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この世界でいきていこう  作者: 三文茶筆
38/60

13-1

「作戦通り行動開始!」


最初にレンが物陰から飛び出す。続いて矢をつがえた弓を持ったルーテア。坑道の先にいるゴブリンはまだこちらに気が付かない。


「ファイア・アロー!」


レンの力ある言葉とともにルーテアが矢を放つ。


レンの声に反応し、こちらに振り向こうとしたゴブリンの頭部にルーテアの放った矢が突き刺さる。ついで、矢が刺さったのとは別個体の頭部にレンの火炎魔法が的中する。


視線をレンとルーテアに移す。二人とも物陰に準備していた武器を取り出す。レンは自分用の小剣と盾。ルーテアは俺が持ってきた剣と盾。事前に予定してたとは言え、実戦できっちりこなせたのは大きい。


二人が構えたのを確認して二人の真ん中、二人よりやや前に出てダントン印の槍を構える。三角形の陣形で待ち構えるのは残りのゴブリンを近接戦で仕留めるためだ。


ゴブリンは地下5階層から出現する魔物ではあるが一角ウサギやお化けガエルにも劣る攻撃力しかない。なので、ある程度ゴブリン相手に近接戦の経験を積む算段である。


前面のゴブリンの内、頭部に矢を受けたゴブリンは消失し始め、炎の矢を受けて地面を転げまわるゴブリンは生き残ったとしてもこの戦闘には参加できないだろう。


戦闘不能の二体を除いたゴブリンの数は残り四体。中央の二体を受け持てば自然とレンに一体。ルーテアに一体と一対一の状態に持って行けるはずだ。


(それにしても気が狂ってるレベルの闘争本能だな)


一瞬にして二体もの同胞を殺されても粗末な木の棒を振り上げ、こちらに向かって走ってくる姿は格下ながらも背筋が寒くなる。だからこそ、好都合な部分もある。鬼気迫る敵との戦闘は実力で勝っていても恐怖を感じてしまう。その経験を格下相手にこなせるのは大きい。


(まぁ、二人とも傍から見てる限りはほとんどびびってないみたいだけどな)


肝が太いのか必死なため相手の気迫など気にもならないのか、どちらにしても頼もしい限りである。


軽く笑って、意識して肩に入っていた力を抜く。大人と子供の違いは子供に対していい恰好すること。息を吸って、止める。相手が少々、狂った感じで襲いかかる程度でビビるわけがない。いつも通りの槍の重さを感じることを確信して、構える。


運がいいことにゴブリン達はある程度、横に広がってこちらへと襲い掛かってくる。この調子で進んでくれれば俺が二体を受け持ち、レンとルーテアが一対一で対応できる。


こちらの希望通り進み、ついにゴブリンの一体が目前に迫る。


槍の射程の一歩手前。槍を突き出すのではなく、肘を曲げ、槍を固定したまま踏み込む。槍の穂先がゴブリンの首の外側、大動脈が走っていると思われる個所を切り裂く。


踏み込んだ足を軸足にして更に一歩進み、槍を固定するために曲げていた肘を延ばし。槍を突き出す。目標を外すことなく二体目のゴブリン、その胸の中央へと突き立つ。


一体目のゴブリンが倒れた音と二体目のゴブリンの力が抜け槍にもたれ掛かる。イメージ通り上手くいったことに安堵しようとする気持ちを飲み込んで後方の二人へと向き直る。


二人とも想定通りに一対一に持ち込み戦闘を行っている。魔法を放ったとき、矢を放ったときと同様に委縮することなく模擬戦で見せてくれたように盾で攻撃を防ぎ、剣をふるっている。いざという時には即座に援護できるように槍を構えながら二人を見守ることにする。

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