洞窟の中
思ったより広々とした洞窟で、このようすだとかなり広いんだけどさ?
ここから見るようすだと、全く入り口から、外の景色が見えないんだよね?
そして、明かりがないのに、なぜか辺りが普通に見える辺り、特別な場所なんだろうけどさる
...
あれれ?
おかしいぞ?
洞窟に逃げて、そこから兵士達を撒こうって思ってたのに、兵士どころか、クロですら来ないぞ?
そして、女神様しかこの洞窟に入ってこないし、一体どうなってるんだろ?
他の兵士達がそのまま侵入してくるような様子もないし...。
しかも、女神様は、何故なのか変なポーズをしているんだけど、僕はどこに突っ込めばいいんだろ?
どうして、頭を抱えて地面に座って、ぶつぶつと何かを唱えてるんだろ?
そんなようなことになる原因ってあったか?
確かに洞窟は寒いけど、そこまでうずくまるほどなのか?
女神様の行動は本当に奇怪な気がするね?
「...人間よ、1つだけ言いたいことがあるから言ってもいいか?」
「嫌だよ?」
女神様からの話は当然拒否だ!
まあ、女神様が僕に何かを言おうとしたのに対して、なぜ拒否したかって?
何故なら、僕は知っている!
女神様はめんどくさいことを言ってくるはずだ!
どうせ、洞窟が暗くて怖いから手を握りたいとか言ってくるんだろ?
それだけは絶対に嫌だよ!
僕は頭がいいから知っているのさ!
洞窟は寒いから、女神様はかなり寒いと思っているだろう。
だから、僕の温かい手を冷たい手で握って、暖を取るつもりだろう。
洞窟が怖いって演技まで入れてくるのは計算済みだ!
ただでさえ寒いのに、体の熱を持ってかれるのは絶対に嫌だ!
だから、女神様の要件を速やかに拒否するのはどうすればいいか?
簡単だ!
そもそも話をさせないことだ!
女神様のお願いなんて絶対に聞いてやるもんか!
聞く前に潰す!
「...実はだ―――」
「それ以上喋るな!」
「なっ?わ、私がなにか話することすらもダメと言う―――」
「ダメだ!僕の手を握りたいからって、上目遣い作戦をするつもりだろ?そんな作戦、どうやらこの僕には通じないぞ!残念だったな!ふははっ!」
「...」
黙りこんだ!
どうやら図星だったようだな!
僕が天才で本当に悪かったな!
君の作戦は完璧だったが、1つだけ見落としたところがあったんだよ...
「それは、頼む相手がボクだったってことさ...!」
決まった!
完璧に僕の勝利だ!
どうやら、とどめを刺してしまったようだ!
自分が強すぎて怖すぎる!
「...呆れて何も言えないぞ...人間よ、お前の言ってることは何もかも間違ってるぞ?そもそも、どうしたらそんな発想に行き着くんだ?」
「図星だからって、言い訳するのは良くないと思うんだけど?」
「とりあえず黙って話を聞け、喋ったら燃やし尽くすぞ?」
...
これがヤンデレってやつか?
女神様って、クールな感じのタイプだと思ってたのに、まさかのヤンデレだったのか!?
衝撃の事実だぞ!?
でも、ヤンデレって怖いやつだよね?
自分だけを見ろってやつだよね?
しかも、簡単に人を刺すタイプなんだよね?
「女神様、簡単に人を刺すのだけはやめたほ―――」
「【喋るな!】」
女神様、常識がなってないぞ?
人が話をしているのに、遮るなん―――
次の瞬間、僕は死を実感した。
女神様は、【喋るな!】って言葉で実は魔法を放っていたのだ...。
魔力を込めて魔法のイメージさえすれば、魔法名はどんな言葉でも発動する...。
それは、一瞬だった...
女神様の後ろにいきなりたくさんの炎が出現したのだ。
燃やし尽くすって言われたけど、これ全部受けたらオーバーキルされるんじゃね?
これは、止めないとやばい!
「一回話し合わないか?だから、そんな物騒―――」
そして、この時、僕は思った。
人が喋っているときに魔法を放ってくるとか、見損なったぞ!
本当に、どうしてそんな事ができるのか、僕には理解できないよ!
そもそも、そんな一気に僕に炎を放っても、必要以上に苦痛を与えて倒すつもりなのか?
...って、このままじゃ死ぬじゃん!?
逃げないとやば...
逃げようと思ったのだけど、時はすでに遅かった...。
魔法はもうそこまで迫ってきている。
何故なのか、魔法がゆっくりと僕に近付いてるのが分かったのだが、自分の体は鉛のように、全く動かない。
...来世では、ヤンデレとは出会わないことだけを祈るよ...
そして、全ての炎が僕に命中したのだった...。
...
...あれ?
生きてるけど?
後、少しだけ熱かったぐらいで、ダメージほぼ無いんだけど?
これ、女神様、魔法ミスったんじゃね?
でも、生きてるのがばれたら、また殺されそうになるんじゃ?
ならば作戦は1つ!
このまま死んだふりを貫く!
そして、女神様がこの場を離れたのを見計らって、すぐに洞窟から脱出だ!
...
何故なのか分からないけど、女神様がこっちをガン見してきてるんだけど!?
まさか、ばれてるだと!?
い、いや、そんなはずがない!
女神様のようなちびっこ程度に見切れる訳がない!
そんなはずがない!
「いい加減、死んだふりをやめてくれないか?わざと火力をかなり低くしたんだぞ?こんなんで死ぬわけないだろ?」
こ、これは?
本当に死んだかどうかを確かめる作戦か!?
本当に死んだかを確かめるために、生きてることを分かってるアピールをして、生死を確かめておくって作戦に違いない!
僕は頭がいいから、その程度の作戦には引っ掛からないぞ!
「...ソンナニシニタイノカ?」
な、なんだろ?
これ、真面目に殺されそうな感じがするぞ!?
女神様から、怒りのオーラが出ているような...なんと説明すればいいのかわからないが、とにかくだ。
このままだと、ヤバイんじゃないか?
多分、今の女神様は、僕を殺すことになんの抵抗も持ってないぞ?
し、仕方がないな!
今回は特別に死んだふりをやめてやるぜ!
―――本当はこのまま逃げたい...。
「あははっ!なんか知らないけど生き返ったな!これも女神様の力なのかな?いや、絶対そうだ!女神様本当にありがとうございます!」
ふふふ!
適当に女神様のおかげで生き返ったってことにすれば許してくれるはず!
だから、今だけは女神様をおだててあげよう!
別に、殺されそうだったから仕方なく褒め称えたわけじゃないぞ?
女神様を喜ばせるためだからだぞ?
本当に少しも怖くなかったからな?
信じろよ?
「...この際、さっきまでの事はもう一旦置いておこう。そして、話を聞いてくれるよな?」
女神様怖いって!
なんか、いつもと目が絶対に違う!
あれは、人間を見る目ではないぞ、生ゴミ以下を見る目だ!
つまり、今のままだと絶対に殺される!
今回だけは仕方なく従ってあげよう!
「さて、そもそも人間よ、ここがどんなところか知っているのか?」
「ま、全く知らないでございます!」
敬語を使えば、女神様も少しは柔らかくなると信じる!
このままだと、目力だけで殺されるかもしれないからな...。
「だと思ったよ...じゃあ教えてあげよう...。ここは、試練の洞窟と呼ばれる所だ...。別名勇者の祠と呼ばれる場所だ」
...それだけ?
それだけを伝えるためだけに僕は殺されそうになったとでもいうのか?
いや、この話に何か続きがあるよな?
女神様少しだけ震えてるし?
きっと何かあるんだと思うけど、そこまで気にする事なのか?
「ここが、試練の洞窟ってのはわかったけどさ?それが何か問題があるの?」
「ああ...実はだが、この洞窟に入ったものは、絶対に試練が終わるまでは出ることができない...つまり、試練をクリアしないといけないんだよ...。」
なるほど?
つまり、試練をクリアすればいいだけだよね?
そんな、簡単な事なのにどうしてそれが重要そうなんだ?
それが分からないけどな。
「次が重要だが、この試練クリアした者は今までで2人しかいないらしい...つまり、そんな難しい試練をクリアしなければいけないということだ...。」
...洞窟の中での生活が始まった。
今日の名言 久しぶりに主人公視点で物語を書くと、地味に疲れる by作者




