「江舞⑥」
他の女の子の前で、青藍の話を少しするようになってきた。青藍のちょっと大きめの喘ぎ声を思い出しながら、ぼーっとする。でもそれを打ち破るのはいつだってただ一人だった。
『江舞今日ひま?』
いつも返信なんか遅いのに、こういう時だけ早いからもう勘違いすらしない。
『えーうん、ひまだけど何?』
『家いるけど来る?』
『満莉さんはいいの?』
茶化してこう言ってやった。
満莉さんは私たちと同じ学校の先輩。そして、今未琴が好きな女だ。この事実には最近気づかされた、というより言われた。満莉さんは可愛くて王道のモテ女という感じだった。満莉さんには本命がいるとか好きな人がいるというわけではないらしい。しなやかな髪に男が好きそうなちょうどいい体型だからね。そりゃ男に困らないだろう。こんな私でも、いや、こんな私だからこそ好きな人のいちばんにはなれない。圧倒的に勝てない相手だった。それに気づいた日から、一個ネジが外れたみたいな、そんな感覚がした。私以外に女の子がいることに気付いた日より、悲しくなかった。
何回も染めて傷み始めた髪、濃いメイク、どちらかというとメリハリはないくせに細い体、まあ都合も良くなるよな。
『満莉先輩のこと抱けるわけねえだろ』
私は抱けるくせにね、ここまでは伝えなかった。ちょっかいかけた時点でそう思ってること伝わってただろうけど。
『十時過ぎには着く。』
『りょーかい、待ってるね。』
未琴ぐらいの冷たさって、本命じゃないからこそ出てきてる余裕の冷たさなんだよなぁ




