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「で、ここまでが現状の確認と分かってることの報告だ。ここから話したいのはこれからとステータス画面を上手く使う話し合いだな。レンは冒険者になったあとの目標はあるか?」
「え?あー、無いかな」
「じゃあ、レンの目標が出来るまでは俺の手伝いをして欲しい」
「別にいいけど。ユウジの目標はどんなのだ?」
「イエンの最下層30階で手に入るヒーリングポーションを手に入れる」
「は?」
現在、中級以上の冒険者チームがメインに探索を行うのは地下10階から地下20階の間らしい。そこから、さらに10階も潜ることに驚いているのか地下30階の情報を持っていることに驚いているのかそれともただ、ただ驚いているのか。
「一応、売りに出されたやつを買うってのも考えて硬貨も貯めることも考えてはいるんだが、お金を稼ぐにも最深部を目指して挑戦する方が、」
「いやいやいや。無理だろ?」
「何で無理だと思う?」
「え?……レベルが足りないし……そもそも、パーティーの人数が足りないし」
「パーティーは誰でもいいって訳じゃないから時間がかかると思うが増やしていこうと思ってる。レベルに関しては今の時点で足りないのは問題ない」
「問題ないの?」
「今すぐに30階層まで潜るレベルは必要ないってことだ。一階層ごとに対策を立ててじっくり攻略すれば後からレベルはついていく。そうだな……角ウサギはどうやったら倒せる?」
「突っ込んできたら盾で防いで槍で突く?」
「正解。じゃあ、ウサギがたくさんいた場合は?」
「……盾で防いで槍で突くのじゃ駄目なの?」
「その場合は右と左からウサギが突っ込んできたとき一方は防げないな」
「じゃあ、その時はどっちもかわして一匹だけ突っ込んできたときに倒すとか?」
「うん。それも正解だな。ただ、時間をかけるのは危険が増えるから怪我する可能が出てくる。そもそも、ダンジョン探索に一戦一戦に時間をかけるのは悪手だな。……一斉に攻撃されるのが問題なんだからウサギが近づく前に倒すのはどうだ?」
「あーそういうことか。それならいいと思う。離れたところから倒すなら……魔法とか?」
「じゃあ、レンが魔法で減らしたり俺が弓とか使うって作戦はどうだ?」
「いやいやいや。俺はまだ魔法使えないし、ユウジだって弓なんか使えないだろ!」
「レンは魔法の練習をすればいいし、俺だって弓に関するクラスを取ればスキルで弓を上手く使えるようになるだろ。それとも、レンは魔法の練習をしたくないのか?」
「……いや。魔法は使えるようになるなら練習はやるけど」
「魔法の覚え方はばっちり調べてくるから心配するな。レン。練習した結果出来なくても気にしなくていい。出来なかったら次を考えればいい。……ちなみに、俺の場合はウサギ相手に弓を使う気は全然無い。跳びかかる前に槍で突く練習をする予定だ」
「何だよそれ。それでいいなら魔法使えなかったら俺も槍の練習する」
「うん。それでいいんだ。きちんと対処できるようになれば地下4階までは問題なく進める。」
冒険者組合の資料から地下4階は一角ウサギやお化けガエルが同時に襲ってくるそうだ。
「そうやって、攻略していけば一番下につくってこと?」
「そのとおり。不安のなのは分かるがとりあえず、そうやって進めて行くぞ。そもそも、時間制限は無いんだから駄目なら大丈夫になるまで鍛えればいいんだからちょっとでもレンが駄目そうだと思ったらきちんと言うんだぞ」
「分かった」
「それと追加だがより下の階層を潜るために必要なスキルも考えて今から用意しようと思う」
こちらを向いたまま小首をかしげるレンの頭を撫でて、話を続ける。
「まずは俺とレンの役割を考えてみようか」
「前衛後衛とか?」
「それから確認しよう。レンが魔法を覚えれそうだからレンが後衛。盾が使えるし体の大きさや力もレンよりあるから俺が前衛だな」
高密度魔素体質は身体強度とか身体能力の上昇だと当たりを付けている。ここに来てから頑丈になったと言うか物が軽くなったというか圧力から解放されたとういか妙な感じが3カ月近く続いた。その妙な感じは3カ月目以降に無くなったのではなく、能力を把握して違和感なく行使できるようにんっている。
「了解。魔法を頑張って覚える」
「魔法だけじゃなくて、ソルジャーの盾技術も鍛えるぞ」
「え?何で?」
「魔物が接近してきたら攻撃できなくても俺が助けに入るまでは耐えないとダメだろ?」
「あーそうか。でも、そうしたら魔法覚えるのが遅くなるぞ?」
「気にするな。死なないこと、怪我しないことが第一だ。しばらくはソルジャーの訓練を三日やったらマジシャンの訓練を一日やることにしよう。それがある程度進んだら敵から確実に逃げれるスキルとか敵の位置が分かるスキルが欲しいな」
「死なないためってこと?」
「そうだな。敵の場所が分かれば奇襲されずにこちらの都合で戦闘開始出来るし、最悪の場合でも逃げれるならより安全に探索できる。レンはどんなスキルが必要だと思う?」
「傷を治すとかかな?」
「それも大切だな。毒とか麻痺とかも治せるといいな。いろいろあると思うからレンも考えておいてくれ」