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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
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作者によって「純文学」という名前をつけられた作品たち

夜の天使は眠りを抱いて

作者: 檸檬 絵郎

黒井羊太さま主催の擬人化企画「ヤオヨロズ企画」への参加作品。

前回につづき、変化球です。


 “夜”が、“眠り”を抱いてやってきた。




 喉には酒の気が残り、薄暗い部屋のランプのなかで、彼は焦燥にかられていた。

 右手の中指には、血がにじんでいた。ぼやけた視界にくっきりと、彼自身の傷がうつる。左手の指でそっと触れる……つもりが、彼は傷をえぐっていた。いらだちにいらだち、おびえ……、心の震えを抑えるように、彼の指には力が入った。……洗面へはいきたくない。恐ろしい顔は、みたくない……。



 息苦しくなって、彼は窓を開けた。えた星空が風を招きいれた。

 外気がみる……こころに、罪におびえた、彼の心臓に……。それは静かに包みこみ、ほのおを焔のまま、凍結していく……。



 天使のような面持おももちで、夜は彼へと吹きこんだ。柔らかい羽毛で包みこみ、彼の脳から思考をはらった。

 白い羽が舞い散るように、彼はベッドへ、沈んでいった……。





 “夜”が、“眠り”を抱いてやってきた。





「抱く」や「招きいれる」などの動詞を使って、「夜(/星空)」を擬人化しました。

「ヤオヨロズ企画」には珍しい、シンプルな擬人化ですが、たぶん学校で習った擬人化って、こんなものだったでしょう。

原点にかえりましょう、ということでひとつ。



……ちなみに、

「夜」と「眠り」といえば、ギリシャ神話ですでに神格化されていますね。

ニュクスとヒュプノス……、ええ、参考にしましたとも。

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― 新着の感想 ―
[一言] 抒情的でとても好きな雰囲気です。 罪の意識にさいなまれる主人公と、それを包み込む優しく神秘的な夜。夜は悪い存在が跋扈する時間帯として、負のイメージがつきやすいように思うのですが、このような夜…
[良い点] 擬人化をテーマにした作品なんですね。 夜というのは、昼よりも人格というか、存在を感じますね。人の活動を抑止する力を持っているからでしょうか。 傷の描写が何を意味するのか、分からなかったけれ…
[良い点] その手があったか!となりました。 何かの物を語り手にするだけが、擬人化だけではないことを思い出さされました。擬人法、懐かしい言葉です。 『白い羽が舞い散るように~』の部分、仕事で力尽きた…
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