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友達って何だ!!

作者: 植木あすか

私は、片瀬しおん。今を生きる中学2年生だ。

西小学校出身

西小と東小からの卒業生がこの学校に通う

剣道部所属

成績優秀

コミュニケーション能力もあり、教師からも周りの生徒からも人望がある。

私に足りないものなんて、ないと思っていた。


「おーい、しおん~!!!」

この元気の良い女の子は、私の同級生の「中田由良」

同級生でもあるが、同じ部活の仲間でもある。

「なに?」

「ねぇねぇ、聞いた!!?今日、うちのクラスに転校生来るらしいよ!」

「へー・・・そうなんだ」

「・・・もうちょっとリアクション欲しいんだけど!?」

「・・・わああああ!!すごい!メッチャうれしぃいー!・・・これでいい?」

「相変わらずですなぁ」

だって仕方ないでしょ。私ホントにそういうの興味ないんだよね

友達とか、そういうのの定義だって分からないし

分からないっていうより、普通の人よりも友達っていう存在に対して厳しいって言ったほうが正しいかな?


そう、私は同級生で『友達』だとはっきり言える存在がいない

そんな私が剣道部に入って自己紹介のあとに、同学年の子達に言った初めての言葉が

「私は、気軽に友達、とかそういうの思わない人間だから」

だった

初めは皆ぽかーんとした顔だったが、1年以上もしてくると東小出身の子達もなんとなく理解してくれたようで、普通に接してくる

由良もそうだ。初めはぽかーんとしていたが同じクラスになってから最近やたらとくっついてくる

そんな由良の私に対する口癖が

「ね~ぇ、私たち、友達だよね?」

である。私は、うそは嫌いだし、初めから言ってあるので

「いや?違うけど?w」

と答える。由良は、「えー、ひどいなぁ」で終わってくれるからありがたい


「よーし、皆いるか?おはようございます」

『おはようございマース』

「まぁ、もしかしたら噂になって皆も知っているかもしれないが、今日ウチのクラスに転校生がやってきま

した!ハイ、自己紹介、お願いします」

「はい・・・ぇーっと、どうも、初めまして。宮城藍です。今日からこの学校ですごしていくことになりま

した。今まで剣道をしてきたので、剣道部に入ろうかな、と思ってます。色々迷惑かけることも多々あると思いますが、よろしくお願いします!!」

「ハイ、拍手~」

ぱちぱちぱちぱちぱちぱちぱち

「よし、席はあそこな」

「はい」

へー・・・剣道部か、新しい仲間ってことになるのか

結構はきはきした子だなぁ


その子は、明るくてすぐにクラスにも馴染んだ

「ねぇ、しおん。私たちも同じ部活仲間ってことで自己紹介しに行こうよ!」

「あ、うん」

由良に誘われ、宮城さんのところにいった

「あ、宮城さん!!私、中田由良!私も剣道部で、これから一緒に部活してくことになるから、よろしく」

「あ、こちらこそ、よろしく。藍でいいよ」

「で、こっちも私と同じ!」

「剣道部で、片瀬しおんっていいます。よろしくね」

「うん!よろしく」

「ねぇ、藍ちゃん。このしおんはねぇ、メッチャ頭良いんだよ!ウチのクラスの委員長でもあるし」

「へぇ~、すごいね」

「いや、別にそんなに・・・」

「またまたぁ~、そんなに謙遜しちゃってぇ」

「うるさい・・・!黙っててくださぁ~い」

「あはは!!2人とも面白いね。漫才コンビみたい」

「まぁ・・・親友だもんね!」

由良、またか・・・

「だからぁ~、いっつも言ってるでしょ?ち・が・う」

「へ?」

今の、友達じゃない発言をしたことで、宮城さんは驚いたようだった

「へぇ~・・・友達じゃないんだ」

「ひどいよねぇ?私の方はいつも友達だって思ってるのに、しおんはそう思ってくれてないんだよ!」

「ふーん・・・あ、そうだ。しおんちゃん、だっけ。放課後、校内案内して欲しいんだけど・・・」

「あ、ああ。全然、いいよ」

「あ、由良も行く~」

「由良は部活サボりたいだけでしょ。部活いってなさい」

「・・・はぁ~い」


放課後

「じゃあ、宮城さん、行こうか」

「あ、うん!」


「で、ここが第2理科室で・・・」

「へぇ~、結構広いんだね」

「宮城さんところは、あんまり広くなかったの?」

「狭かったって訳じゃないけど、こんなに教室もなかったし・・・っていうか、宮城さんなんて・・・

藍でいいよ?」

「あ、ああ、分かった」

「それとも・・・簡単に友達って認めないタイプのしおんちゃんには、難しいこと?」

・・・・・・何を言ってるの、この子

「ごめんね。急にこんなこと言って・・・でも、見てて思ったんだよね。私と似てるなぁって」

「・・・へ?」

「私もそうなんだよね。友達っていう存在の定義が分からなくて、なるべく相手を信じないようにしてる」

「な、なに?」

「しおんちゃん、友達っている?」

「・・・いない、かもね」

「でも、しおんちゃんのことを友達って思ってる人はいっぱいいるよね、きっと」

「さぁ~・・・」

っていうか、何なの

分かったような口利いてるけど・・・

「簡単には友達とかって、認めないでしょ?」

「まぁ・・・そう、かな?」

「そんなに濁らさなくても大丈夫だよ。私もしおんちゃんと同じタイプの人間だって言ってるじゃん」

この子・・・もう私に対してあんまり遠慮してないな・・・

「あ、そう。じゃあ、ある意味気兼ねなく話せるかな、『藍ちゃん』とは」

「ふっ・・・じゃあ、色々聞きたいんだけど。しおんちゃんの、友達観ってやつ」


それから私は、藍ちゃんと色々話した

自分の友達観、なぜそんな考えに至ってしまうのか

向こうも分かってくれてるようである意味話しやすかった

だけど、分かってくれるから友達というわけでもなく・・・その辺は難しい・・・


「じゃあ、そろそろ、部活のほうに案内してもらってもいい?」

「あ、うん。いいよ」


部活のほうでも、藍ちゃんはすぐに馴染んだ


ある日、由良に言われた

「ねぇ、最近しおんさぁ、藍ちゃんとばっかりいるよね?」

「え・・・そうかな?」

「そうだよ!!なんか、私といるときよりも、素な感じするし・・・」

まぁ、あんだけぶっちゃけた話をすれば、今更取り繕う必要もないからなぁ

それに、最近確かに部活行くのも藍ちゃんと一緒だな

「そんなことないと思うけど・・・何?寂しかった?」

「あ、しおんちゃん!ちょっとこっち来て!!」

今、呼んだのは藍ちゃんか

「あ、ごめん由良。呼ばれてるし、行くね」

「え、ちょっと!しおん~」


その日、部活に行くと、由良が泣いていた

「・・・え?どうかしたの?由良」

気になって由良に聞いたら、なぜか他の女の子が答えた

「どうかした、じゃないし!全部しおんのせいだよ?最近しおんに無視されるって、由良が」

「は?」

「は?じゃないんだって!しおん、由良のこと無視したの?」

どういうことか分からなかったから、素直に

「ごめん、まず何で私が無視したことになってるかが分からないんだけど」

と答えた。

「無視したからこうなってるんじゃないの?じゃなきゃ、由良が泣かないでしょ」

もしかして、今日由良が言っていたことに繋がって・・・

そう思っていたら、横にいた藍ちゃんが急に笑い出した。

「あはははははははっ!!」

「ちょ、何笑ってんの?」

「いやいやいやいや、だってさぁ、それって私がしおんちゃんと一緒にいるからこうなったってこと?もし

そうだとしたら、私が悪いってことになるから、謝る・・・けど、もしそうなら、私にも言いたいことがあるから、言わせて」

「・・・なによ」

「まず、そもそも君には言ってないんだけどね。あくまで由良ちゃんに言ってるんであって。君がでしゃばる必要はないよね?」

「なっ・・・」

「で、由良ちゃん。私がしおんちゃんと一緒にいすぎるから、不安になったの?」

そう質問されて、由良は泣き声で答えた

「あ、当たり前・・・っじゃん。だって・・・友達・・・っなのに」

「それさぁ、由良ちゃんが言ってるだけでしょ?いつも否定されてたじゃん。でさぁ、一番言いたいことは

こんなことくらいで不安になって泣くくらいの関係なんて、友達でも何でもないから!!ってこと。ずっと

くっついて動くのが友達じゃないからね?しかも、これでもし仲が戻らないなら、元々大した関係じゃなかったってことだから!」


藍ちゃんが言い終ると、由良は部室から出て行った。他の女の子たちは、

「藍、あんたサイテー」

と言い、由良を追いかけていった。

部室に残された私は頭を掻いた

「これだから、友達って難しいんだよねぇ」

「藍ちゃん・・・でも、さっきのは少し言い過ぎじゃなかった?」

「さぁね・・・私は別にああいう人達と友達になりたいなんて端から思ってないから。いくら暴言吐いたとしても、何も心が痛まないんだよねー」

「・・・さいってー・・・って言いたいけど、同感だわ」

「はははっ・・・まぁ、友達っていうのが何なのかはまだ分からないけど、それを探す相棒くらいには、なってあげてもいいよ?」

「ずいぶん上からですねー・・・ま、それは、どうも・・・」


コレが正しいとは、思っちゃいないけど・・・・・・

私が素になれた、不思議な転校生

友達っていうのが何なのかは、分からないけれど、とりあえず、私に足りないもの『友達』

現在の友達の人数・・・0人ってところかな

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