図書室の彼女。
うああああ、ごめんなさい。勢いで書いた短編です。勢いがあるなら長編の続き書けやって自分に言ってます←
でも、短編書いてしまいます←
「はい、これ。返却」
差し出した本を、すっと受け取る彼女。
すらっとした、白く長い指。身動きするたびに揺れる黒髪。
そんな君が好きで、逢いたくて、話したくて。
俺は、好きでもない図書室通いを続けている。
「……三島くん、これ読んだ?」
そんな質問に、あ? と俺は問い返す。
そんなの、読んでいるわけがない。俺はただ単に君――――藤咲志保目当てで、この図書室に来ていたんだから。
毎日毎日図書室に来ているけど、俺ははっきり言って、小説というものが嫌いだ。ちまちまとした活字の羅列は、蟻の行列にしか見えない。
そんな考えが顔に出ていたのか、藤咲ははぁっとため息をついた。
「三島くん……。貴方、呆れる人ね。じゃあ、何故これを借りようとしたの?」
少し呆れた目で俺を見つめる藤咲。
もちろん俺の胸は高鳴っていて、無理に声を出すと震えていそうで。
でも、答えないわけにはいかない。でもまさか、藤咲に逢うため、なんて、口が裂けたって言えない。だから。
「うぁ……えっと……あの、さ……。ほら、なんとなく? 俺、本とか読まねぇからさ。でも、図書室通いなんてしたら、かっこいいかなーって」
おろおろしながらも、そう答える自分がいた。
何言ってるんだよ。かっこ悪い。そう心の中で自分を毒づいても、言ってしまった言葉は取り消せない。
目の前には、さっきよりももっと呆れた目をする藤咲の姿。そして、
「三島くん、そんな気持ちで本を借りるなんて、本に対する冒涜よ」
急に、説教を始めた。
それを聞きながら―――、さっきは慌てていて忘れていた藤咲の性格を思い出す。
そういえば、彼女は小説オタクだった。休み時間はいつもイヤホンをして本を読んでいる。弁当だって、一人で食べ終えてすぐに本を読み始める。
そんな彼女に“本なんて読まない”。そんな言葉を行ったら、説教を喰らうのも不思議はない。
……ただ俺にとって、藤咲からの説教は、なんの苦にもならない。
だって、俺の好きな彼女の心地良い声が、静かな図書室に響いているんだ。それが俺への説教だとしても、それはその瞬間だけでも彼女が俺に言ってることだから。
「私は本を読まない人に、無理に本を読めなんて言わないわ。でも、借りた本なら、ちゃんと責任を持って読みなさい」
彼女は最後にそう言って、俺にさっきの本を差し出した。
その迫力に気おされて、俺はおずおずと本を受け取る。
「延長にしといたから。いい? ちゃんと読んでから、返しに来るのよ」
そんな藤咲の言葉に、俺は思わず頷いた。
*
最後に訪れた日から、一体どれほど経っただろうか。
俺はやっと、図書室を訪れた。
そして、カウンターには、逢いたくて仕方なかった君の姿。
俺が本を差し出すと、少し驚いた表情をする。そして、
「やるじゃない」
そう言って、少し微笑んでくれた。
この笑顔を見る為なら、本を読んでもいいかな。
そう思ってしまった俺は、一体どれだけ君に惚れているんだろう。
ほんと、何が何だか分からないお話。
あえて言うなら、図書委員になったぞ記念?←
ほのぼの長編で、どんどん成長して大学生、二十歳ってなるのを書いて見たくて書いたお話で、ユーザページに長編verが少しあります(笑)。
ちなみになぜ藤咲が、三島が本を読んだか聞いたかというと、本にしおりが入りっぱなしだったからです。あの本、実は三島くんの前に読んだの藤咲さんなんですよね。きゃあ、これって運命?(笑)。
そんな、どうでもいい裏設定←