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8

 

 帰還してから一年後、諸々の用意を終え意気揚々とレイを迎えに孤児院に向かったがすでにレイは引き取られた後だった。

 金を握らせた孤児院長はさらに金に目が眩み、ノスタルク公爵から多額の金をもらってレイを引き渡してしまったのだ。

 孤児院長はまさか帝国から本当に迎えが来るなんて思っていなかったのでバレないと思ったと白状した。


 すぐさまレイを連れ戻そうとしたのだが相手が悪かった。いくら帝国の皇子であってもここはメノス王国。それにレイを引き取ったのはこの国の公爵だ。孤児院から孤児を引き取ることは犯罪でもなんでもない。無理矢理力ずくで連れ戻そうとすれば非難されるのはこちらだ。


 恐らくノスタルク公爵はどこかで祝福の一族のことを知り、私がペンダントを渡す前のレイの姿をどこかで見かけたのだろう。そうでもなければわざわざ大金を払ってまで引き取る理由がない。


 悔しいが当時の私にできたことはノスタルク公爵家に自分の息がかかった者を潜り込ませることくらいだった。



 国に帰りしばらく経つ頃レイが王太子と婚約したと報告が入った。それと近頃はレイへの待遇が徐々に悪くなっているとの報告も入ってきた。

 その報告を聞いた私はレイが一人苦しんでいるのに一体何をしていたんだろうと頭を殴られたような衝撃を受けた。

 レイにすぐに迎えに行くと約束して別れたのにその約束は守れず、一人帝国で与えられた生活を享受している自分が情けない。


 けれど私はできることならレイと人生を共にしたい。


 私は報告を受けてすぐに父のもとに向かい願った。



「レイを連れて帰ってくることができたら彼女と婚約をさせてください!私が彼女を幸せにしたいんです!」


「分かった。無事にマリアント公爵令嬢を連れ帰ってこられたら婚約を認めよう。しかしきちんと相手の気持ちを確認してからだぞ」


「はい!ありがとうございます!」



 父である皇帝陛下に許しを得た私は動き出したのだった。





 ◇◇◇




 そして孤児院で別れてから八年後、ようやくレイに再会することができた。

 帝国ではレイを受け入れる用意は既に整っている。あとは王太子との婚約だけだがどうやら王家とノスタルク公爵家の間で近々婚約破棄を計画しているようだとの報告が入った。

 きっとレイに何らかの罪を着せるつもりなのだろう。


 そんなことは絶対にさせない。

 今度こそ私は彼女を守るのだ。

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