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王宮殺人事件 後編

正直、トリックとかを考えて分かった...

簡単なトリックを考えるだけで難しいのに、難しいトリックを考える人ってすごいなと...



 「お前がやってないと私は信じてる!だから、素直に証言をしてくれ!」


 ...


 女神様は僕にそう言うけどさ?

 ずっと正直な証言しかしてないんだよね...

 嘘を一切ついてないのに信じてもらえない...。

 この状況はものすごく辛い...


 しかも、僕目線は犯人は分かってるが、その証明をしようとすればするほど、僕が犯人みたいに状況が悪くなってくる...。

 いっそのこと諦めて、楽になった方がいいのかもしれないな...。


 どうせ、頑張っても無実の証明はできないよ...。

 完璧に僕がやったように舞台は整えられてるのだから...。

 実際頑張ったよ...

 それなのに状況は悪くなるばかり...

 もう疲れたよ...


 それに、僕が王様を殺したって自首をしたとしても、別に不自然ではない状況だ...。

 だって、一応殺す気はあったからだ...

 やってないとはいえ、殺そうとしたことには変わりない...

 つまり、爆破予告をしたが、爆破させてないから別に問題ないって主張するタイプと同じである...。


 もう、仕方がない...

 このまま足掻いても結果は変わらないだろう...。

 だって、そういう風な状況を作られてしまったのだから...

 本当は何もやってないけど、それでも諦めて自首をすることによって罪が軽くなるのなら、そのまま自首をした方がいっそのこと楽だ...


 ...


 僕が本当にそう思ってる訳がないじゃないか!

 何でこうなったんだ!

 本当に自首をしたいわけがないよ!

 本当に欲に飲まれた僕は結局ダメダメだったじゃないか!

 結局、人に利用されただけなんだよ...

 そして、そんなことを直前まで気がつけなかったんだよ...。


 今も無実を証明しようと頑張っていたよ...

 だけど、誰も信じてくれないんだよ...

 女神様は言葉では信じてくれるって言ってくれた...

 だけど、本当に信じてくれているか?

 実は、言葉だけなのではないのか?

 でも、もうそんなことはどうでもいい。

 僕が自首をして、この事は終わりだ...。


 ...多分僕が自首をするところまで計算通りなんだろうな...。

 そして、僕が自首をしなかったときにはもっと状況が悪くなるように計算されているんだろう...。

 最後までホムラの上で走らされただけなんだよな...結局...。


 これ以上足掻いても状況が悪くなるだけだ...

 すぐに自首をしよう...

 そうすることで、多少の名誉は守れるであろう...。


 ...


「―――僕が....」


 自首をしようとしていたときに、女神様の顔が変わったように見えた...。

 女神様の顔を確認する。

 それは、とても悲しそうな顔だった...。

 目から、今も涙が落ちそうで、紅色の目は、少しだけ赤色が薄く見えた...。


 どうしてそこまで悲しそうなんだ?

 僕が何かをやったことがそこまで悲しいか?

 僕は今まで女神様に優しくしたことなんてなかったぞ?

 そんな人間のどこにそこまで悲しむ要素があるんだ?


 ...


 今まではそこまで気にしていなかったが、女神様ってそういえばどんな状況でも人を信じるような少し変わった人間だったよね?

 誘拐されそうになった時も、誘拐犯が反省したと信じて解放したし?

 普通なら、自分を誘拐しようとした人間を許せるか?


 それだけじゃない。

 僕も軽い気持ちで何度も女神様に嫌な想いをさせてきたと思う...。

 それなのに、今は多分、僕が罪を犯したって思って悲しんでるんだぜ?


 ...


 女神様は今まで、どれだけ信じても、結局期待を裏切られる事の方が多かったよな...。

 誘拐された人にも結局は裏切られたし、僕も所々軽くだけど、女神様にひどい仕打ちをしてきた....。


 もし、ここで僕が罪を認めてしまったらどうなる?

 このままだと女神様は、また、信じてる人に裏切られてしまう事になる。

 僕を初めて信用してくれた人なのにか?


 それに、僕が知っている限りでの女神様の人生を考えてみろ?

 僕のせいで冤罪に掛けられて、僕のせいで、変な冒険者に出会ってしまい、誘拐されてしまったし...。


 そして、この街から家出したのも、この街の王様に権力で女王にされてしまい、その件も含めて王様が嫌いだったから家出したのに、結局僕の勝手な考えでこの街に戻ってきてしまった...。


 ...


 女神様は今までもずっと、信じていた人に裏切られているのだぞ...

 それで悲しんでいる姿も僕は何度も見ているのに...

 ここで僕が悲しませてどうするんだ!

 暗い考えを捨てろ!

 せめて、女神様に安心させるために笑顔になるんだ!


「僕は、絶対にやっていません!女神様、少しだけ待っててください!すぐさま無実を証明するので!」


 ...


 よし!

 女神様の顔に安心が戻ったぞ!

 いつものような普通の顔になったぞ!

 まあ、僕が急に笑顔になったせいか、女神様以外の人達はかなり引いてるような感じがしたのは多分気のせいだ!

 かなり傷ついたけど、今は女神様が元気になったから別にいい!

 ものすごくエグいほど、ダメージを受けたけど、気にしたら負けだ!


「何度もいうが、個人として私はお前を信じてるぞ!だけど、立場上王の代理という立場だ。だから、助太刀はできない。自分で無実を証明するのだぞ!」


 分かった!

 ここから逆転してみせる!

 そのために必要なピースを揃えなければ...


 ...


 あれ?

 待てよ?

 よくよく思い出して見ると、僕のせいで女神様は誘拐とかされてるじゃん?

 しかも、この街に行くって決めたのも僕だよね?

 これって僕って最底の人間だったんじゃ....


 ...


 過去なんて振り返らない!

 大事なのは今だ!

 ってことで、とりあえず今は推理を再開することだけを考えよう!


 こういう時って相手の計算の裏を読むべきなんだよな...

 つまり、相手が絶対に意識していないという所を突ければ、そこから一気に逆転ができるはずなんだよね...

 それが大事な鍵なんだよな...


 ...?


 今、なんか少し引っ掛かった気がするぞ?

 何でだろう?

 もしかして、今のがかなりヒントだったのか?

 さっき僕は何かを考えていたはず...


 ...


 あっ!

 よし!

 そこさえ突ければ勝てる!

 だけど、今のままの作戦だと、警戒されて、僕がほしい答えをくれないこともありそうだ...


 つまり、相手を油断をさせつつ、引っ掻ける作戦か...


 ...


 そもそも、聖剣がなぜベッドの下にあったんだ?

 僕が売ったはずだし、おかしいんだよね?

 そこら辺の謎は未だに解けないな...

 だが、そこは今のところはほっとこう。


 ...


 ......


「女神様、少しだけ耳を貸してほしいのだけど、いいかな?」


「どうした?何かあったか?」


「真犯人が僕は分かった。だけど、かなり頭がいいようで、かなりの計算をされていて、僕を犯人に仕立てあげられているんだよ。だから、今から5回、質問する権利がほしい。女神様、お願いできる?」


「一応聞きたい、犯人は誰だ?」


「分かったのはギャラリーのなかにいるってだけ。だから、とりあえずわざと頭が悪そうなどうでもいい質問を4回して、僕をバカだってことを定着させる。その後、5回目に、バカだと思わせておいて、重大な質問をして、一番動揺した人物が犯人って作戦だ。」


「分かった。頑張れよ」


 よし、作戦の半分は成功だ!

 ここにいるみんながものすごくざわついている!

 耳打ちをしてるのがそんなにざわつくことか?

 それでも、この勝負勝ちに近づいたな!


「僕は今、この場にいる人たち全員に質問をする権利を得た!だから、質問をさせてもらう!この質問で答えたことは効力を持つから、気を付けろよ!」


 少しだけ大きな声でこの事を言ったけど、今の場面で動揺する人はいない。

 まあ、当然か。

 さて、最初の質問はバカっぽい質問を考えないとか....


「そこの兵士!今日の昼は何を食べた?」


「え?そんな質問?あ、いや、そういうことか。昼はラーメンを食べたぞ」


「それは、美味しそうだな!よし!明日の昼はラーメンだ!」


 この質問でかなりバカっぽく演じられたぞ!

 よし、次の質問はどうしようかな?

 普通にもっとバカっぽく演じよう!


「女神様、トイレはどこですか?」


「トイレはこの部屋を出てすぐ近くだが?」


「皆さん!トイレはすぐ近くにあるそうですよ!今のうちに行っておいた方がよろしいのではないでしょうか?」


 僕の姿はここにいる女神様以外には滑稽そのものに見えただろう!

 まあ、そりゃあえて滑稽を演じてるのだからな!

 本当に踊らされてるのはここにいる人全員なのにそれに、気がついてないんだろうな...


 だって、一気に色々な情報が流れ込んだんだぜ?

 僕が圧倒的にバカであり、滑稽とか、その辺りの情報が流れ込んできたからな。

 これで、どんな質問をしても、警戒心は薄れただろう。


「あ、トイレ行く人0ですか?あ、了解です。」


 もちろん、ここで僕の推理を止める人は誰も現れない。

 普通ならおかしいって感じるよな?

 こいつの推理はダメだって。

 しかし、ここにいる人達は、一応面白そうに僕の推理を聞いてるんだよね!


 さて、次の質問は...


「僕は次の質問を何を聞けばいいと思いますか?」


 ...


 それに、答える人は誰もいない...

 まあ、バカを演じてるのだからね!

 仕方ないね!


 よし!

 深呼吸大事!

 ここが多分、僕の無罪か有罪かが別れる大事な所じゃないかな?

 よし、聞くぞ!


「ホムラ、君はどうしてこの部屋に来たんだよ!どうしてだよ!君のせいで、僕が犯に....いや!どうしてきたんだ?」


「どうしてって、そんなのたまたま様子を見に来ただけだけど....!?」


 ホムラはその言葉を言ってしまった瞬間僕の勝利は確定した!

 そう、僕が求めていたのはその言葉だ!


「みんな、聞いたか?たまたま[鍵]が掛かってる王様の部屋に入ったって言ったんだぜ?思い出してみてほしい!普通に鍵が掛かってるって分かってる部屋に自分が鍵を持ってるかも確認せずに入るか?」


「い、いや、違うんだ!今のは言葉のいい間違いっていうか...」


 これで、僕の勝ちだ!

 上手くいったな!

 でも、女神様がハテナって顔をしてるね?

 まあ、女神様目線だと全く何が起きたかっての分からないだろうからな。

 仕方がない!

 教えてあげよう!


「女神様、今どうなってるのか分からなさそうですね?どういう状況か教えましょうか?」


「ああ、頼む」


「わかりました。まず、そもそも、女神様に言った内容ですけど、そもそも、あれはフェイクです!つまり、嘘の情報を流しました。」


「なるほど。...でも、それって私だけに言う必要が分からないのだが?それなら、みんなに伝えた方が絶対に良かったんじゃないか?」


「女神様、だからこそ、僕は全員に伝わるように少し大きめの声で言ったんですよ!真犯人を油断させるために!」


 そう、みんなに伝わるように大きな声で言ったため、当然それはホムラにも伝わってたであろう!

 しかも、僕が提案した作戦ではそもそも、民衆のなかに犯人がいるって考えを明かしている辺り、かなり油断をしたであろう。

 僕が、兵士のなかに犯人がいるとは思ってないと思わせたのである!

 つまり、本当の意味で、バカを演じたのだ!

 作戦を大きな声で言ってしまうバカを!


 その後、ホムラは、真犯人を油断させた後に重大な質問をするってところから、5回目の質問以外は気を抜いてもいいと思ったのだろう。

 それに、どちらにせよ、ギャラリーの中に犯人がいるって明かしてるようなもんだから、かなり余裕ができたであろう。


 だけど、あえて大声でいって油断を買う作戦なのでは?

 って思う可能性を考えて、1~3回目までは僕の質問に対して気を抜かない可能性を考えて、一応はバカを演じたのだ!


 つまり、僕がバカだってことを演じるってことを演じるバカを演じたのだ!

 自分の頭が良すぎて少し引きぎみだな!

 さすが僕!


 よし!

 これで突破口は掴めた!

 このまま一気に追い詰めていくぞ!


「普通さ?王様の部屋にノックもせずにそのまま入ってくると思う?まあ、それを抜きにしても、鍵が掛かってるってのを一番分かってる人が、鍵がないのに扉を開けようとするか?絶対しないだろ?つまり、ここで僕が宣言しよう!犯人はホムラだ!」


 よし!

 かっこよくきめれた!

 これで、女神様の信頼を取り戻すことができたぞ!

 女神様も安堵の表情をしているはず...!?


 女神様は安堵の表情をしてないぞ?

 何で?

 せっかく僕が犯人じゃないって確定したのに?


「いや、そもそも、重大な事が残ってるぞ!俺が扉を鍵とかを確認せずに開けたのは認めよう!だが、王様が死んで発見されたとき、死体の近くにいたのはお前だろ?それに、俺は鍵がなかったからこの部屋に入れない!つまり、殺したのはおまえだ!」


 しつこいな...。

 まあ、確かに完璧には証明できてないけどさ...。

 まあ、自分でも、言いたいことは分かるよ?

 つまり、ホムラは鍵がないから入れなかったと。

 そういえば、そういう証言もできるんだよな...

 鍵がないってことは...。


 だけど、大体このトリックはもう分かった気がするからな!

 つまり、それさえ確かめればそれで僕の勝ちだ!


「いや、大体3つぐらいまで絞れたからな、王様を殺したとされる方法がな。ってか、これは思ったより簡単に証明できるかも知れないしな。とりあえず、ギャラリーの方々に、僕が移動する権利がほしいのだけどいいかい?」


 ...


 とりあえず、手を挙げてくれた人はいなかったが、オッケーってことだろう!

 とりあえず第1の可能性は、元から扉の鍵が壊されていた可能性だ!

 とりあえず、一回扉から出て、扉の鍵を閉める。

 これで、鍵が閉まらなかったら、元から鍵が壊れていた説が高い!


 ...


 やってみたけど普通に閉まったよ?

 ってことは、この可能性は無いってことか...


 とりあえず鍵を開けて、元の場所に戻る。


 うーん...


 窓から侵入した説は無さそうだな...

 鍵がしまってるし....


 ってことは、最後の可能性に行き着くわけか...


「可能性的に、熱で血を溶かしたって説が出てきたのだが...ホムラは炎が使えるか?」


「確かに使えるし、しかも、ものすごく上手く扱えるよ?だけど、王様に火傷の後がありますか?ありませんよね?それに、元々俺が入ってきた時に聖剣を持ってなかったのはお前が一番分かってるだろ?」


 うーん...

 つまり、どういうことだろ...

 王様は何で死んでしまったのか...

 聖剣で刺されて死んでしまったのはほぼほぼ間違ってないと思うが...


 正直、まだ王様の血は乾いてないしな...

 結構な時間が経ってるけどな...

 そろそろ固まってもいいかもしれないっていうのに...


 ...


 あれ?

 待てよ?

 これってそもそも...


「ベッドの下にある聖剣を見たいんだけど、見ていいかな?」


「ふっ、好きに見るといい!見たところで結果は何にも変わらないがな!」


 許可は得られた!

 確認しよう!


 ...


 やっぱりだ!

 この証拠さえあれば、僕の勝ちは揺るぎない!

 最低でも、無罪は確定してもいいと思う!


 とりあえず、みんなに注目してもらおう!


「みんな、いや、君たちはこの聖剣を見て、気がついたことはないのか?」


 ...

ちなみに、この話の主人公が諦めてしまったパターンの話である[記憶を失くした最弱勇者の物語...IF]という話も投稿していきますので、そちらも見てくれるとうれしいです!


一応探しやすいように、タグに[田中 カース]と付けておきますので、田中カースで検索すれば出てくると思います。

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