親友がおかしくなっていたんだ。
親友の言動が今日もおかしい。
「なんで、ルートに入れないの!?」
「なんのルート?」
「え?いや、あの。今日、おうち行っていい?」
「今日も、でしょ?いいけど、あんまり遅くらなんないようにね?」
日が落ちると危ないからねー、という私の言葉に反応せずに親友はいいけど、だけを聞いてぱぁ! と顔を明るくした。
現金なやつめ。
「ありがとう!」
中学の時からの親友であるユメは華麗なる高校デビューをし、今では人気者である。中学の時は私と類友でラノベについてうはうは語っていたのに悲しいことだ。
しかし、ユメはどういうわけか、知らないだろう情報をもっていたし、イケメンは自分のもの、的な精神もあるように見えた。
また、たまに、というか、高校にあがってから言動がおかしかった。ルートとか、ぶつぶつ言ったりとか。人によってキャラがわかったりとか。
「ただいまー」
「お邪魔します」
丁寧に言うユメは高校で生徒会長相手に暴言を吐いた人物にはとても思えない。
最近ユメは多重人格なのかと割と本気で思うようになっていた。
「おかえり。ユメちゃん、君は毎日毎日。たまにはおうちにまっすぐ帰らないと」
私の兄であるソウヤは爽やかに笑いながらユメに苦言を呈する。そうだ、そうだ、もっと言ってやれ!
「えぇ。ごめんなさい。でも、ユメ、もうちょっとお話したくて」
しゅんと一気にしおらしくなるユメに吹き出しそうになる。
君はダレだ!
ほら、ソウヤも笑いを耐えている。
「ユ、ユメちゃん? ごめん、ちょっとタンマ」
ソウヤは素晴らしい速さで隣の部屋に駆け込み爆笑する。残念なことに扉を閉め忘れているから隠し切れていない。
「え、なんで」
本気で首を傾げるユメにはぁ、とため息をついた。
うちの兄、ソウヤは18歳になりたてほやほやである。
ここまで言えばわかるだろうが高校三年生である。そしてなんと。
「ユメ、ソウヤ、風紀委員長だよ?」
「うそ!あのオタク!?」
ソウヤはおたくなのである。
ソウヤに言わせればまごうことなき純粋な趣味らしいが、そんなの他の人には伝わらない。
私もラノベを愛読しているがソウヤほどではない。きっと。多分。
「そんな!隠しキャラのはずが!! ルートにやっと入れたと思ったのに!」
「ユメ??」
ユメはおろおろしてはっとしたように今日は帰る!と言って帰ってしまった。
「ソウヤ。ユメが変」
ユメが帰ったあとに笑い疲れた様子のソウヤに言うとソウヤが真顔を向けた。
「妹よ。兄は気がついたよ」
「何」
「オタクだから気がついたのだ!崇め讃えよ!」
「だから何」
ユメが帰った後、ソウヤはその持ち前のおたく気質をもって説明してくれた。長くなるので抜粋するが、なんと。
「ルートとか、隠しキャラって音ゲー??」
「違う!乙女ゲーム、通称、乙ゲーだ!」
「発音同じなのになんでだろう。音ゲーの方が楽しそう」
「バカいうな!乙女ゲームのよさをどうしてわかんない!」
「というか、ソウヤは男だよね?」
どうやらユメは現実が乙女ゲームの世界だと勘違いをしてらっしゃるみたいなのである。なんて中二病チックな勘違いだ。それがまかり通ってしまうのが悲しいかな。
よしっ!と決意を新たに私はとあるところに電話をかけた。
「ユメ!病院行くよ」
「え?」
「病院!」
「え?まって、どこか悪いの?」
翌日学校で心配そうにいうユメにうん、とうなづいた。
「そう。ユメの病院」
「えぇ!あたしの?」
「うん。だってユメ、(夢見すぎっていう)病気でしょ?」
「なにそれ!」
「大丈夫!ユメのお父さんお母さんからも頼まれた!あの子最近変なの、ぜひ病院に一回連れて行ってって!」
「え!なんで!」
とりあえず、ユメをのらりくらりと騙しながら病院に連れて行った。学校のユメファンは本気で心配している。私も心配だ。
「大丈夫!ユメがどんなのでも友達だから! あ、でも、中二病ってちゃんと病名なのかなぁ」
「大丈夫じゃないからぁ!!」
ユメの言葉を聞きながらユメを診察室に送り込んだ。ミッション完了である。
私は知らない。
この世界が本当に乙女ゲームであることを。
そして病院に連れて行ったことによって、乙女ゲームで幻とさえ言われていた裏ルートに入ってしまったということを。
知らないまま、いいことしたなぁとホクホク顔で病院についているコンビニで買った飴を舐めるのであった。
そして続かない。
勢いで書いてしまった。恐ろしい。
◼︎私
ゲームではお助けキャラだが実際は本好きのアホの子。
◼︎ユメ
ゲームヒロイン
転生してたが私に勘違いをされて病院に連れて行かれる哀れな子。
結果は異常なしであったが暫く私からは中二病、、、と妙な目で見られた。
◼︎生徒会長
俺様何様生徒会長様の赤髪の人物。
ユメに暴言をはかれる。
私曰く、彼が生徒会長なったのって絶対自分の髪色を守りたいからだよね。
◼︎ソウヤ
隠しキャラ。
根本はおたくである。私のラノベ好きはソウヤの影響。
実は血のつながりがないとかそんなくだりがあるが、本人たちはいたって気にしていない。時たまそんなことを忘れそうになるくらい普通の兄妹である。
2014/4/10
修正。訂正箇所のご指摘ありがとうございました!