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廃寺での一夜

作者: みぶ真也

「じゃ、ここにろうそくを置きましょう」

カメラマンの八神さんがそう言って灯をともす。

「ぼくは本堂に座ればいいですか?」

と尋ねると、

「ご本尊の右手にお願いします」

八神さんはカメラを覗きながら指示した。

ここは廃寺。

有名な心霊スポットなのだ。

「ここで一晩過ごして、本当に幽霊と会えるんでしょうか」

不安になってぼくが訊いた。

心霊スポットで一晩過ごし、カメラを据えてレポートする。

夏の心霊番組の特集なのだが、おあつらえ向きに幽霊が登場してカメラに映り込むかどうかは分からない。

もしも何事も起こらなければ、このコーナーはカットされることになるかも知れない。

廃寺で夜を明かすのは、スタッフの八神さんとレポーターのぼくだけ。

カットになってもいいように、経費も節約しているということなんだろう。

「大丈夫ですよ。

ろうそくの灯りや、仏像の顔をうまく撮ってムードを作りますから。

雰囲気さえ盛り上げれば、ハレーションを起こしただけでも、みんな、心霊現象だと大騒ぎするはずです」

ベテランの八神さんは頼もしく答えた。

確かに、寂れた古いお寺にろうそくを灯しただけの本堂は、絵としては十分恐怖を煽る。

何事も起きなくても、

「今、何かが奥で光ったような気がします」

とでもレポートすれば良い雰囲気になってくれるだろう。

問題は、本当に幽霊が出て来た場合…

ガタン

その時、大きな音を立てて戸が開いた。

さすがに、二人共ビクッとする。

見ると、青白い顔をした男が戸の前に立っていた。


                       つづく



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