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その4

ファイッ!

「は?」


俺の口からそんな言葉が出てくるのも仕方がないだろう。

はじめましてだ。

今日会った女の子に、「恋に興味はあるか」なんて質問されると思うか?


「私、恋がしたくてしょうがないのよ」


「何言ってんの?」


いや、本当に何言ってるのかわからない。


「この話、ちょくちょく友達にしてるんだけど、芳しい答えが得られなくて……」


でしょうね!?


どういう風の吹き回しだ?

そもそも何の話なんだ?


「それで、私への先入観を持たない男の子の意見が聞きたくて、質問してみたの」


ほーん。

わからん。


しかし、とりあえず無難に、適当に返してお茶を濁すのがいいだろう。

俺は初日から女の子を落とそうとするような軽いキャラになるつもりはないんだ。


“いい人”になるんだからな。

拒絶はしないで、当たり障りのないように。


「なるほど。俺はほら、転校してきたばっかりだから、すげー興味があるってわけじゃないかな。タッキーとかに聞くのがいいんじゃないか? ほら、そういう相談もいっぱい乗ってそうだろ?」


「そう、ね」


よしよし、うまくなすりつけられたんじゃないか?


「じゃあ、2つ目の質問ね」


ひとつじゃないんかい!

待て待て、こいつ怖いぞ。


「あなたは、告白されたら、その相手をよく知らなくても、恋できると思う?」


何ソレ。

俺の傷えぐってんの?


忘れもしない!

中2の夏!

周りがめっちゃ付き合い出して、なんか知らんけど、吹奏楽部の女の子に告白されて、よく知らないけど舞い上がって付き合ったら、夏入る前に告白された俺が何故かフラれたというあの事件を知っているのか!


犯人はとりあえず告白してみたら何かが始まると思った、などと供述しており……。


いや!

知ってるはずはない!

しかし、この記憶を掘り起こされたくないな。


世のイケメンが答えそうなセリフは……。


「んー、そうだな。多分、できる人もできない人もいると思う。恋って落ちるものだって言うし、タイミングは人それぞれなんじゃないか?」


よーし。

俺は微塵も思ってないけど、“いい人”っぽいだろ、な。


これで終わりか?


「そう、よね。そうそう! きっとそう!」


そのテンションの上がり方は予想してなかったんだよなあ。

期待は外れるもんだな。


そして、宮本優香は衝撃の発言をする。


「私、今まで人を好きになったことがなくて、恋の始め方がわからなかったの。だから、少女マンガを読んで、友達に話を聞いて、私でもできるかもしれない方法を見つけたのよ」


んんー?


「高山くん、私と、付き合って! 告白してから始まる恋もきっとあると思うでしょう!?」


んなぁぁ……!


待ってくれ! 待ってくれ! 待ってくれ!

今日はじめましてだぞ!?

こいつ頭大丈夫か!?


「いや待て、一回落ち着け。いいか? 告白から始まる恋もあると思うけど! けどな、多分、双方に恋愛感情がないのって超特殊だと思うわけ! だからさ、一回考え直そう。そして、俺以外のやつにしよう。俺、一応はじめましてだし。な。もっと親しいやつにしよ?」


「でも、もう高校2年生になってしまったし、青春期の恋愛を楽しむには、今からじゃないと遅いかなって。やっぱり、少女マンガも2年生から始まるもの多いし」


「いやいやいや、もうちょい慎重になろ? 別にいいじゃない、青春は恋愛だけじゃないよ? 大人だって、きっと大学くらいから青春だったり、社会人から充実した生活始めた人だっているからさ、焦ることないって!」


「確かに焦ることはないのかもしれないけど、お母さんも早く彼氏連れてきなさいって言うし。私も少女マンガみたいな青春したいし」


「ぬぅん! その少女マンガをバイブルみたいに扱うのやめろ! 大丈夫だ、あれは作り話だから! 実際の高校生は、もっと灰色で陰鬱なもんだから! 1年生で実感しただろ!」


「そうね、1年生は適当に声かけて誘惑しまくったけど、結局誰とも付き合えなかったわ。守りに入ると青春は得られないことを学んだって意味なら灰色ではあるのかしら」


「迷惑! ビッチ! 男の敵! そんなことしたら色んな男の子が勘違いして、ガッカリしてを繰り返してるよ! その光景がありありと目に浮かぶよ! 悪女か!」


「何よ、私は真剣だったのに?」


「知るか! とりあえず諦めろ! 恋は落ちるもんだ! 始めようとするな!」


ゼェ……ハァ……。


なんでこんなことに体力を使ってるんだかわからない。

感情的になってしまった。

いや、これはもうこいつが意味不明だから仕方ないな。


学級委員決めるときの、周りの生温かい目の意味が今わかったよ。


未だ何か考えているような宮本さん、いや、宮本に告げる。


「とりあえず、これで話は終わりだ。新聞部の方は、約束だからちゃんと入るよ。また明日な」


鞄を手に、教室を出る。

なんだか、どっと疲れてしまった。

こうして、俺の転校初日は幕を閉じた。


*****


「逆に初日に宮本がやばいやつだとわかってよかったよ、今思えばさ」


「やばいやつなんて言い方ないでしょう?」


「どう考えてもやばいだろ。初対面で告白しねぇよ、普通」


「あら、初対面じゃなければいいの? じゃあ、さっきの告白の返事は?」


「宮本が宮本である限り無理だな」


「私じゃなくても、断るくせに」


「知ってるなら告白すんなよ」


「嫌よ。恋愛は押し続けるものだと聞いたもの」


こういうのが書いてみたかった感が詰まっているので、読みづらかったかもです。

これからも性癖詰め込んで頑張ります。

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