「江舞⑧」
こうなることはわかっていた。夏祭りの夜に青藍と寝てしまってから、青藍と会う頻度は群を抜いて増えてきている。他の女の子たちは手持ち無沙汰のようで少し困っている。誰か女の子を抱くときに、他の女の子を考えたことはなかった。
一応目の前のその子に夢中になっていたはずだった。なぜか高校生らしからぬ下着をつけていた青藍の姿が浮かんだ。自分の手に収まるようなあの感じとか、何も知らないような手の繋ぎ方とか、ちょっと貪欲な感じとか。
別に麻結ちゃんの少し派手な赤の下着に萎えたわけではない。始まりから終わりまで、なぜか青藍の顔が浮かんだ。「初めて」だから、あの初々しさにグッときてるのか。でも青藍のあの姿は必死というか、真面目というか性格が表れていた気がする。その真面目な性格が自分に愛として向いてるような。やっぱり擬似的な愛おしさだろう。
今隣で寝る麻結ちゃんは、時間を好きでいる。一人にならない、寂しさが消えるこの時間を。
青藍はまるで違った。
「先輩、今日機嫌悪い?」
終わった後すぐに服を着るタイプの麻結ちゃんは、赤の下着をつけながらそう言った。
「え、なんで、麻結ちゃんに会えたのに機嫌悪いわけないじゃん」
「そう? ならいいですけど」
と言いつつ君も他の人を考えて瞼を閉じるでしょ。そういうことだ。
「江舞先輩ってわかりやすいですよ」
「なにが」
「あんまり乱暴にしたらダメですよ?」
鼻で笑ってしまった。いつだって女の子には丁寧だからだ。
それは勿論、青藍にもそうで、自分が乱暴になってしまう、女になってしまうのは未琴の前だけだから。
事が終わったら、別の世界に戻るかのように普通に過ごす麻結ちゃんを横目に、青藍から来ていた連絡を返した。
『いまは一応友達といるよ』
今何してるか気になるとかじゃなく、今、ひどく青藍が良くなって、会いたくなった。




