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ちょっと待てよ……着いた、ということは
【「着いたぞ」
「つ、着いたってここは?」
「今お前が知る必要なんてない。来い」
「ちょっ、おわ!?」
胸ぐらを掴まれ、そのまま引っ張られ建物に着く。
「しゃ、車庫?」
「うーん、そうだな、車庫より倉庫」
「……その違いとは?」
「気分だ」
「……」
車庫に連れて行かれ、女の一言で入口が開き中の様子が見えると思いきや夜ということもあって、黒く暗くて何も見えない。そこで女はポケットからいつ頃から持っていたのか不明な懐中電気を出して照らすと、
「な!?」
そこにいたのは、黒に同化したスーツ姿の男がいた。
「この子が取引の子ですか?」
「そうだ。なかなかピチピチしてるだろ」
「そうですね、これならカンボジニア辺りも大丈夫ですね」
えっ!?僕売られるのですか!?冗談じゃない!!いくら非日常にしてもこれは急すぎるし!!手がタオルで縛られていても逃げることなら可能だ。奴らの隙を盗んだ僕は電灯がかろうじで見える方へ駆け込んだ。
『あ』
2人が気づいたが、もう遅い。これは完全に脱走せいこ、おわ!!?
「これはなかなか粋のいい小僧だなぁ」
目の前に立っていたタンクトップが似合うゴリマッチョに捕まった。
「おぉ、セバスちゃんいつもすまないね。若いというのは良いが、時々何をするか分からない」
「がははは!!これぐらい。それよりこやつが収穫かい?」
「えぇ、そうです。また逃げられてはやっかいですのでトラックに積んでください」
くそ!!このゴリマッチョ!!僕を荷物みたいに扱うんじゃね人間だぞ!!てか離せ!!足をバタバタし抵抗してみるが、怪力の前には無力で近くに停めてあったトラックの荷台へと投げ込まれた。
「では、良い生活を」
そう言われて、トラックは目的地へ走って行った。スーツ姿の男と拉致った女に手を振られて。
あぁーーーーーー】
「何ボーっとしているんだ?」
女にそう言われて外を見るとそこはにチェーン店を持つ居酒屋だった。