第十四章 「放火」
私は第六感やフィーリングに任せて成り行きで生きる反面、真面目に堅実に、当たり障りのない道をあえて選んできた、江舞ちゃんと出会う前は。
合ってるかどうかわからないし、もしかしたら間違ってること多かったかもしれない。だけど、結果的に江舞ちゃんに出逢える人生になったなら、みんなに間違えてるって言われたってこれが正解。これが運命。
最近夜遅くに江舞ちゃんのお家に行ったり、泊まっていても母からは何も言われなくなった。呆れられているのかもしれない。娘が、非行少女になったって思われてるのかもしれないと思ってたけど、
「今日何時に帰るの? 気をつけて行ってきてね」
と、優しく声をかけてくれるようになってからはもしかしたら私に好きな人がいることバレているのかもしれないと思った。
江舞ちゃんとお付き合いをするようになってから、学校での生活も少し変わった。前まではみんなが率先して話す恋バナを鬱陶しく感じていたし、彼氏がいたくせに聞こうともしなかったけど、今はすごくすごく話したい、、、
「えぇ! 青藍ちゃん彼氏できたの?」
「彼氏じゃなくて、彼女?というか、、、」
「女の子と付き合ってるんだ〜! 素敵、やばい!」
「「お話聞かせて!」」
あまり仲良くなかった子達の輪にも入れるようになった。
「えっと、一個年上で、優しくてかっこよくて、笑顔が可愛くて、、、」
「やばい! 最高じゃん!」
「どんなとこが好きなの?」
「えっと、うーんっと、、、全部かな」
「きゃー!! 今度ぜひ会ってみたい!」
その後も、江舞ちゃんがバイクで迎えにきてくれたこととか根はチャラいけど、私のことは絶対助けてくれるところとか、部屋はまあまあ汚いけど、行くたびに私が片付けることとかいろんなことを話した。人生で初めての恋バナというものかもしれない。江舞ちゃんが好きって言う事実だけで、世界はどんどん変わる。
季節はやさしく過ぎ去り、附属大学への入学試験を終えて、その頃には冬を超えて、春になった。もうそろそろで卒業を迎える。進学に忙しかったから来年はもっと江舞ちゃんと過ごして時間を重ねていきたい。
しかし、私だけキュンキュンして寝れてないし、何をしてても頭の中にあるんだけど、気持ちの行き場がない。どうしよう。どうしたらこの好きって気持ち止まるの?止めようとして止まるものではないのは私が一番知ってる。
ご飯だってたくさん食べたいのに、江舞ちゃんのこと考えてたらお腹いっぱいだし、時間が進んで気づいたらこんな時間なの。通知切って怖くて、きてなかったら寂しいからライン見れなくてって、、、私、両思いになってから弱気になりすぎだよね。
ただ江舞ちゃんが、かっこよくて優しくて可愛くて愛おしすぎるの、、、本人にこの気持ちぶつけたくないから一人で消化してるんだ。
おんなじこと考えてくれてたら幸せすぎるけど、江舞ちゃんがどれぐらい本気で私のこと好きなのかわからないんだもん。江舞ちゃんの五倍は大きいよ、私の好きは。わかってるのかな。
思考を巡らせていると、携帯の通知が鳴る。
『明日あいにいくねー』
江舞ちゃんのラインって一見そっけない感じだけど、これも性格。この一言だけで飛べそうなぐらい舞い上がる。私のことをお見通しな江舞ちゃんでもこのことは知らない。
私にとって江舞ちゃんは、私の今一番の恋人、自慢の王子様。大好きのいちばん上の表現はなんだろう、うーん、世界で一番大切な人、かなぁ。一人で幸せに浸るのも楽しくて幸せ。江舞ちゃんも同じ気持ちで同じ大きさの好きでいてくれたらもっともっと幸せだな。
『ありがとう、おやすみなさい』
寝る前に連絡を返した。大好きだよって言おうか迷ったけど、直接言う時のために気持ちを取っておこうと思った。背負う好きが大きすぎてしゃがんでも、江舞ちゃんも同じようにしゃがんでくれて同じ目線でいてくれるんだろうな。




