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超短編シリーズ

超短編 ある作曲家の苦悩

(ダメだ、このままではダメだ――!)

 痩躯の男は金髪に染めた髪を掻きむしった。周囲には、音楽の機材やコンピュータが置かれている。

 彼は作曲をなりわいとしており、すでに結構な成功を収めていたが、どうしても乗り越えられない壁があった。


 それは『斬新さ』――。


 斬新なものを創ることへの熱情は、創作に携わる者が一度はかかる麻疹はしかのようなものであるが、麻疹で済ませてしまうには、彼の『斬新な一曲』への憧れは重すぎた。

 作曲の依頼というのは、「こんな感じの曲でお願いします」と頼まれるパターンが大半で、「斬新な曲をお願いします」と言ってくる人はまず居ない。まあ、それが当たり前だし仕事である以上受けるが、それは心の底に、何とも言えないしこりのようなものを残していった。


 斬新とは何だろうか。常識外れのコードで音楽を形成すれば、それで斬新なものになるという話でもない。

 かつて、日本でテクノ・ポップスが一世を風靡したことがあったが、そういう新たな潮流を生み出してみたい。そんな思いが、ここしばらく、うねりのように彼を突き動かしていた。


 彼は、思索にふけるためコンポをセットして、アフリカの民族音楽を流し、座り心地の良い作業用椅子に身を沈めた。

 人類の源流はアフリカにあるという。彼は曲作りに迷うと、こうして音楽の原点に立ち戻ることにしていた。打楽器と男性コーラスを主軸とした、プリミティブな音波が彼を包み込む。


 どのぐらい、そうしていただろうか。彼はコンポの電源を落とし、椅子を反転させヘッドホンをかけ、作曲用のパソコン一式を立ち上げる。

 彼は深く深呼吸して、鍵盤のキーを叩き始めた――。

 三人称背後霊式で書いてみましたが、うっかり一人称になってないか心配です。

 もっと、捻りの利いた話が書けたらなあ……。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 斬新なものをという心意気がよい! [一言] 個人的にはたくさん読むと斬新なものが書けるような気がする。たくさん読むと飽きてくるやん? そういうときがチャンスかなと。
2017/05/09 15:02 退会済み
管理
[一言] >三人称背後霊式で書いてみましたが、うっかり一人称になってないか心配です。 これといった違和感は無かったです。 人が物を選ぶときって真新しさとかはあまり重視されないですからね。作者側がやりが…
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