「江舞⑨」
青藍とのお泊まりは、なんとなくいちばんルーティーン化されて、今日も朝まで同じ時間過ごすことになっている。
この前は、麻結ちゃんと夜会っていたので、青藍の事帰してしまった。心配してたけど、それを伝えるのを忘れてしまった。
「白馬に乗った王子様か〜」
「青藍、急にどしたの」
「なんか小さい時に、公園で会ったお姫様みたいなお姉さんと、王子様みたいなお姉さんがいてね、」
「王子様みたいなお姉さん、か。二人はお付き合いしてるってこと?」
「そうそう、すごい素敵だなぁって幼いながら思ってたんだ〜」
「江舞は、バイクに乗った金髪の王子かもね」
「たしかに、私は白馬に乗った王子様よりもそっちの方が好きかな」
いつもの可愛くてあどけない唯一無二な笑顔を見せてくれた。
そして青藍は私の、、、
疑似的な愛おしさは、独占欲に近いだろうけど、確実に大きくなってきている。
「江舞ちゃん、お風呂行くね」
「二人で入ろ、やだ?」
「やーだ」
人間らしいところを見られたくないって言うけど、女の子のそういうとこ好きだし二人でいろんな話したいんだけど。入れるのはもうちょい先かな。
しばらくして、ベッドに戻る。すると、青藍のスマホが鳴った。二回ほど鳴っていたけどあんまり気に留めないでいた。だけど、三回、四回、五回って音が重なっていく。お母さんが心配してるのかな。青藍、もうちょいで出るだろうし見ても、いいかな。
「せいらー、スマホ鳴ってるけどー」
とりあえず浴室に向かって叫んでみたけど、返事はない。
お母さんなら早めに言った方がいいし、ね。
そう思ってスマホを覗こうとした時、
「ただいま〜」
青藍が戻ってきた。青藍のスマホに手を伸ばしてたので、直ぐに引っ込めた。
「青藍の携帯めっちゃ鳴ってたけど、多分お母さん?」
「え」
急いでスマホを開いて、一瞬すごく悲しそうな顔をして、でもすぐに
「あー、もう、私のお母さんってば全然話聞いてない。お泊まりするって言ったのに〜」
と、いつもの青藍に戻った。
「そっかあ、、、」
「ほんとに、嫌になっちゃうよ」
一瞬の目つき。私は見逃さなかった。青藍のスマホに映るのはなんとなくお母さんじゃないんだろうなって、そう思った。深い詮索だってしない。青藍が嘘をついていたとしても、今が大事なこの関係に、未来の心配など不要だ。今を壊してまで、後のことなんか考えたくないから。
そうだよね、だから私は未琴がすきなんだ。この子とはどこまで続くんだろ。




