「江舞⑫」
夜の二十三時を回っていた。満莉さんの当てがなくなった代わりとして今未琴の横で寝ている。なんだか今日全然良くなかったな。今日じゃなくて、今日も。何してるんだろうって思ってる。いつからか未琴との逢引は、他の女の子たちと同じようなものになっていた。何しても不味い感じで、また意識が遠のいてく、眠い。
「江舞、電話なってるけど」
「あーー、」
こんな時間に、誰だよ、というか麻結ちゃんだったらだるいな、あ、理梨先輩かな、あーどっちでもだるいな。この時間いつもそうだもんな。と色々思いつつ眠くて重いまぶたは開けられないまま、とりあえず電話に出た。
「もしもし、、、」
「青藍、です」
声の主は青藍だった。泣いてるって、すぐわかった。さっきの眠気なんて一気に飛んで、大切な女の子が泣いてるという状況に一気に緊張が走る。
「え、青藍? どうしたの? 泣いてる?」
「、、、会いたい」
相当泣いてたのかな、一人で。そんな声だった。
とにかく電話に出ながらベットから体を起こして、散乱する服を着た。そんな私を未琴は真面目な顔して見てたけど私と青藍のやりとりを聴くにつれて、にやにやしながら見ていた。
「うん、待っててね、今から行くから」
遅くてごめん、すぐに駆けつけれない距離にいてごめん。
「江舞ちゃんちの近くの駅にいるよ」
「すぐ行く、江舞が来るまで泣いちゃダメだよ? 電話越しじゃ抱きしめられないから」
いつも女の子に掛ける言葉とは重さがまるで違いすぎた。
その後、未琴、ごめん行くわと言って、青藍との電話を切った。
「江舞、青藍ちゃん?」
「うん」
「ねえ、俺一人?」
「うん、あ、金置いとくから適当にして」
そう言って玄関まで急ぐ。
「ほんとにあの子に本気なんだな」
未琴がそんなこと言うから、自分でもちゃんと気づいた。でもあんたに抱かれるぐらいだから私なんてさ、、、いや、やっぱりお前と寝るのも今日で最後な。
「うん、本気で好きになっちゃったかも」
そう言って走ってホテルを出た。出て、走って少しすると雨が降り始めた。頬に当たる雨なんか気にせずもっと速く足を動かした。
少し前まで雨が大嫌いだったのに。青藍と相合傘ができるという利点を見つけてからは好きになったんだ。
君に出会って何かを感じていたのは断然私の方だ。




