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萌えよ!、ロボット

元ネタは、イタリアで導入された看護用ロボットのニュース。


「貴様っ、何考えとんじゃぁーーーっ!。」

試作品の医療用ロボットを見た部長は吠えた。

そのロボットには、まつ毛までついた可愛い目鼻を表示する大きなスクリーンが装着されていたからである。

しかも、その目鼻は瞬きしたりウインクしたりと、豊富な表情まで表現するようになっていた。

「こんな事にコストをかけやがってぇーーっ!。これは医療用のロボットなんだぞっ!。こんなふざけたものを作りやがってからに、このオタク野郎がっ!!!。」


報告に来た主任開発者を追い出した部長は、ぜいはぁと息をついた。


とはいえ、すでに納期は迫っている。

今更設計変更をしている時間はなかった。

新型ウイルスの感染拡大の速度はすさまじく、医療現場では医療従事者の感染を防ぎ、人手不足を補うこのロボットを、今すぐに必要としているのだから。

産業スパイの報告によれば、同様のロボットを開発しているライバル会社の物は、いたってシンプルで、その分コストが安く、少々機能も充実していた。

「これでは、受注は望めない・・・・・。」

世界的なこの危機を利用して、一気にロボット分野で主導権を握る事を目指していた部長は、がっくりとうなだれた。



そして、数か月後。

他メーカーを圧倒する予想外の大量受注で、主任開発者ともども社内表彰を受ける事になった部長は、どういう表情をして良いか分からず、戸惑っていた。


確かに、コストは高めだったものの、このロボットが世話をした患者の救命率は他社のロボットを圧倒しており、現場での評判も上々で、注文が殺到したのであった!。


「いったいなんで・・・。」

呆然とつぶやく部長の耳元で、主任開発者がささやいた。

「『クリミア戦争』って、知っていますか?、あの有名なナイチンゲールさんが野戦病院で活躍した戦争です。衛生環境の改善もあったのですが、実のところ一番大切なのは、

『患者を人間として扱う事』だったんです。

その後、インドでのマザーテレサによる医療活動でもこの事は証明されています。

シンプルなロボットに世話をされた患者さん達は、『もう自分は人間に世話をされる存在ではなくなってしまったんだ』と感じて生きる希望を失ってしまった。

一方、ボクの作ったかわいいロボットに世話をされた患者さん達は、ボクのロボットに『人間』を感じて生きる希望を持ち続けてくれたんですよ。

看護師さん達にも愛されて、マニュアルで定められた以上にしょっちゅう清潔に拭いてもらえた、と言う事もありますけどね。」

「君は、そんな事まで考えて、設計していたのか・・・。すまん、君を過小評価していたようだ。」

「いやぁー、ボクも納入後の現場調査で看護婦さん達に聞いたんですけどね。

やっぱりロボットを作るなら、可愛い方が良いじゃありませんか!。」



ちゃんちゃん!

さて、日本では今後感染者が爆発した時に『患者を人間として扱う』事がどの程度守られるのでしょう?。

航空会社みたいな大企業は助けても、存続の危機にある個人経営の飲食店に対する補償はしない、

休業補償は会社が申請しないと出さない=保証する気はないと言っているようなもの、

それどころか風俗に従事している人には最初からしないと切って捨て、

GDPは世界有数なのに新型コロナ対策予算の規模は欧米と比べて2桁ぐらい小さい日本政府ですけど。


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