女神様の説教
どうでもいいかもだけど、君は本当の恐怖を味わったことがあるだろうか?
本当の、だよ?
例えば、後10秒で爆発する爆弾の処理、赤白青黒の竜に同時に襲われたり、龍種に殺されそうになったり。
そこまで怖い恐怖を味わったことはないよね?
いきなり変な質問をしてしまって申し負けないけどさ、そうせざるを得ない状況なんだよね?
これまでの経緯を少し話すけどさ?
少し、女神様が誘拐されそうだったところを見捨てようとしたんだよ?
そしたらさ?
女神様が覚醒してしまったんだよ...。
その後、僕と誘拐しようとした人が殺されかけたんだ...
まあ、それで今に至るわけなんだけど...
いや、僕までだぜ?
確かに最初は女神様を見捨てたよ?
だけど、途中でそんなことはダメだ!って気がついて助けに向かおうとしたよ?
それなのに、女神様は人の話も聞かずに、僕に最強の威力の魔法を撃ってきたんだぜ?
そして、気がついたらこの状況だ...。
でもさ?
今、どんな状況か想像できるかい?
真の恐怖に近いものだぞ?
僕以外の人間だったら、絶対に威圧だけで死んでるぞ?
いつもはクールな女神様がさ?
まるで狼見たいな目をしてるんだぜ?
いつでも殺せるぞ!
って言われてるような感じだぜ?
まあ、実際にプーリストの人もさ?
あんなに饒舌だったのに、今はすっかり黙ってるんだぜ?
しかも、心臓をなぜか押さえてるんだぜ?
...
つまり、失言はできない。
失言したらみんな仲良くお亡くなりになってしまう!
なので、正解だけを答えなければいけないのだ!
まあ、一見プーリストの人のように恐怖に飲まれる人もいるかも知れないけどさ?
僕は勇者だから、こんな状況でも楽しいぜ!
むしろ、間違ったら死ぬってなんか、クイズみたいでワクワクするな!
お?
女神様が口を開いた!
すぐに正解を答えないと!
僕はこう見えて、ギルドのテスト、実質全問正解した男!
だから、正解を答えて見せる!
「で、人間と誘拐犯よ、最後に言い残すことだけは言わせてあげようじゃないか。何か言ってみろ。」
あれれ?
もうこれって死ぬの確定パターン?
うん...
女神様が怖い!?
いつもは優しい女神様が?
ってか、殺されるの?
僕も殺されるの?
ひどくね?
せっかく間違っちゃいけないクイズ感覚で楽しかったのにさ?
その楽しみを奪われたんだぜ!
プーリストは泣き出したが、僕は落ち込むんだけど?
ってか、最後に言い残すこと?
それだったら、普通にいい作戦だけどさ?
ずっと喋り続ければ、一応は生き延びれるんじゃね?
だって、最後まで遺言は聞いてくれるんでしょ?
だったら、ずっと話してれば死なない!
ただし、この作戦って女神様が寝ている間もしゃべらないとだからさ?
肉体的にきつくね?
...
あれ?
これって女神様の言ってることが正しければさ?
遺言さえ言わなければ逆に死なないんじゃね?
さっきの案より圧倒的にいい案だ!
という事で、僕は今から無言は貫いてやる!
お?
プーリストの人も僕の作戦に同調しだしたぞ!
死んでいたプーリストの顔に生気が宿ったぞ!
これで、お互い喋らなければ死なない!
つまり、相互協力ってやつだ!
とりあえずプーリストの人と考えを顔の表情だけで会話する!
お前も気がついたか?この完璧な作戦に
ああ!
さすがだ!
それほどでもない!
じゃあ、とりあえずしりとりしようぜ?
まあ、暇だしいいぞ!
じゃあ、しりとりの[り]からな!
...
「おい、人間とプーリストよ、なんだかよくわからんが遺言はないのか?後、顔だけで会話するのはやめていただきたい。解読できないからな。遺言がないなら、今から詠唱するから静かにしてろ。」
...
作戦が破綻しただと!?
ばかな!?
なぜなんだ!?
くっ...
そういえば、今の僕の命は女神様が握っている...。
つまり、女神様の機嫌を損ねれば死ぬ!
...
作戦を練り直さなければ...
女神様が深呼吸を始め出した...
このままだと詠唱に入ってしまう!
とりあえずプーリストにさっきの作戦をやらせるのは?
ずっと喋り続けさせれば、勝ちだから、僕は死なずにすむ!
ってことで顔で会話をやろう!
お?
プーリストの人がなんか、喋り出したぞ?
「あなたが可愛すぎるためについ、誘拐したいって思ってしまったんです...。本当にすいませんでした!」
...
女神様が詠唱を唱えようとする雰囲気が消えた!?
な、なんだと?
しかもだぞ?
女神様の顔がにやけてるだと!?
なぜだ!?
今の発言ににやける要素はあったか?
...
あ!
そういえば、女神様はおだてられるとすぐに優しくなるような単純な人間だった!
そうだ!
思い出したぞ!
ってことはさ?
僕が女神様を誉めまくった方がよくね?
そうすればさ、殺すのをやめるどころか、僕の靴を舐めろって言っても舐めてくれるまでにデロデロになってくれるんじゃね?
ってことで誉めてあげよう!
誉め死ぬがいい!
「女神様が可愛すぎるためについ、見捨ててしまったんですよ...。あなたは存在がギルティなんですよ...!だから、誇っていいと思います!なので、僕の靴を舐める権利を与えましょう!さあ、どうぞ!」
よし!
少しだけプーリストの人のやつパクったけど、うまく言えた!
これで僕とプーリストの人は助かる!
良かった!
一時ははどうなるかなと思ったけど大丈夫そうだ!
プーリストが先に僕が女神様を褒めるための土台を作ってくれたから助かった!
ありがとな!
え?
なに?
プーリストの人そんなに顔を青くしてるのなぜ?
あ、僕の言ってることが有能すぎて、負けたって思ってるの?
大丈夫!
女神様は両方生かしてくれるって!
一人だけ死ぬってないって!
ほら、女神様の顔を見てみなさい!
...
少し、女神様の顔を見たけどさ?
女神様が少し怒ってるように見えるのは気のせいだ!
...
気のせいだ!
...
これ、プーリストの人死んだんじゃね?
女神様怒ってるよ?
流石にプーリストの人の発言だと、褒める量が少なかったか...。
かわいそうに...。
...?
そういえばだけどさ?
プーリストの部下の人は女神様の後ろにいるけど、何でなの?
怒られないってこと?
おかしくね!?
ずるい!
君たちは女神様を押さえつけて誘拐しようとしてたよね?
不平等だ!
なぜなんだ!
僕が一番の被害者だぞ!
女神様の不公平!
「はあ...プーリストは許す。だが、人間は絶対に許さない...!地獄の火炎で、溶けてこの世から消え失せろ。」
!?
扱いひどくね?
僕の方が言葉が多かったよ?
何でなの?
誉めてあげたのに?
女神様の考えが読めない!
女神様は何て言ってほしかったんだ!
わからないよ!
...
これって死亡確定ですよね?
どうせ死ぬのならさ?
仲間がほしいよね?
ならさ?
プーリストの人も一緒に死のう!
仲間だろ!
目と目があった瞬間から仲間だ!
「女神様、プーリストの人が女神様の事、所詮器の小さいロリだから、少しおだてれば許してくれる!って小さな声で言ってましたよ!どうせ死ぬのなら、ばらします!」
ふはははは!
これで仲間だ!
一緒に死のう!
プーリストの人、!?って顔してるけど、きっと気のせいだ!
「ま、まってください!確かに心のなかではそう思いましたが、そんな事言ってません!信じてください!」
あ!!
墓穴掘ったな!
これでプーリストの人も一緒にお亡くなりだ!
死んだあとも仲良くしような!
地獄でまた会おう!
女神様は一人で孤独な旅を続けるがいい!
ふははは!
これ、僕の一人勝ちだ!
プーリストは死ぬの嫌がってるし!
女神様はこれから寂しくなるし!
僕はどうせ死んでも、天国行けるので別にいいし!
僕はクズだけど、やってることはいいことばかりだからな!
「...二人とも死んでほしい...だが、殺してしまえば真の犯罪者になってしまう...。だから、今回だけは許してやる...。だが、次はないぞ!」
あれ?
マジで?
女神様許してくれたんだけど?
なるほど!
これならお互い生きてられる!
「よかったな!お互い生きられて!」
プーリストの人にそう、声をかける!
あれ?
プーリストの人、顔が笑ってないんだけど?
なんで?
なんか、こっちに近付いて来たんだけど?
怖いよ?
手をグーにしてるのなぜ?
「お前は一回地獄に行け!二度と戻ってくるな!」
え?
殴ってきたんだけど?
しかも、女神様のより痛くないんだけど?
女に負けるってかわいそうじゃね?
この後、あまりにも力が弱いことに吹き出したのは内緒だ!
その後、余計にかなり殴られたけど、ダメージが全くなかったことにさらに吹き出したのは内緒だ!
「とりあえず、この部下達は今から解放させてもらうぞ。今日から自由に生きるがいい!」
なんか女神様曰く、部下の人たちは奴隷だったらしく、主の命令に逆らえないんだと。
つまり、プーリストの人の命令に従わなければならなかっただけなので、解放してあげたそうだ。
つまり、プーリストの奴隷じゃなくなったってことだ!
今、僕とタイマン勝負をしたときにプーリストと僕、どっちが勝つかな?
僕だよな!
さて、そんな話はどうでもいいとして、今すべき事は早くどこの村でもいいので行くこと!
ちなみに、今の場所は前までいた中央の街の東北にある祈りの森ってところらしい。
つまり、ここからどこに行くってなると、一番近いのが北の街だと。
女神様はいやがってたけど、そもそも、黒竜倒すのが目的だし?
黒竜倒しにいくって名目で北の方角に進むぞ!
その後、倒したら、元の方向に戻るって言って、こっそり北の街に行く!
完璧だ!
女神様は方向音痴なので、北と南の違いなんて分かるはずがない!
という事で、黒竜を討伐するぞ!
ちなみに、今のパーティーは女神様、僕、名前を覚えてないプーリスト。
後、よく分からない人5人である!
「ってか、行く前に全員の名前とか職業を知っておきたいんだけど、全員メダルを見せろ!」
女神様が命令を出した...。
今、女神様は一番権力を持っている...
従わなければいつ殺されるかわからない...
なので、一応はしたがってギルドメダルを差し出す...。
女神様はなんか、ふむふむって感じで一人一人のやつを見てるんだけどさ?
途中でなんか、おかしなほど驚いてたんだけど?
「おい、人間、これはどういうことだ?呪いにかかってるぞ?後、ギルドメダル壊れてるんじゃないのか?レベルがバグってるぞ?」
うん...
僕もそれは、思ったよ?
...
あれ?
「呪いに掛かってるの?え?マジ?そうなの?」
「掛かってるよ。これはお金がたまったら解呪してもらわないとだな...。」
なるほど?
いろいろあるんだなー?
ってか、呪いが掛かっててこの強さってことはさ?
呪いが解けたら俺TUEEEE状態なんじゃね?
なんだがワクワクしてきた!
「それだけではない。ライ、ホーリープーリストって職業じゃないじゃないか!しかも、職業冒険者って...僧侶関連でもないじゃないか!嘘をつくなんてよくないぞ!」
衝撃の事実!
ホーリープーリストって職業じゃなかった!
マジなの?
嘘つくのうますぎないか!?
「すいません...僧侶の格好をして、適当な事をしてお金を儲けようと...俺の悪い評判はほとんどの街に知れ渡ってて、第一の特徴が冒険者って特徴で紹介されてたからつい...」
正直だな!?
いや、あんなに詐欺師だったのに、今はこの素直さだぜ?
すごくね?
...
なるほどね
まあ、いろいろあったんだね...
とりあえず、名前はライって言うらしいね?
ライって呼び名なら覚えやすくね?
とりあえず、これからはライって呼ぶ!
そう誓った!
「それと、仲間の登録やっといたから、とりあえずライ達はここで待っててくれ。すぐに黒竜討伐したら戻ってくるから。」
なるほど!
負けそうになってもすぐにワープ機能で戻ってくればって作戦か!
女神様頭がいい!
...
待てよ?その作戦使ったら僕の女神様を北の街に連れてく作戦に穴が空くんじゃね?
黒竜倒したらそのまま北に向かわなきゃなのに、ここに戻ってきてしまったら、北に行くときに、黒竜がいる山がやはり見えてしまう...。
やばくね?
まあ、別にその作戦はほぼお遊びだから、どうでもいいんだけどさ?
だけど、女神様がどんな反応するかみたかったな...。
「信用してくれていいんですか?俺がパーティー登録を解除すれば、ワープ機能も使えませんよ?それに、俺がワープを許可しな...」
「大丈夫だ!信頼してる!ライはそんな事しないって!」
ライが話してる途中なのに女神様がなんか、話を遮って話し始めたんだが?
つまり、信用するってこと?
さっき騙されたばっかりなのに?
しかも、にげられるんじゃね?
そんな可能性を無視してその発言だと!?
女神様すげえ!
逃げられる確率の方が高いのに、信じられるなんて!
これで逃げられたら女神様が戦犯だけど、いざってときは女神様のせいにすればいいから、大丈夫だ!
僕は女神様のせいにできるからオッケーだ!
という事で、早速出掛ける!
黒竜を討伐するために山を登ったりして!
いざってときはライがいるところに戻ってくればいい!
冒険はこれからだ!
...
旅の途中で申し訳ないんだけどさ?
早速、仲間登録解除されたんですが?
少し、黒竜がいる所までで、魔物が現れないし、暇だったから途中で確認したらさ?
パーティー登録の所にライがいなくなってるのだけど?
それを知らせたんだけどさ?
女神様泣きそうになってるよ?
これ、僕は女神様のせいだって言ってもいい?
言いづらい雰囲気なんだけど?
...
どうしよう
...
詰んだ...




