだ。だけど夜寝る前にギターを弾いてるのを私が横目で見たり、寝ている江舞ちゃんを本人にバレないように激写したり、朝はヘアアイロンをどっちが先に使うかで揉めたり、楽しい生活を送っている。
今日も、授業のギリギリまで寝ていた江舞ちゃんはそそくさと家を出て行った。脱ぎっぱなしの残骸を片付けて、夜ご飯を作ってから三限の授業に向かうのが私のルーティーンだった。
「あ、江舞ちゃん、、、ここにネイル置くなって言ったのに! もう〜!!」
江舞ちゃんと住めるのは、この地球上で私ぐらいだと心底思っている。どこの惑星の宇宙人でも、火星人でも嫌がると思う。
青藍と江舞ちゃん、一緒に住んでおります!!
私と好きな人と一緒に住みたいなぁ、、、




