苦しい足止め
「そろそろ邸へ戻らないか?」
とお兄様に言われてしまった。
まだ30分は経ってない気がするがシル様を足止めするよう言われたことをお兄様に伝える術がない。
目の前でヒソヒソしたらシル様の心を傷付けてしまうかもしれないし、聞こえたら大変だ。
「あー…まい…甘い花とかここにはないんですか?」
こうなったら無理矢理だが花トークを継続させる。
「ディディったら食べるのが好きね」
シル様はそう笑ってくれたがお兄様は呆れた調子だ。
「折角痩せたのにまた太るぞ?」
「ディルアーナ様はふくよかな体型だったのですか?」
ぐふっ!
なんでだろう…隠してた訳じゃないのにジグスさんに知られたのが辛い!
「ディディはさ、2週間で痩せたと思えないほど太ってたんだ。だからここでもさっきみたいに毎朝魔力訓練してるんだよ。体型が戻らないようにな」
お兄様め…私がダメージ受けたのに気付いてワザと詳しく言ったな!悪い顔してるグヌヌ。
「あの魔力訓練は…リバウンドを気にされて…?」
「えぇ…まぁ…」
私の顔は今、多分赤いんじゃなかろうか。
痩せてから会ったからなのか…無駄にイケメンだからなのか…なんか恥ずかしい。
「でしたら…あの花の葉をお茶にすると良いかもしれません」
ジグスさんが指したのは奥の花壇で賑やかしのように植えられていたフワッとした小さめの花だった。
「葉っぱだけなの?花は?」
シル様が気になった小さな白い花は確かに砂糖菓子のような見た目だ。
「花は浮かべても良いですが余り味はありません。あの葉をお茶にすると甘い香りがするので入れる砂糖の量を減らせるのです」
なるほど…香料的な効果があるのな。
「香りだけなのか?味も?」
「残念ながら味は…しかし食欲を抑える効果があるのでダイエットの味方ですよ。ディルアーナ様の要望とは少し違うかもしれませんが…」
「ジグス、もしかしてミルクティーにすると美味しいアレなの?」
「左様でございます」
シル様は飲んだことがあるらしい。
コレ…摘んでたら言われた時間くらいは過ぎるよね?
「折角だから自分で摘んだのをお茶にしてみたいーなー…?」
私の不自然な物言いにセルディは何か訝しげだが楽しそうだとシル様は同意してくれた。
庭師を呼び、確認し、葉を摘む。
そうこうしているうちに小一時間ほどが過ぎていた。




