1-3 惑星の話
翌朝
「おはよー種田よく眠れた?」
「ああ、よく寝れた」
「今日は、何して遊ぶ?」
こいつったら能天気過ぎてイライラしてきた何が今日何してあそぶだよ、迷子になって早く帰りたいとか言うと思ってたのに
「遊べる状況じゃないだろ、親とか学校とか心配されてるぞ帰れる方法探せよ」
「一緒に考えて」
無論考えるつもりはないが
「考えてやろう」
「最高そうこなくちゃ」
それから数分後
「今日デートの予定があった!どうしようデートしたいなー変わり身に種田してくれる?」
「するわけねーつか、変わり身って」
この女にとって彼氏は誰でも良いのだろうか突然デートの提案をしてくるとは恐ろしい
朝飯も持ってこないところから察するに、まだ親の足はよくないようだ
「飯食いに台所行くぞ」
「やったーここの家飯旨い?不味い?」
そんなストレートな聞き方で答えられるか
「普通だと思います」
「何で、敬語なの政治家みたい」
政治家みたいと言われると種田はグッと胸に痛みを覚えた
台所
「母さん、足はどうなの?」
「うーーん骨がね」
見せて貰うとかかとの辺りが真っ赤に腫れていた
「病院行こう」
「行けるものなら行くんだけど」
「父さんの車で行こう」
そういえば父は今朝見かけない
「言いにくいんだけど父さん昨日隣町で殺人事件に」
「え、殺されたの?」
「出くわしてその犯人を殺したのよ」
何とも言い難い空気に包まれた
「今、警察にいるってこと?」
「それがねー出頭したのよ」
この時種田は父の生真面目で馬鹿正直者なことが最悪の結果になったことを理解した
昔、セールスをやっていた父は会社で営業成績がとても悪く総務や経理も転々としていた
不器用で状況判断も苦手な父親はどうにかして出世しようと無茶をして疲労入院をすることもあった
ボーナスも少ない会社で自分の学費を出すのも一苦労したと思われる
父が刑務所で更なる苦労をすることを想像するだけで悲しくなる
流石にこのふざけていた女も悲しそうな目で箸が止まっている
どうにかして父の罪を軽くしてやりたい
「父さんの刑務所生活を短くする方法はなんかないのかな?母さん」
母は、腕組みしながら首を横に振って泣きはじめた
「昨日帰るのが余りに遅くて心配してたらまさかこんな事に父さんごめんね私がきちんと予測できれば」
「いつも問題が起こると予測魔術について反省してるけど魔術本当に使えるの?」
「この魔術はサイレントコパスカールという地区に出張した時に教えて貰ったのよ」
「それどこなの」
「ヴァンクリーフトイコパーゾっていう惑星にあるのその惑星にはマエウシロナナメっていうおかしな動物がいてねー」
「どんな奴なの」
「とっても気持ち悪いムカデみたいなものね」
「ムカデということは噛まれたら痛いの?」
「とっても痛いわよ最悪の場合下痢するわ高熱出るわ方向音痴になるわ大変なのよ」
聞くだけで恐ろしさが伝わってきた
「でも方向音痴って?」
「これが酷いのよ、ナナメにしか進めないの」
「どういうこと?」
「前に大型スーパー、右に刑務所、左に映画館、後ろに温泉があるとするでしょ、そしたら大型スーパーから温泉、刑務所から映画館に行けないのよ」
「まっすぐ進めないのか」
「そうだから崖がナナメにあれば落ちてしまうの」
「えー、恐ろしい」
「後ろに下がるときもクルって回転できずに円を描くように回転してしまうわそれで、毒が強くなると回転に必要な直径がどんどん大きくなるわ」
大体15mが初期で、最大5kmの直径がひつようになるらしい
すなわち2500m以内に崖の存在を確認できなければ崖に落ちてしまうという怖すぎる話だ
参三「アヤメがまだ来ないなー家まで迎えに行ってあげよう」
参三は、アヤメの自宅に向かった